棒が二つで玉四つ
おひさしぶりです、何とかカタツムリペースで頑張っております。
『し、死ぬかと思いましたぞ!まぁもう死んでますが。』
「元気そうだから良いじゃないか。」
すぐ後ろを膨大なエネルギーの剣ビームが通ったほね太郎は、若干震えた声でアンデッドジョークをかます。
それをアキはサラッと流すと、ビームの終着点を見据える。
「まだある程度はいそうだな。ミザリィ、まだいけそう?」
「はぁ……ふぅ、ごめんねアキちゃん、やっぱりどう頑張ってもあと一回が限度かも。」
「それで十分だよ、一旦休――」
アキの問に、ミザリィは乱れた呼吸を整えて答える。
それを見ていたアキは、ミザリィに休憩を促そうとしたその時――突如生き残っていた魔族の最前列から、熱線がアキ目掛けて一直線に駆けてきた。
なんとか間一髪の所で気が付いたアキは熱線を大盾で反らすと、その熱線の先に見覚えのある人影を魔族達の先頭に見つけた。
「げっ、何時ぞやのオカマじゃねぇか!」
アキが苦虫を噛み潰したような顔をしながら叫ぶと、次の瞬間にはオカマがすぐそこまで移動をしていた。
「あら、また会ったわねぇ?まぁこの行軍に渋々参加していた時から貴方達がいることは知ってたけどねん♪今度は私の手で勇者ちゃんごとひねり潰してあげるわァ!」
「あれがローズ姉さんの言ってた子ねぇ?私も一緒に戦うわよぉ?」
「オカマが増えた!?」
「あ?オカマじゃないわよ、ほら見なさい。胸だって付いているでしょう。」
ローズと呼ばれたオカマAの隣に、殆どの同じ見た目のオカマBが立っており、自らのはち切れんばかりの胸をさして言う。
「……って、それは大胸筋だろ!」
「胸は胸よ!下に棒と玉が付いてても胸があるんだから女よ!」
「棒と玉ってお前認めてるようなもんじゃねぇか!」
「煩いわねぇ!殺すわよ!」
「揃いも揃って物騒なオカマだ!」
ガァンッ!
一瞬でその場から消えたオカマBの攻撃を察知したアキは大盾を眼前に突き出し、オカマBの一撃を防ぐ。
「ぐっ……重い。」
「そんなうっすいまな板私の拳で砕いてやるわァ!」
骨が軋むような重い一撃に、歯軋りをしながら拳を弾き飛ばすとアキはオカマBを一瞥し、次いでミザリィの様子を確認する。
……マズイな、オカマ一人ですらキツいって言うのにオカマ二人に加えてミザリィは力を出し終わった疲労状態、正直勝てる見込みが無い。
「セキトバ、ほね太郎、トカゲ君、お前らでオカマ一人抑えられるか?」
『おまかせを。』
『忘れられてたのかと思いました。』
『なんとしてでも押えましょう、我が主とその盟友様の為に。』
約一名拗ねているが気合十分のようだし大丈夫だろう。
……いやトカゲ君マジごめんて、ミザリィの件聞いてたのにそのままスルーしちゃってごめんて。
「アキちゃん、私も!」
「ミザリィは休んでて」
ミザリィの志願に速攻で却下を入れると、ミザリィは身体を縮こめると、悲しそうな顔になってしまった。
「ひどい、私だってアキちゃんと一緒に戦えるように頑張って強くなったんだよ?」
「ぐっ……」
そう言われると一緒に戦いたいけど、それよりもミザリィの身体が心配なんだよなぁ。あんな大技を二回も連続でやった後に寄りにもよってあのオカマと戦うとなると……
そんな事を考えていると、知らぬ間にミザリィが隣に立って聖剣と先程足元に転がっていった盾を構えていた。
「いつの間に?!」
「アキちゃん、一緒に戦って?そしたら私、いつもよりも戦えると思うの。」
「……無理だけはしないって約束してくれよ?」
「うん、ありがとう!」
アキが折れ参戦の許可を出すと、ミザリィはぱぁっ、と輝く様な笑顔を見せると真剣な顔でオカマに向き直る。
「お話は終わったかしらぁ?」
「ローズ姉さん、私あの小娘共を捻りたいわぁ♪」
「だめよマリア、あの娘達は私の獲物よ。」
マリアと呼ばれたオカマBの提案をオカマAが却下すると、舌なめずりをしながらアキ達へ向かってゆっくりと歩いてくる。
「よし、三人(?)共あっちのオカマはまかせた。」
『わかりました!』
『承知』
『おまかせを!』
トカゲ君を始め、セキトバ、ほね太郎が威勢よく返事をし、各々戦闘態勢でオカマBと対峙する。
「さぁ小娘達、私がその無駄に綺麗な顔面ひねり潰して悪魔豚のエサにしてあげるわ!」
「そっちこそその下にぶら下がってるもんぶっ潰して口に突っ込んでやらぁ!」
「え、えっと、ぶちこんでやらぁ!」
ミザリィ、無理しないでいいんだよ……




