第七話 【明宙丸編】 小さな陰謀
明宙丸編、第七話です。
「はぁっ、いいかげんにしなさいよね!!」
足をばたつかせて反抗する少女は、執事、親戚さえも困らせていた。
「わがまま?そんな事言ってる間に早く仕事をしたらどうだ!」
本当に、メイドって疲れるのよね。
第七話 【明宙丸編】 小さな陰謀
「よく寝られて良かった。」
まったく、明宙丸のサービスは、極上だ。私の睡眠がそれを実感している。さて、この静かなままツアーを終わらせよう。
『平和でいいね。早くご飯食べにいこう!』
「そうはさせないぞ。」
ニヤニヤして、盗聴機のスイッチをきった。
「このクロワッサン美味しいねぇ、お酒に合うよ。」
「寝起きからお酒とは、まぁ。」
足元に目だけを動かした。するとそこには、きれいな金髪のショートボブにティアラをつけた小さな子供がいた。だが、少女の顔に浮かぶ表情は、少女の性格の悪さを物語っていた。
「よく言えばおしゃれ、悪く言えばおやじくさいってところか。」
「ああ、そうだな。よく言えば子供らしい、悪く言えば憎たらしいっていうところだな。」
一目見てわかる、典型的なスターライン家だ。特にこの子供は育つにつれて強烈な性格になりそうだ。
「暇をもて余したんなら、王族の権力でも使っておもちゃで遊べば?」
子供の世話をする時間もやる気も無い。そんな私の前に現れた少女は、『お前がおもちゃだ』とでも言いたげな態度をしている。
「おい、神月人。私は気付いてしまったのだ。極秘計画とやらに、な。」
「ほぉん、そうか。良かったな。名探偵。」
すっかりぬるくなった酒をキンキンに冷えた炭酸水で割って飲んでいる余裕に驚いたのは、少女だった。
「ふ、ふん。余裕だな。極秘計画の事も、神月人の事も、お前の名前が『風瀬 深刃』っていう事も知っているんだぞ!」
「もっと勉強したほうがいいとおもうぞ。国語力を磨け。ついでに態度と言葉づかいもな。てか、何で私の名前知ってるんだよ、気持ち悪いな。」
こくん、こくんと酒を飲み、何もなかった用に朝食を続けた。もう私の目は少女に向いていなかったが、少女の悔しそうな表情は、想像できる。
「っっ、私だけ全てを気づいたんだ!少なくともっ、私が一番頭がいいんだ!」
ムキになった少女の会話に会場は気付いていない。
「………、言葉の使い方、物事の考え方、私が教えてやろうか。」
少女は驚きを隠せていなかった。ご自慢の頭が追いつかないらしい。
「朝食は用意する。私の部屋にくるんだ。」
「?」
「?!」
「!」
駆け足で会場を出た。相変わらず、会場は和やかだった。
「どうやら、静かにツアーを終わらせるのは、難しいようだね。」
「???」
廊下は、静かながらに私とマーズの足音を谺させた。
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