第五話 【明宙丸編】 学者として、剣豪として、神月人として、親友として
ゆらり、ゆらり。時は動いているのか、舟の中。
ぼんやりとして、はっきりとしている。宇宙のような意識の中で、無数の感情が瞬いてる。いや、入り乱れている、とも言える。
私は、状況に追いつけていない。私自身の問題ではないという限り、スケールの大きさが計り知れない。ひんやりとした船内で、私は一人つぅ、と汗をながした。
第五話 【明宙丸編】 学者として、剣豪として、神月人として、親友として
「もしかしたら、深刃も知ってるんじゃないかしら?」
…哀耶の言っている意味がわからない。本当は、夢だとか、風瀬 深刃越しに誰かに話しているのだとか。そういう逃げ方を考えていた。ますます、哀耶の話は耳に留まらなくなった。
「…知らないね。なんのことか、さっぱり。」
「そうよね。」
ならば何故聞いたのか、少し苛ついた。……心の余裕が削られているのを、理解した。
「この話は、宇宙最高会談を装った、さらに階級が高い話し合いであった内容なのだから。」
自分の感情と事の整理を放棄する程、立っているのに精一杯。急過ぎる。何もかも。
こうして、移動するため舟に揺られている。哀耶はこれでも気を使って、最高の部屋が完備されている舟を手配してくれた。広い部屋、どこかの高そうなカーペット、ふかふかのベッド。スタイリッシュな窓からはきれいな星宇宙が見える。
コンコン
ノックをしたのは、メイド(らしき人)だった。
「お食事の用意ができました。今日はバイキングですので、御早めに。」
なめらかな銀髪を揺らしてメイドは部屋から出ていった。そう言えば、お腹空いた。
この舟はどうも旅行専用のものらしく、今も二つ程ツアーが行われているらしい。そんな豪華舟【明宙丸】は、ゆっくりした速度で、地球に向かっていた。食事も、グループで摂ることになっているようだ。
なぜ、旅行として行くのか。哀耶の言う通りのスケールならば、もっと瞬間で移動させるはず。ああ、ますますわからない。
「お食事はこちらでーす。」
広い船内に、いっぱいに詰められた食材。そのなかには、酒も出ていた。
………ちょっと気晴らししようかな。
彼女が酒を選びにいった事を確認したドレスは、含み笑いを浮かべた。
更新遅れました。 すいません…