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ThorPhantomOnline~防御力には自信があるネクロマンサーです~  作者: 存在感皆無な人
〜ThorPhantomOnline〜
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無人の館

ギギィッ…………


館の入口と思われる両開きの扉をゆっくりと押すと、それに合わせて扉の軋む音が鳴る。


「お邪魔しまーす!!誰かいませんかー?」


アキの声が暗い館内に響くも返ってきたのは痛い程の静寂だけだった。


「返事がない、ただのボロ屋敷のようだ…………退屈だしちょっと探検してくか!!」


アキはそう声に出すと抑えられない探究心を暴走させ館内をりまわる。


リアルでこんなでかい屋敷入った事ないからな、少しくらいはしゃいだって誰も見てないしこれは走り回るしかないだろ!


と、はしゃいでアサルトチャージまで使って館内を走り回っていると、背筋が凍るような感覚に陥り即座に大盾を背の方へ向け構え、ほね太郎とくま五郎を呼び出す。


しかし、そこには何も無く、呼び出された二人も頭の上に?を浮かべていた。


『どうか致しましたか?我が主』

『戦闘って訳じゃなさそうだが、凄い汗だぞ?』

「い、いや、何でもない……気の所為だったみたいだ」

『で、ではこの手はなんでしょうか……』

「こ……これはだな…………別に幽霊とかが怖いからという訳では無いんだ」


アキは小刻みに震えながら強がりを言うと、ほね太郎の腕を必死に掴む。

その様子に、ほね太郎が口に手を当てプルプルと何かに耐えていた。


『我が主、そろそろ離して頂けねばこちらが限か』

「も、もうちょいこのままで……」

『グハッ!!』


キョロキョロと辺りを見回し、無意識に上目遣いをし、小動物のような態度で言ったアキにほね太郎は、エア吐血をすると片膝を地に着けた。


「ほね太郎?!どうした!!」

『い、いえ、尊さのキャパオーバーが起きただけですので……』


━━ガタン!!


ほね太郎が心配になりアキが声をかけると、後ろに立っていた甲冑の置物がいきなり倒れた。


「ひっ?!」


その倒れた甲冑に驚いたアキは、ほね太郎に飛び付き、そしてそれによってほね太郎がバラバラに弾け飛ぶのだった。


『これがホントの骨抜きってか』


その様子を見たくま五郎はやれやれ、と肩を竦めながら言うと倒れた甲冑を蹴り飛ばす。


『特に敵って訳じゃなさそうだな』

「ナイスくま五郎」

『俺達が大丈夫なのになんでこんなヤツらが駄目なんだ?』

「……だってスケルトンとかは好きだけど他のアンデッドは好きじゃないし、びっくり系ホラーは苦手なんだよ」


アキが涙目でそう言うとくま五郎はアキの事を抱き抱える。


『で?ここから出るのか?』

「いや、調べよぅ」

『本当に苦手なのかよ…………まぁいい、いざとなったら護ってやるから安心しな』

『ぬっ?!このほね太郎も、主を何としてでも護りますぞ!』


男前な台詞を吐くくま五郎に対抗するように、ほね太郎もかっこつけながらくま五郎に抱えられたアキを追いかける。


そこからはしばらく屋敷内を捜索していると、古臭い暖炉が設置しされているリビングについた 。


「いかにも廃墟って感じだな……」


アキはくま五郎の上から辺りを見回すと、思ったままの言葉を呟きくま五郎から飛び降りる。


大体こういう廃墟とかの暖炉とかって少し弄ってみると…………ほい来た。


アキが暖炉の内側を手当り次第に触っていると、カチッという音を立て暖炉の右側に立っていた本棚がスライド移動をし、本棚のあった裏に隠し通路が現れる。


『主、もしやここには来た事が?』

「んな怖いとこ来れるわけないだろ……こういう隠し通路は定番だから試して見ただけだ。さて、くま五郎頼む」

『ったく、仕方ねぇな』


仕掛けを解いたのはいいがやはり怖くなり、くま五郎に飛乗ると隠し通路をそのまま進む。


「埃とカビ臭いな…………それにこれは死臭か?」


埃とカビはまだ分かるが死臭まで再現するか?普通。


腹の中をグルグルかきまわし、鼻を劈く激臭に顔をしかめ鼻をつまむ。


あまり長居したくないな、ペットに食べさせるコオロギの死臭を何回も嗅いだことがあるから少しは耐性あるけどこの臭さはどうにも慣れない。


「くま五郎、なるべく早く探索してここから出たい」

『わかった』


くま五郎は一言口にするとアキの負担にならないギリギリの速度で通路を走り出した。


通路はどうやら一本道のみらしく、しばらく真っ直ぐ走っていると一つの扉が見えてきた。


「ほね太郎、突撃して来て」

『喜んで!!』


アキがほね太郎に命令すると、ほね太郎は嬉々としてその扉を蹴破り中へと侵入して行った。


「…………特に罠はなさそうだから行くか」

『サラッとひでぇ事しやがるな』

「あいつが喜んで行ったんだ、酷いも何も無いだろう?」


くま五郎とそんな話をしながら部屋に入ると、そこにはひとつの死体と機能を停止しているオートマタが横たわっていた。



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