3.バルバロッサ
その日、静香は眠りから覚めた。
部屋を出る静香。
シーンとしている。
「お母さん?」
反応がない。
静香は家中を見回った。
誰もいない。
なるほど出かけているのか。
「……!?」
静香は何かの気配に気づく。
気配を辿り、家を飛び出す。
「お母さん!?」
巴が血溜まりの上に倒れていた。
浅いが呼吸はまだある。
緊急通報で救急車を呼んで病院に運んだ。
一命を取り留める巴。
病室で目を覚ました。
「お母さん!」
「……静香」
巴は辺りを見渡す。
「病院よ。何があったの?」
「静香、黒マスクが、あなたを捜していたわ」
「黒マスク?」
「バルなんとかって名乗ってたわね」
バルバロッサ。
静香は拳を力強く握り込んだ。
「黙っててごめん。それバルバロッサって言って、地球侵略を目論む組織なんだ。私はそいつらと戦ってる」
「やっぱり、宇宙船と何か関係があるのね?」
「それはわからないわ。でも、この件はすぐに片付けるわね」
静香は病室を出ようとする。
「待って、静香」
立ち止まる静香。
「お願いだから危険なことはしないで。あなたを失ったら、私……」
静香は泣きながら病室を出ていく。
(赦さない、よくもお母さんを!)
病院を出て、家に戻る静香。
巴の倒れていた現場を見る静香。
そこでは警察が捜査をしていた。
「君!」
「え?」
「この家の娘さんだね?」
「はい」
「お話、聞かせてくれる?」
「はあ……」
静香は警察に巴を発見した時の状況を訊かれた。
警察にはありのままを話した。
「なるほど。ということは、君は寝ていて事態に気付かなかったと?」
「ええ」
「君が切ったのかね? そのカマで」
刑事が静香の右腕を示した。
「まさか? って、ちょっと待って。あなたの目にはこれがカマに?」
刑事の瞳が光る。
「あなた、宇宙人?」
「自分を宇宙人と知る君は?」
「ワーム人よ」
「ワーム人……? なるほど、宇宙警察機構か。君は軍人かい?」
「いや、王女なのだけど……」
「王女? 本当かい?」
「ええ」
刑事は後ろを向き、ニヤリとほくそ笑んだ。
「刑事さん?」
顔を戻し、振り返る刑事。
「ああ、ごめんね。もう少しお話聞きたいんだけど、ここじゃあれだから、ついてきてくれるかな?」
「いいですけど」
その時、周囲の時間が止まった。
「ついてっちゃダメよ」
「え?」
振り返ると、先日の女が立っていた。
「そいつこそバルバロッサ。あなたの育ての親を傷つけた張本人なんだから」
女が消え、時間が動き出した。
「どうしたんだい?」
「あなた、バルバロッサね?」
「バルバロッサ? フハハハハ! バレては致し方ない!」
刑事が怪物に姿を変える。
「ふ!」
怪物が放った攻撃をかわす静香。
静香はマンティスに姿を変えた。
マンティスは右腕をカマに変え、怪物を一刀両断する。
「ぐわああああ!」
悲鳴を上げながら、怪物は消滅した。
マンティスは元に戻る。