第三話 風を纏う刃
タグ詐欺にならないように、早めに要素を入れなければ……
なめらかな水面にうつる自分の姿をぼかすように、水をすくった。とぷん、とぷんと音をたてて試験管に水を流していく。宇宙のような輝きに目を引かれる。宇宙はここに広がっているのに、この泉の水は、どんな色にも彩られて……。
第三話 風を纏う刃
因果。この体には何かが宿っている。それが何であれ、私の使い道は決まっている。実質、『何か』があることは、普通であって、その『何か』の種類が悪かったようだ。
神秘的で、高貴な神月人は、『異能力』も華美だった。哀耶も、おおらかで、権力者にふさわしい『大気を操る異能力』をもっている。科学的ではなく、哀耶がこの星を異能力で守る事によって、権力の維持を見せているのだ。
では、同じ神月人である私はどうなのだろうか。
『強い』
それを求めてしまったが故に手に入れてしまった『異能力』だ。
『恐ろしい』
私は『異能力』を離せずにいる。
この異能力は、神月人にはふさわしくない。この徐々に紅く染まっていく髪も。
べちゃっ
ああ、長旅ってほどじゃないけど、疲れてんだわ。
「ねぇ、分かるでしょ?」
べちゃっと音をたてたものは、汚い緑色をしている。私の問いを無視したのも仕方ない、下等な生命体だった。濁った緑色のなかには、脳がないようだ。
「脳が無いのに哀耶がいる城の前に出るなんて、生意気だねぇ。」
きっと異能力も髪も私も、あるだけで忌々しい。そう、昔は思ってたんだよなぁ。
「この星と哀耶のために使わせてもらうよ。」
腰にかけた刃を抜いた瞬間、もう生命体は見えなかった。
「ん?何かあったの、深刃ったらボーッとしちゃって。」
「ボーッととは…失礼しちゃいますなぁ。必殺技の練習をしてたんだよしてたんだよ。ほら、必殺!深刃ちゃんビーーーム!ばごーん!!」
「お疲れ様。………一緒にお酒でも呑みましょう?」
「お言葉に甘えて★」
風瀬 深刃:『神風を創る異能力』
深刃ちゃんビーム=チート技。
詳細、仕組みなどは、機密情報なので謎に包まれている。