第八話 【明宙丸編】 味のしない朝食
明宙丸編、第四部です!
ツアーは、スターライン家が『7_』まで、スノーヴァルが『5_』までこの明宙丸にいることになっている。どちらも、あと『3_』いるということになっている。だが、異種族のため、時間の区切りが違う。
ちなみに神月人と時間の区切りが近いのは、スターライン家だ。主要国は時間の区切りをかためているので、神月人とスターライン家はちょくちょく似ているところである。
そういうところから仲の悪さがうまれるんだなぁ…。
第八話 【明宙丸編】 味のしない朝食
さっきから、風瀬 深刃は黙って曇り顔をしている。あの酒飲み星人は一滴も酒を飲まないどころか、冷蔵庫の酒に手を出そうともしない。私の頭は風瀬 深刃の一端でも役にたたない事がよくわかる。
「マーズ、スターライン家は、変わらなかったか?」
やっと口を開いたと思えば、私以外の事の質問をした。
「ツアー参加前、ツアー参加中で私の来る前、私のいる間。スターライン家の意地悪なお父様達の行動、態度はどうだった?」
「ううん、比較的普通だな。ツアー中も。」
なんだと?今何て言った?
私の抱いた疑問を解くようにマーズは証言した。
「『普通』ではあるが、『いつも通り』ではない。おかしい。」
なるほど。私には重々知れたことだが、今のマーズの証言で、『おかしさ』が強烈に襲ってくる。
スターライン家は、性格は悪くとも暇ではないだろう。このツアーに参加するのも、王族の仕事をする上での移動手段に過ぎない。
「それでも、神月人くらいは気付くよな。」
「スノーヴァル家も同様。」
温厚なスノーヴァル家でも、宇宙連合に加盟している種族なのだから、神月人を見掛けたら、挨拶、噂くらいしてもいいだろう。
「この明宙丸はおかしい。」
奇妙な静寂が、私達の精神を攻撃する。
静寂でさえ、私達の敵なのだ。
人種など関係無い。限られた者達にだけある焦り、恐怖。
「ま、怖いとかそういう問題じゃないけどね。神月人と王族の時間の中で全部解かないとっていう義務があるから。」
私の生意気な態度が恥ずかしくなるほど、風瀬 深刃のカリスマ性に惹かれる。
「あっ、もう一回自分から名乗らせてよ。風瀬 深刃。深刃だけでいいから。」
私が自分の名前より、深刃の名前を先にだした事が恥ずかしくなった。
「マーズ=スターライン……何で私の名前を知っているんだ!?」
「盗聴するときは慎重にやんなよ。逆探知普通にできるからさ。」
……………悔しい!
………逆探知って怖いですよね。