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アリシア雑貨店  作者: ハゲ爺
1章・アリシアの自立
2/4

ギルドでの一悶着

2話目です!拙いです!魔眼です!

それを踏まえた上でどうぞ。

 

 ~ウェイスト地区・ギルド~



 営業中は正面ドアが全開のようです。


 中に入っていくと様々な人が居た。紳士そうな人が剣を腰に差していて、パーティメンバーらしき人々と話していたり、商人らしき格好をして、同じく商人らしき格好をした人と難しい顔をして話していたりする。


 集中して気配を探ると、何人かはこちらをチラチラ向いていたりする。私は変な格好だろうか。


 しばらく入口のところに突っ立っていると、後ろから声がかかった。そりゃ入口で突っ立ってたら邪魔だろう。失敗した。そして絡んできた。


「嬢ちゃんどきな、邪魔だぜ⋯⋯っと。よく見たら美人じゃねぇか。よかったらこれから飲まねぇか?」

 誰が飲みますか。冷たくあしらっておこう。


「結構です。これから色々と用事があるもので」

「まぁいいじゃねぇか、な?」

 ドスッと肩を掴まれる。不快だ。

 私がすごく嫌な顔をしているところに突然


「止めるんだ!少女が嫌がってるじゃないか!」

 と、声が掛かった。

 さっきパーティらしき人達と話してた紳士だ。


「あぁ?うっせーぞガキンチョ。お前はその辺のブス捕まえときゃいいんだよ。俺はこっちの嬢ちゃんに用がある。小便くせぇガキは引っ込んでな!」

「なんだと!言っていいことと悪いことがあるだろう!許さん!表へ出ろ!」

 紳士も怒る時は怒るのか。


「んだと?このDランクのガーフール様とやるってか。ハハっ!おもしれぇ乗った!血の気の多いガキが多くていいねぇ」

 Dか。そこそこ高い。初対面がこうじゃなかったら少しは見直してた。少し。


 ただ、この喧嘩に付き合っている暇はない。そろそろお暇して⋯⋯


「嬢ちゃん。逃げんじゃねぇぞ?」

 クッ!バレたか!


「嬢ちゃんを見張っとけ、ガウ」

「おう」


 ガウと呼ばれた男が近寄ってくる。腕を掴もうとしたのでちょっと殺気を出す。するとガウは尻もついてこけた。そんなに強い殺気は出てないんだけどな⋯⋯


 すると立ち上がって私の後ろについた。流石に掴んでこないのかな?


「嬢ちゃんも来な、おもしれぇもん見せてやっからよ」

 紳士にやられちゃってください。お願いします。


 外に出ると紳士は既に剣を抜き放っていた。


「合図は要らないな?」

「自分のタイミングでいいぜ。こいや」

 途端、紳士が動く。


「ゼアっ!」

 紳士の袈裟斬り。

「フン!」

 袈裟斬りを跳ね返す戦斧。


「なっ?!」

 あまりの力の強さに仰け反る紳士。

「オリャッ!!」

 ガラの悪い男の戦斧の平打。

 ズドン!と強い衝撃。土煙が上がり紳士の周りを満たす。呆気ない。


 ズドン!ズドン!ズドン!ズドン!ズドン!


 必要の無い追い打ちが続く。血に濡れる戦斧。 見るに耐えず、私が気づいた時には戦斧を掴んでいた。少しイラッとしていた。


「やめてあげて。これ以上必要ない」

 ガラの悪い男は唖然としている。呆気なく止められた自分の戦斧に驚愕しているのだろうか。


 そのまま戦斧を奪い取り、上空に放り投げる。

 護身用の剣を抜き放ち、刀身に爆発属性を持った魔法を纏わせる。


 魔法に関しての説明は今度落ち着いてからする。


 そのまま斬撃を飛ばす。ただ剣を振っても飛ばないので、しっかりとした魔力を乗せて。


 上空で戦斧と斬撃がぶつかり合い爆発を起こす。呆気なく粉微塵になる戦斧と、呆けた顔をしているガラの悪い男。確かガーフールだったか。


「ガーフール。お前は嫌いだ」

 肩越しにそう告げる


「なっ⋯⋯、木っ端微塵に⋯⋯」

 口をパクパクさせてなにか呟いているが、気にしたら負けだ。


 それよりも紳士は大丈夫だろうか。


 駆け寄ってみる。息はある。気絶しているが大丈夫だろう。全身が腫れているが。

 少し治してあげよう。


 手に魔力を集めて治癒属性を与える。そのまま紳士の全身に流し込む。淡い緑色の光に包まれて紳士の傷が癒えていく。


 治し終わったところでパーティメンバーらしき人達が集まってきた。紳士含めて5人である


「あっ、あの!お名前聞いてもいいですか?」

 そのうちの一人の女の人が名前を聞いてきた。答えるべきだろう。


「ん。私はアリシア。アウグの森からさっき出てきたところです。お仕事はまだ決めていないですけど」

「アリシア?!あの『魔女の申し子』の?!」


 はて、私はいつそんなに有名になったのだろうか。周りでなんだかソワソワしている。聞き耳を立ててみると、どうやら私のことを話しているみたいだ。


「あの、なんでそんなに私は有名なんですか?」

「有名も何も、この国で知らない人は居ないと思いますよ。なんせ歴代最強の魔法使いであるティファ・アウグが育てると言い出した唯一の子供ですからね。そりゃ有名にもなります。あの強さを見ればみんな納得でしょう」

 なるほど。流石は師匠。ネームバリューも桁違い。


「なるほど、分かりました。教えていただき、ありがとうございます」

 お礼をしてお辞儀する。


「いえいえとんでもないです!私はここで会えたことにびっくりです。クラウスも救っていただいたことですし本当にありがとうございます!」

 ほう。この紳士の名前はクラウスというのか。


「私もクラウスさんに助けられるところでした」

「あれは助けるというよりやられに行ったという方が正しいと思いますが⋯⋯。なんせ喧嘩を売ったのがあのガーフールですからね⋯⋯」


「ガーフールとやらは強いのですか?」

「強いですよ。短期間でDランクまで到達した人ですから、実力は申し分ないです。ただ、女性に見境が無かったり、暴行事件などが多い事から、あまりいい噂は有りません」

 なるほど、性格に難アリと。この街で暮らすことになるから、顔ぐらいは覚えておいてあげよう。


「教えてくれてありがとうございます」

「いえいえ、これくらいお安い御用です。なにか気になることがあったらいつでも聞いてください。大抵はギルドに居ますから」

「分かりました。ちなみに、あなたがたの名前を教えて貰ってもいいですか?」

「あ、そうですね。相手に名乗らせておいて自分達が名乗っていませんでした」


 みんなの名前を教えてもらった。

 今まで話していた女の人が魔法使いのベルさん。

 巨大な盾を亀の甲羅のように背負った人がベックスさん。

 弓を装備しているのがセレスさん。

 少し長めの槍を装備しているのがアークさん。

 そして、地面に寝ている紳士がクラウスさん。

 五人でパーティを組んでいつも行動しているらしい。全員Fランクで、チームワーク重視で頑張っているのだとか。今後に期待の人達である。


 よし、覚えた。

 人の顔と名前覚えるの得意かもしれない。


「では、今後ともよろしくお願いします」

「いえいえ!アリシアさんに名前を覚えてもらって光栄です!これから宜しくさせてください!」

 私はそんなにすごい人ではないのだが⋯⋯。本人が嬉しそうだから良いか。


「では、私はこれからステータスカードを作りに行きますので、これで失礼します。クラウスさんはじきに起きると思いますので、では」

 と、一言残してギルドの中に戻る。


 戻ってすぐにギルドカードのところに向かおうとしたのだが、ふと思った。師匠に渡されたお金、旧硬貨のはずでは?


 はっと思い、両替窓口へ向かう。


「すいません。旧硬貨は両替できるのでしょうか?」

「はい!少々お待ちください」

 受付嬢が慌てて後ろに行った。戻ってきた時には、数枚の書類を持っていた。


「現物を確認させていただいても宜しいですか?」

「はい。こちらになります」

 受け応えつつ、旧硬貨を取り出す。


 受付嬢はそれを受け取り、中身の硬貨をひとつ取り出すと、目を見開いた。


「これは?!どこで手に入れたんですか?!」

 すごい形相で迫ってきた。ちょっと怖い。


「え、えと。師匠が餞別で持たせてくれたものです。ギルドに行って今の硬貨に変えてもらえと⋯⋯」

「室長!大変です!国宝硬貨が持ち込まれました!」

 すると、後ろから室長らしき人が出てくる。強面のおじさんだ。


「なんだなんだ騒がしいな⋯⋯、ん?どれどれ⋯⋯」

 袋の中から旧硬貨を取り出し、睨む。途端に表情が険しくなる。


「おいお嬢ちゃん。これどこで手に入れやがった?」

「どこでと言われましても、師匠の貯金です。自立するための餞別として持たされました⋯⋯。あの、もしかして両替出来ないのですか?」

 不安になる。両替できなかったら師匠から貰った剣を売ることになるだろう。それはできるだけ避けたい。


「いや、出来ねぇことはねぇ。こんなに質のいい国宝硬貨が残っているとは思はなかったぜ。ただ、ホントに両替しちまっていいのか?宝モンだぞ?」

 良かった。両替できないのかと思った。

 この硬貨に思い入れは無いから、別に構わない。


「はい。自分としては大事な物では無いので」

「そうか。じゃあ、適正価格でこの硬貨を買い取らせていただく。おいチア。確認よろしく」

「はい!おまかせください!」

 チアと呼ばれた受付嬢が元気よく返事し、換算を開始する。


 ここでアテリオス王国のお金について説明しよう。


 アテリオスでのお金の単位は『Goa』である。

『Gold of asteria』の略で、硬貨の種類は


 1Goa=1アテリオス銅貨

 10Goa=1アテリオス大銅貨

 100Goa=1アテリオス銀貨

 1,000Goa=1アテリオス大銀貨

 10,000Goa=1アテリオス金貨

 100,000Goa=1アテリオス大金貨

 1,000,000Goa=1アテリオス白金貨


 となっている。白金貨などは主に商取引に用いられる。だが、主に物価が低いのでそこまで大きな買い物をしない限りは大銀貨までしか使わない。


 ちなみに偽造はできない。何故なら硬貨一枚一枚に特殊な魔力が込められていて、偽造したところで魔力反応を見ればすぐに看破されてしまうのだ。


 硬貨には特殊な魔法陣が組んであると師匠は言っていた。何故外に出ないのに国のことを知っているのかは謎である。そのへんは師匠クオリティだと思おう。


 説明をしている間に換算が終了したようだ。


「換算が終了しました!合計1,578,250,000Goaです!」

「えぇ?!15億?!そんな大金なんですか?!」

「はい!国宝硬貨は価値が高いですからね。これ全部使えば中級貴族にもなれるかと。いやー、羨ましい限りです」

 お母さん。旅立って早々お金持ちになれたよ。

 って、違う。貴族になんかなりたくない。


「このまま全て持ち歩くのは危険なので、Goaカードを作ってはいかがですか?」

 作った方が良さそうです。


 ちなみにGoaカードとは。

 特殊なカード型の魔道具で、魔道具に自分の魔力を登録し、お金をカードに貯えることが出来ます。


 貯える方法は物理的にお金を入れることで入金が可能で、取り出す時は自分の魔力を流し込み、取り出すことが出来ます。保存されるのは貴族街にある銀行本部だそうです。


 ただ、大量生産することの出来ない魔道具で、保存場所も限られてくるので数が少なく、とてもじゃないけど高くて買うことが出来ません。と言っても、私から見たら端金レベルなのですが。


 こんなにお金を持っていると金銭感覚が狂いそうだ。自重できるようにしよう。白金貨3枚が端金だなんて⋯⋯


「分かりました。作ることにします。余った分を全てカードに入れてください」

「分かりました!では、そのように手続きします。室長!Goaカードの準備を!」

 すると、強面室長が後ろから出てくる。


「おう、終わったか」

 と言って、換算総量の書いてある紙を手に取る。


「まぁ、こんなところか。ところでお嬢ちゃん。その国宝硬貨をくれた師匠はなんて名前だ?」

「ティファ・アウグです。私の母であり、師匠です。」

「なるほどなぁ。じゃあお嬢ちゃんは『魔女の申し子』ってことか。こんなめでてぇ日もあるんだなぁ。もう今日はお嬢ちゃん以外のどんな野郎が来てもびっくりしない自信があるぜ」

 やはり流石は師匠ですね。どこでも名が通ります。


「ほらよ。Goaカードだ。失くしても使われる心配はねぇが、再発行に白金貨が2枚かかる。嬢ちゃんからしたら端金かもしんねぇが、管理をしっかりすることにこしたことはねぇ。大事にすんだな」

 と言って、私にカードを渡してくる。


 手に取り、魔力を流し込む。白く輝いて、光が止んだときには、しっかりと情報が記載されていた。



 ===============


 名前:アリシア・アウグ


 金額:1,575,250,000Goa


 ===============



「金を出す時は、硬貨の枚数を思い浮かべて魔力を込めると出すことが出来る。ここで一回やってみな」


 言われて、頭に白金貨5枚を思い浮かべる。カードに魔力を流すとカードから白金貨が5枚出てくる。そのまま白金貨にカードを当てると白金貨が吸い込まれる。やはり空間魔法が練り込まれた魔道具だ。


「よし、大丈夫だな。何か問題が起きたらここに持ってきな。どうにかできないか見てやる」

「分かりました。ありがとうございました」

「いいってことよ。いいもん見れたし、お嬢ちゃんを拝めたしな。それだけで僥倖な一日だぜ」

 私を拝めるといいことがある訳では無いのだが。まぁ、いいことにしよう。


「では、失礼します」

 一言いって窓口を後にする。


 やっとステータスカード作成に移れそうだ。なんか、私自身はほぼ何もしていないのにどっと疲れた気がする。ステータスカードまでの道のりは長かった⋯⋯


 私は、新しく作ったGoaカードを手に持ってステータスカードの窓口へ向かった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


ギルドで悶着かけて良かったです。


次回はステータスカードと冒険者・商人登録について書こうかと思っています。

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