アリシア、巣立つ
初出しです!(1回試しで出してますがノーカンで)表現拙いです!魔眼を発動してください!
説明長いですが勘弁してください。
私の名前はアリシア。
今日14歳になりました。
と言っても、本当の誕生日なのかは曖昧なのです。
私は赤ん坊の頃、アテリオス王国近隣のアウグの森の近くに捨てられているところを、森の魔女こと私の師匠が拾ってくれたのです。
師匠は親を探してくれました。しかし見つからず、孤児院に預けようとしたのですが、なんとなく情が湧いてしまって結局育てることにしたそうです。
その日が私の誕生日となりました。
本当の両親がいなくて寂しい、という感情は持ったことがありません。師匠がいますので。
師匠は私を産んでくれた訳ではありませんが、ここまで育ててくれたのです。私は師匠をお母さんと呼びます。
なぜ師匠と呼んでいるかというと、師匠曰くお母さんと呼ばれるのがむず痒いからだそうです。私としてはお母さんと呼びたいのですが。
そんな師匠の紹介をしましょう。
師匠の名前はティファ・アウグ。元アテリオス王国魔道士団の団長でした。『白銀』の二つ名を持ち、特徴的な銀髪を靡かせて、帝国との戦場を駆けた(師匠の主張)そうです。
師匠は軍職に飽きて退職し、森に巨大且つ強力な結界を貼って森を私物化しました。
私物化したことで森は、師匠の名前をとって『アウグの森』と呼ばれるようになりました。
そんな師匠も357歳です。森に篭ってから見つけた延命の秘術を使っているそうですが、教えて欲しいと頼んでも絶対に教えてくれないのです。けちですね。
ちなみに、戦場を掛けていたのが20代。森に篭ったのが30代だそうです。今の見た目は40代の頃のままらしいのですが、とても若いです。
いわゆる美魔女。
あ、元々魔女でしたね、師匠は。
そして私は今、人生のターニングポイントに立たされています。
先程まで私の誕生日会だったのですが、突然師匠の目が真剣になり、こう切り出しました。
「ときにアリシアよ、そなたは今日で14歳である。とてもめでたい事だ」
とても変な口調で。
「はい。ありがとうございます師匠。だけど師匠、なんだか喋り方が変では?」
「そしてだ、アテリオス王国では14歳から成人として職に就き、働かなければならぬ」
間髪入れず話してくる。そして私の話もスルー。
「そこでだな。そなたは一度国内へ行って世の中を知っても良いのではと思っておるのだが、如何に?」
「如何にと言われましても⋯⋯」
どうしろと言われてもなぁ。行ってみたい三割。森に残りたい七割ってところかな。実際師匠との生活から離れられない気がする。
と、言うことで人生のターニングポイントに立っている訳であります。
「そうですね、見てみたい気もしますが、森から出て行きたくない気持ちもあります。師匠的にはどうしたいのですか?実際のところ、外というものがどのようなところか分からないのですが」
「むーん。師匠的には娘を手放したくないけど、可愛い子には旅をさせよっていう言葉もあるからなぁと思って」
ふむ、悩むな。やはり森の外は面白いのだろうか。
二人して苦悩していた時突然師匠が、
「よし、決めた!アリシア!アテリオス行って働きなさい!」
そう、宣言した。
「私、森から出たくないのですが」
「それでも!アリシアこのままだと私みたいな引きこもりになっちゃうもの。このままではダメだよ」
別に引き篭もりでいいのだが、だめなのか。難儀なものだ。では、行動だな。
「分かりました。思い切って王国で暮らします!」
「よく言った娘よ!では、明日出発できるように準備しよう!」
「早くないですか?!」
「思い立ったら吉日という事だよ!さぁ、必要なものを準備しよう。金銭は私が用意するから、自分の部屋から持って行きたいものを準備するといいよ」
という訳で部屋に来た訳だが、特段持って行きたいものもないな。有るとすれば、日記と師匠から貰ったらお気に入りの短剣だろうか。
リビングに行って、師匠に聞いてみよう。
と思ったが師匠がいない。テーブルの上に置き手紙が置いてある。
『ちょっとお金取ってくる。明朝には戻るので、持っていくものを揃えておくこと。特に決まりはないので好きなものを持つといい』
なるほど。じゃあ日記と短剣だけでいいな。戻るのは明朝か⋯⋯。今日はもう寝て、明日に備えよう。
自分の部屋に戻り、ベッドに潜る。
このベッドともお別れか、名残惜しいな。
そう思いつつ、ベッドの暖かさに埋もれる。
~翌朝~
森の朝は肌寒い。朝露が滴り、少し霧がかかる。
こんな風景とも別れる日が来ようとは。少し感慨深くなる。
そんなふうに思っていると、ちょうど師匠が土まみれになって帰ってきた。
「はいこれ」
渡されたのは少し土のかかったそれなりに大きな袋。中にはお金がたんまり入っているようだ。
「若い頃に集めたアテリオスのお金。300年以上経ってるから硬貨が変わっているかもしれないけど、使えないことはないと思う」
使えなかったらどうするんだろう⋯⋯
「あ、あとこれ」
渡されたのは単調な鞘に入った剣だった。
「道中襲われたりしたら困るだろう?護身用に持っておきなさい」
「私、ドラゴンでも素手で戦えますよ?」
「それでも!餞別だと思って受けとんなさい」
餞別か。なら貰っておこう。
大事にしよう。
「王国に行ったらまず、ギルドに行ってステータスカードを作りなさい。あれがないと身分が証明できないからね。あと、身だしなみはしっかりするんだよ。郊外だったとしても、荒くれ者ばっかりじゃないから、清潔に保っておいて損は無いからね。あと、朝昼晩しっかりとご飯は食べなさい。活力は大事だからね。あと、体調に気をつけなさい。人が沢山いるから、どんな疫病があるかわからないからね。あと、酒場にはあんまり近づかない方がいい。体験談だけど、変な男どもにめちゃくちゃ絡まれる危険がある。アリシアはかわいいから、襲われる。間違いなく絡まれて襲われる。しっかりと自衛はするように。あと、職業が決まったらシュレイトを飛ばしてしっかり報告なさい。あと⋯⋯」
「師匠!」
ここで一言言わないとダメな気がする。
「心配してくれるのは嬉しいですが、私ももう成人の歳なのです。1人でがんばれます」
「でも⋯⋯」
「娘が頑張るんです。お母さんも頑張ってください」
すごくしょんぼりした顔で師匠が頷く。
「今生の別れみたいな顔しないでください。ご近所さんじゃないですか。すぐに会いに来れますよ」
「うん⋯⋯、それもそうか!すぐに会いに行くよ!」
「それはダメです」
「えぇ⋯⋯」
あとをつけてこられても困るな、釘を刺しておこう。
「せめて職を見つけてからにしてください。あと、あとをつけられても困ります」
「分かりました⋯⋯、頑張ります」
しょんぼりしたまま答える
「結局丁寧語治らなかったね」
と、少し微笑んで師匠は言う。なんだかんだいって師匠は美人だ。
「師匠って呼ばせてるから、変に目上意識がついちゃったんですよ。別に頑張って治すことも出来るよ?お母さん?」
「んむぅ。そのへん意地悪よね。アリシアは」
「親譲りでしょうか」
ふふふと二人して笑う。
「では、行ってきます」
「うん。頑張ってね、アリシア」
「はい。師匠!」
そして私は森を巣立ちました。
~アテリオス王国外・街道~
森の結界を越えてすぐの所に関所はある。関所とは名ばかりの砦のような形をしている。本当に砦の役割も担っているらしい。
関所を通るための手紙は、私が森を抜ける前に師匠が慌てて走って持ってきた。私がジトっとした目を向けるとそっぽ向いたが、ちゃんと怒って差し上げた。
街道を歩いているうちに関所の姿が大きくなってくる。間近で見るととても大きな建物だ。窓口に近づいて行って話しかける。胡散臭そうなおじさんである。
「ステータスカードを見せな」
態度もでかいな⋯⋯
「身分証は持っていません」
窓口の男が眉間にシワを寄せる。
「は?じゃあ通れねぇよ。かえったかえっ...」
「でも、これなら持っています。師匠はこれで通れると言っていました」
おじさんの言葉を遮り、師匠の手紙を出す。
「あん?」
訝しげな表情で受け取るおじさん。
手紙を開けて、中身に目を通し始めた途端、顔面蒼白になった。人間ここまで青くなれるのか。
「もっ、申し訳ありませんでした!『魔女の申し子』殿!今すぐお通り下さい!」
さっきとの態度とは打って変わってだな。師匠の名前を出しただけでここまでとは。流石は師匠です。
「ん、ありがとうおじさん」
「いえ!とんでもありません!」
一言お礼を言って関所を通る。兵士たちも何故か頭を下げてくる。
ん?なんか変な事聞かなかったか?確かあのおじさん、『魔女の申し子』とか言ってたような⋯⋯。街に着いたら確認してみよう。
関所を通ったすぐそこが街という訳ではなく、少し街道を歩く必要があるらしい。
ここで少しアテリオス王国の造りを説明しよう。
アテリオス王国は建国597年で、世界から見てもかなり存続している国である。
都市の構成としては、中心に王城があり、その周りをぐるっと貴族街が囲んでいて、その周りを城壁で囲い、その周りの郊外では庶民が暮らしている。
その郊外は北側をノウス地区。南側をソウス地区。東側をイエスト地区。西側をウェイスト地区と四つに分け、それぞれを位の高い貴族が統括している。ミドルネームにその地区の名前がついているんだとか。わかりやすくていいと思います。
そんな脳内紹介を行っているうちに着いたのは、アテリオス王国郊外、ウェイスト地区入口。ずっと畑の風景で飽きていたので、丁度いい頃合だ。
~アテリオス王国郊外・ウェイスト地区~
私はもう既に感激していた。畑のところでも人はちらほら見かけたがその程度。関所には兵士は沢山いたが、庶民はいなかった。
だがここは違う。街の至る所に人人人である。森にいては絶対に見られない光景が広がっていた。
既に達成感のようなものを覚えてしまったがまだである。私はここで仕事を見つけて自立するのだ。そう決めているのだ。
周りをキョロキョロしながらギルドがあるというところに向かう。中央を馬車が通り、露店で人が店主からものを買っている。道路がところどころ傷んでいるのが味が出て良い。
そうしていると『ウェイスト地区・ギルド』という看板が見えてきた。周りには、やはり武器を持っている人がいる。しかしその中には商人の人もいる。
はい。ここでギルドについて紹介しましょう。
誰に紹介しているのか。
それは秘密です。
まず、ギルドは各地区にひとつずつ存在しています。
ギルドで行っているのは、ステータスカードの発行。冒険者登録。商人登録。手紙・荷物の配送。魔獣の素材の買取。冒険者へのクエストの斡旋。商取引の仲介等、多岐に渡ります。
四つのギルドが連携しており、郊外における様々なことを管理しています。
ついでと言ってはなんですが、冒険者についても説明しましょう。
冒険者には登録した直後にランクが与えられます。下から順番にH、G、F、E、D、C、B、A、S、SSの十段階評価になっていて、登録直後はHです。
ステータスカードによって出される身体能力の値から初期ランクは変動するようですが、よっぽどの事がない限りHだと聞いています。
ちなみに身体能力に関してもH~SSの十段階評価のようです。
私のパラメータはどのくらいなのでしょう。楽しみです!
さて。見知らぬ人への紹介が済んだ頃合で目の前にはギルドの扉!わくわくです。
次回は書けたら7:00に出します。
次回予告としては、ギルドで一悶着!
というところでしょうか。ギルドでのわちゃわちゃやってみたかったんですよね。