第四話 月から見た地球。
月と地球って、とっ………………ても、遠いのです。
『神月の剣豪』
この星が有名なのならば、哀耶の存在自体は知らない者も少ないであろう。 (ただ若干引きこもりなだけであって。)
だが、哀耶の姿を直接見たことのある者は、ごく少数だと言える。存在が神に値する哀耶を、誰にでも見せないほうが良いとか何だとか。
私が言いたいのはだねぇ。私が『神月の剣豪』だということなのだよ。神に近い星とその姫を守るべく選ばれた、禍々しさと神々しさが紙一重の体を持つ者。それが私だった。異能力と神月の血に恵まれた私なのだから、当然発揮しなければいけない。異能力や血に頼らず、頭も鍛えられた。その結果が、側近兼学者の今の私。
『神月の剣豪』を名乗るだけあって、今の私は強いと言えるだろう。今では哀耶とセットで私が語られている。学者として足を踏み入れた土地でも、『神月の剣豪』として扱われ、勝負を挑まれた。これは別に格好つけている訳ではなく、『神々しい月の学者』、『禍々しい異能力の剣豪』として、勝負等々を断っている。
あぁ、酒飲みたい。
第四話 月からみる地球
「ねぇねぇ、地球ってどんな場所!?」
帰って早々、神月人の子供である満月に、質問された。この疑問は、大抵の神月人が抱くものだ。…夢を壊すようで、ものすごい気分が悪い。
「う~ん、分かんないなぁ。………月の学者を唸らせるとは、満月、学者志望か!?」
神々しい、ってのも、案外面倒くさいものだ。上を見ると、地球が見える。今日は雲が無いから、はっきり見えている。
「私達神月人は、地球にはいけないのよ。遠くから見ているだけでいいの。ここで見ているだけでこそきれいな星ではあるけど、その土地に入ったとたん、紛争、大気汚染…そんなものにまみれてしまうの。人間なんて、神月人と比べる価値も無いわ。」
「どうしたの?」
気付くと、満月が私の顔を覗きこんでいた。
「あ、なんでもない。ほら、早く寝な寝な。」
遠ざかる満月を見送り、感傷に浸った。実際、地球は嫌われているからな。特に、『イブ』と『アダム』からが関係の悪くなったかんじだ。
月の民も、眠くなる。それは普通のはず。哀耶、こんな時間帯に呼び出すとは……………。
「夜遅くに何のよう?」
「フォーイ、哀耶が呼んだんだろがィ。変な奇声がでてしまったわ。」
哀耶は、緊張感のある顔をした。よくわからない、うちのお姫様は大変だ。
「あー…………。今日は地球がよく見えるね。」
すると、哀耶はもっと厳しい顔になった。やべ、何か間違えてしまった??
「…………………………………。深刃。」
神月人の姫は、迫力のある顔つきを見せた。私が何か言おうとする前に、哀耶は口を開いた。
「深刃、月の学者として、地球に行きなさい。」
…………………………………………………………………………………………………は?
ファっ!?千文字超え!?申し訳ありません…。