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アリシア雑貨店  作者: ハゲ爺
1章・アリシアの自立
3/4

ステータスカード作成と、スラム街

3話です!今回も魔眼で見てください!

 

 ~ウェイスト地区・ギルド~



 さっきまで色々あったけど、気持ちを切り替えてステータスカード作りに行こう。


「あの、ステータスカードを作成したいのですが」

「はい!『魔女の申し子』様のステータスカードを作成できて光栄でございます!」

 窓口に行って早々深々と頭を下げられた。

 私は偉業を成し遂げた訳でもないんだけどなぁ。


 ギルド内は私の話で持ちきりのようだ。みんなチラチラと私を見てくる。


「では、僭越ながら作成料金500Goa頂きます!」

「はい、今出すのでちょっと待ってください」

 Goaカードに少し魔力を通して銀貨を5枚出す。


「Goaカード!流石は『魔女の申し子』様ですね!」

「さっき作ったばかりですけどね」

 流石なのだろうか。

 大金出せば持てると思うのだが。


 銀貨を渡して、ステータスカードを受け取る。

 ステータスカードは数少ない量産が可能となった魔道具で、自身の魔力から個人情報を読み取る魔道具である。


 ここで魔道具について説明しよう。


 魔道具は魔力を流すことで使用できる道具である。

 魔力を流すことで、その魔力に水と火の属性を与えて温水を散水する『シャワー』や、魔力を流すことで剣に属性を持たせる『魔剣』も魔道具の一種である。


 どれも属性を持たせる必要があるので、道具として作製するのが非常に難しく、高値で取引される。


 先程のGoaカードが良い例で、この手のひらサイズのカードには空間魔法が練り込まれている。


 魔法に関しての説明は長くなるのでまた今度。


 そして、ステータスカードは単に流された魔力を鑑定するだけなので、量産が可能となったわけである。


「では、ステータスカードに魔力を流してください」

 言われた通りに、ステータスカードに魔力を流す。

 すると字が浮かんできた。



 ===============


 〇名前:アリシア・アウグ

 〇性別:女

 〇年齢:14

 〇髪色:金色

 〇虹彩:青緑・赤

 〇パラメータ評価

 ・筋力:S

 ・体力:S

 ・耐性:SS

 ・魔力:SS

 〇加護一覧

 ・創造神ガレスの加護

 ・闘神ドレアスの加護

 ・魔神クレアの加護

 ・芸神プーの加護

 ・命神ネメシスの加護


 ===============



 Goaカードでも思ったのだが、私の苗字が『アウグ』になっているのは、師匠を親としているからだろうか。


 パラメータに関しては、師匠の英才教育の賜物である。幼少からずっと訓練していたので、全てがS以上になっている。慢心しないようにこれからも頑張ろう。楽しみにしていたのだが案外呆気ないものである。


 しかし、髪や瞳の色まで出るのか。何故だろうか。

 ちなみに、私の目はオッドアイではない。魔法を行使する時に目の色が青緑から赤に変化し、行使を終えると元に戻るのだ。

 師匠には「アレキサンドライトみたいで綺麗ね!」と言われた。自慢の瞳である。


 加護はなんでこんなにあるのだろうか?たくさんの神様に見られてるってことだよな。良いとこ見せられるように頑張らなきゃな。


 ここで神様に関しての説明を。


 最高神である創造神のガレスが世界を作り、そこに配下である四天神のドレアス、クレア、プー、ネメシスを送り、人々を作り上げ発展させたと云われている。


 神の加護があると色々なことが強化されるらしい。

 闘神なら戦闘に関する力が、魔神なら魔法に関する力が強くなるらしい。そのへんは神様パワー的なものなのだとか。


 全部の神様から加護貰ってるから、それに見合う活動を心がけようかな。


「出来ましたら、もう一度魔力を通して表示する情報を決めてください」

 職員さんから声が掛かる。その通りに情報を選定する。


 表示するのは名前と年齢だけでいいだろう。あまり他人に見せるものでは無いと思うし。


「出来ました。ありがとうございました」

「いえいえ!これが仕事ですし、『魔女の申し子』であるアリシアさんのステータスカード作成のお手伝いができて光栄です」

 師匠が凄くて、私は普通なんだけどなぁ.....

 光栄なことではないと思うけど、本人嬉しそうだからそっとしておこう⋯⋯


「では、失礼します」

 一言言ってその場をあとにする。


 よし、目的達成だ。取り敢えず外に出て、歩きながらこれからのことについて考えよう。


 外に出てみると、先程の騒動が嘘のように片付いていた。ただ、ガーフールが項垂れているが、見なかったことにしよう。



 ~ウェイスト地区・大通り~



 さて、道を歩き始めた訳であるが⋯⋯

 私の今の目標は職に就いて、自分で稼ぎを得て生活を確立することである。


 冒険者になってもいいのだが、安定した稼ぎを出し、生活を送れるかと言えばそうではない。魔獣も有限なのだ。


 では、モノづくりはどうだろうか。私は創造神の加護で大抵のものは上手に作ることが出来る。魔道具作成も師匠に習ってお手の物だ。なかなかいい案では?


 よし。その方向性で行こう。

 でも、ただの魔道具屋さんじゃあ味気ないしなぁ⋯⋯


「うぉっと!」

 下を向いて思考しながら歩いていると人とぶつかった。大通りだからたくさんの人が歩いているのに前を見ないで歩くなんて迂闊だった。


「ごめんなさい。前を向いてませんでした」

「チッ、痛てぇじゃねぇか。気をつけやがれ!」

 そう言って粗野な男は踵を返して、早足で行ってしまった。


「ふぅ、気をつけなきゃ」

 ふと、隣の通りを見てみると、そこはスラム街だった。結構歩いてきたようである。


 何故か私はそのままスラム街に歩を進めていた。

 師匠には「スラム街は入らない方良い」と言われている。けど、何故か知らぬ間に足が動いていたのだ。



 ~ウェイスト地区・スラム街~



 周りを見渡すと道端に薄汚れた子どもがうずくまっている。助けてあげたいが、それは無責任というものだろう。


 何かの理由があってここに捨てられているのだ。私が大々的に関与する話ではない。薄情かもしれないが、そう割り切るしかない。


 もしここで私の有り余るお金を使って助けたとしても、それは一時的なものとしかなり得ない。長期的にものを見るならば助けない方が無難なのだ。


 もし、私が師匠に拾われず、ここに捨てられていたとしたら、私は早々に死んでいただろう。師匠には感謝してもしきれない。


 そうしたことを考えながら歩いていると、前の方で騒ぎが起きていた。騒ぎと言うより黒ずくめの男達が喚いていると言った方が正しいだろうか。


 目に魔力を流して擬似千里眼を使う。すると、空色の髪の毛をした女の子に猿轡をして馬車に詰め込もうとしている最中だった。


 気になったので全速力で駆ける。距離にして100メル程度か。1秒もかからない。


 距離を詰めた。

 近くで暇そうにしている黒ずくめに訪ねてみよう。


「ねぇ、おじさん達は一体何をしているんですか?」

「うぉぅ?!なんだ嬢ちゃん。いつから居やがった?!」

「今走ってきました。それで?今は一体何をしているんですか?」

「まぁ、あんま大きい声では言えねぇが、人攫いだよ。スラム街の親の居ねぇ、価値のねぇガキをさらって奴隷にして売り捌く。そういう商売だ」

 なるほど。極悪非道である。


「俺は今、お巡りや邪魔しない人間が来ないように見張ってるってとこだ。見たとこ嬢ちゃんも邪魔しそうじゃなさそうだし、話してやってるが、あまり他言しないようにな」

「分かりました。親切に教えてくれてありがとうございます。おじさん」

「おう!いいってこ⋯⋯」

 その先喋ることは無いだろう。

 頭を飛ばされて喋れるのは師匠ぐらいだ。まず頭を飛ばされたら死ぬだろう。


 私は今激怒している。

 何が価値のないガキだ。元々私も親は居ない。だが師匠が親になってくれたおかげでこうして生きている。


 こうやって奴隷に召し上げて、小さい子どもの未来を潰そうなど言語道断。首を突っ込んでしまったが、私の理性がこの許し難い行為を看過できなかった。


 手刀で一瞬のうちに首を落としてやったから、女の子を抑えるので必死の黒ずくめ達はこっちに気が付いていない。


 気配を殺して後ろから近づき、黒ずくめ達の首を落とす。一瞬で絶命し、血を吹き出しながら崩れ落ちた。


 空色の髪をした女の子は私を恐れて失禁して、失神していた。関わってしまったものはしょうがないので、この子は少し身綺麗にしてあげよう。


 失神しているので身体に力が入っていない。ピクピク痙攣した身体に洗浄魔法をかけてあげる。すると、虚空から水が出て来て彼女の体を綺麗にする。勿論失禁の跡もきれいさっぱりだ。


 だが、打撲痕や擦り傷がある。それは洗浄魔法では消せないので、治癒魔法をかける。


 治し終わったところで、後ろからたくさんの髭を蓄え、ローブを目深に被った老人が杖をつきながら近づいてきた。


「メイを助けてやってくださり、どうもありがとですじゃ。お礼をしたいんじゃが、時間は大丈夫じゃろうか?」

「お礼は要りません。私が許せなかっただけです。ところで、あなたはスラム街の管理者ですか?」

 ふむ。この女の子はメイちゃんというのか。


 汚れた体でわからなかったが、空色の髪も相まってとても綺麗な顔立ちをしている。


「まぁ、そんなところですじゃ」

「では、このスラム街のことについて少しご教授頂けませんか?」

「お安い御用ですじゃ。ついてきてくだされ、ワシの家に案内するじゃ」

 と言って老人は踵を返す。私もそれに続く。



 ~ウェイスト地区・スラム街・老人の家~



 案内されたのは家と言うよりも小屋と呼ぶべき場所だった。庭は綺麗だが、全体的に薄汚れている。中に入ってみると、簡素なテーブルとイス。台所とベッドがあった。


「そこにメイを寝かせてあげてやってくださいじゃ」


 老人が台所から湯気が立ったティーカップを持ってきた。


「粗茶ですじゃ」

「ん。ありがとうございます」

 礼を言ってお茶を啜る。


「美味しい⋯⋯」

「ありがとうですじゃ。この茶はこのスラム街を賄うためにわしが作っとる茶葉ですじゃ」

 なるほど。自ら利益を上げてスラム街を養っているのか。このお茶は売れる。


 何回か啜っていたが、いつの間にか中身が無くなっていた。


「おかわりどうですじゃ?」

「⋯⋯すいません。頂きます」

 苦笑しながら言われる。夢中で飲んでいたらしい。少し恥ずかしい。


 するとベッドの布団がゴソゴソと動いた。メイちゃんが起きたみたいである。


「うん?起きたかメイや。助けていただいたお嬢さんにお礼するんじゃ」

「⋯⋯?⋯⋯⋯っ?!」

 起きて、目を擦ったあと私を見つけ、そのままドタドタと部屋の角に逃げてしまった。


 そこまではっきりと拒絶されると私も悲しくなるな⋯⋯

 余程怖かったのだろう。私が。


「こら!助けて貰ったのだからお礼ぐらい言うんじゃ!まったく⋯⋯、すいませんじゃ、普段は礼儀正しいんじゃが⋯⋯」

「いえ、構いません。怖がらせてしまったのは私ですし⋯⋯」


 すると、私から敵意がないことを感じ取ったのか、角から出てきて恐る恐る私に近づいてくる。大体1メルくらいの距離に来たところで立ち止まり、一言


「ありがとう、お姉ちゃん⋯⋯」

 私に聞こえるか聞こえないかぐらいの声量でそう呟いた。


 私はイスから立ち上がり、メイちゃんの前に片膝をつく。私が動く度にめいちゃんがビクビク震えるが、気にせず行動する。目線がメイちゃんの下になり、私が見上げる形になる。


「どういたしまして。怖かったでしょ?怪我とかはなかった?」

 できるだけ優しく声をかけてみる。


 すると私に対する緊張の糸が切れたのか、私に飛び込んできて、嗚咽した。

 私の方がメイちゃんの涙で濡れる。


 私はスラム街に、少し首を突っ込みたくなった。

 私が助けなきゃと言う正義感よりは、彼女等の未来を否定する大人達に対する怒りである。


 しばらくメイちゃんのむせび泣く音が響いていた。


最後まで読んでいただきありがとうございます!


次回はスラム街についてです。

まだ雑貨店に関しては一切触れていませんが、もうちょっとしたら語り出すはずです(仮)


タイトル回収が遅れると飽きられてしまう可能性がありますね⋯⋯。

がんばります!


あと、Twitter始めました!

@Alicia_GS14

『アリシア雑貨店』を『Alicia Grocery Store』と英字にしてアカウント作ってみました。友人に宣伝してもらっています!よかったらフォローお願いします。


これからもよろしくお願いします。

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