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2.私の出自

 教室へと駆け込む。

「片桐、授業始まってるぞ」

「すみません!」

 静香はカバンから教科書などを出し、授業に参加した。

 ……。

 …………。

 ………………。

 授業が終わり、休憩時間。

「静香、その怪我どうしたの?」

「え?」

 言われるまで気づかなかったが、静香は怪我をしていた。

「ああ、ちょっと転んじゃって」

「転んだだけでボロボロになるか。一体何があったのよ?」

「怪物に襲われた」

「……あはは! マジで言ってんの? サイコーなんですけど」

六花りっか……」

 ……。

 …………。

 ………………。

 放課後のことだ。

 静香は六花と共に学校を出た。

 桜井さくらい 六花りっか。静香の親友である。

 帰り道を歩いていると、どこからか悲鳴が聞こえてきた。

「きゃああああ!」

 二人は顔を見合わせた。

「行ってみよう!」

 悲鳴の元へ駆けつける。

 現場は小さな公園で、休憩していた男女が怪物に襲われていた。

「なにあの怪物!?」

 六花が驚き戸惑う。

 怪物はこちらに気づくと、六花に飛びかかった。

「六花!」

 静香は咄嗟に六花を庇った。

「ぐ!?」

 背中を鋭利な鉤爪で切り裂かれた。

「静香!?」

 静香は切り裂かれる寸前でマンティスに変身していた。

「きゃああああ! 静香が化け物に!?」

 六花は倒れて気絶した。

 マンティスは振り返り、怪物に攻撃を仕掛ける。

「ぐお!?」

 怪物は怯む。

「はあ!」

 渾身の一撃が、怪物を真っ二つにした。

 怪物は灰と化し崩れ去った。

 マンティスは静香の姿に戻り。

「六花!」

 と、六花を揺さぶる。

「ん……静香……?」

 起き上がる六花。

「あれ? 怪物は?」

「何寝ぼけてんのよ? そんなのいるわけないでしょ」

「そっか。夢か」

 六花は立ち上がる。

「そういえば、私なんでこんなところで?」

「突然倒れたんだよ」

「ええ? 私、どっか悪いのかな」

(変身した私を見て倒れたんだよ)

 静香は内心思うが、口にはしなかった。

「送ってくよ。また倒れられたら困るし」

「ありがとう」

 六花を家に送り届けた静香はまっすぐ帰路に就いた。

 家に着き、母親に訊ねる。

「お母さん、私の出自を教えて」

「ひぇ!?」

 驚き戸惑う母親。

「私が養子なのは知ってるから」

「知ってしまったのね」

あれは——と、続ける母親。「15年前だったかしら」

 15年前。

 静香の母、片桐かたぎり ともえがまだ大学生だったころ。

 大学からの帰宅途中、上空に流れ星が飛来した。

 流れ星は一向に消えることなく、隕石として近くの空き地に墜落した。

「何かしら?」

 巴は墜落した隕石に駆け寄った。

 それは、隕石などではなく、赤子を乗せた一隻いっせきの小型宇宙船だった。

「なんで赤ちゃんが空から?」

「うえーん! うえーん!」

 泣き叫ぶ赤子。

 赤子を抱き抱え、家に連れ帰った巴は、警察に電話をした。

「あのー、赤ちゃんを拾ったんですけど」

「どちらで拾われたんですか?」

「近所の空き地で。空から落ちて来たんです」

「……ププ! 嘘はやめましょうね。運営妨害で逮捕しますよ?」

 と、まあ、信じるわけもなく。

 気がつけば養子にして育てていたのである。

「——というわけなのよ」

「状況はわかったわ、お母さん」

「静香、あの宇宙船はなんなの?」

「これ以上踏み込まないで。お母さんを危険に巻き込みたくないから」

「危険? 危険ってなんのことよ?」

「いいから関わらないで!」

 静香の怒声に巴は黙り込んだ。

「疲れたから寝る」

 静香はそう言って自分の部屋に入った。


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