表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の底の世界で  作者: 早朝さんぽ
7/13

【第七話】平地、召喚合戦

ミュカは周囲を凝視した。

召喚術を発動させるエネルギー源となる『秘薬』の入った小瓶を握り締め、兵士を召喚する場所を睨みつける。

小瓶の中の秘薬が微かに減少し『門』となる魔方陣が描かれると、兵士が飛び出してきた。

さて、相手はどれだけの悪魔を召喚できる・・?

「ノエル君、術者を探してくれ」ノエル君に単眼鏡を手渡す。そっちは任せた!

ざっと見て5、60体程の悪魔がうごめいているが、リンゼが順調に倒してくれているので、準備してもらった一個中隊、60人の兵士で十分対応できそうだ。40人を分けて召喚し、20人は待機させておく。

思ったより早く片付く・・しかし、なにか引っかかる。

その予感はすぐに的中してしまった。

ノエルが「風上に新手だ!」と叫んだ。

同じ事をやられたのか!!

30体程の悪魔と、あれは・・

大きな『アゴ』が影から暴れながら出てくる。巨大なワニの体に長い手足を持つ、異形の悪魔が現れた。残る兵士を全て召喚してかく乱する。

足りない・・!

「リンゼ!」しまった!と思った。草原ではリンゼの靴のモーター・パワーが力を発揮できない・・リンゼに頼りすぎてしまった。

ドス!とリンゼが投擲した剣が刺さり、悪魔が一体、灰になって消える。

リンゼも「持ちこたえて!」と叫ぶ。

その時ノエルが「秘薬を貸してくれ!」と言ってきた。

私は迷わなかった。

「リンゼ!!飛べぇ!」

私は驚いた。ノエルはリンゼの足元に『滑走路』を召喚し、リンゼにモーター・パワーを使わせたのだ。

ビュウン!!と風が唸る音とともにリンゼが飛ぶ。

一気に相手を自分の間合いに捉えたリンゼは、渾身の一撃で異形の悪魔を討ち取った。

青い光が消える。召喚術者は取り逃がしてしまったようだ・・。


・・・「すまない、私の未熟だった」ミュカが兵士たちに向けて言う。

僕も召喚術者を見つけることができなかった。

「ノエル様、先程はナイスサポートでした」とリンゼが切り替えた。

「リンゼも召喚術の免許と秘薬は持っているのですが、苦手なので使っていませんでした」

そういえば無免許召喚をしてしまったのか。怒られる・・!と思っていると、

「事情は私たちが見ている。大丈夫さ」

とミュカが言ってくれた。

「リンゼ!」と兵士の一人がリンゼに声をかけた。なにやつ!?

「兄ぃ様」

お兄様でしたか!

リンゼは四人兄妹の末っ子で、三人の兄がいることがわかった。上二人は女王様を守る少数精鋭部隊・銃士隊のエース、三番目だけ『大所帯』の親衛隊にいるそうだ。

「すばらしい活躍だったな、召喚術も教えてもらったらどうだ?」

と、目が合った。

「ノエル様がやってくれるので結構ですよーだ」

リンゼは僕の後ろにまわり込み、お兄さんに笑いかけた。かわいい!

そうだ、僕は召喚術の免許を取って、リンゼの魔法サポートをできるようにしよう!

「工学魔法兵装の整備も覚えたいな」

と言うと、向こうを向いたままリンゼが、ノエル様なら、できそうですね。と言ってくれた。


・・・家に戻ると、

「ああ、さっきの滑走路これかぁ」とミュカが気づいた。

家の屋根の板が一枚、無くなっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ