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星の底の世界で  作者: 早朝さんぽ
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【第二話】特使と銃士

「はじめまして、ノエル君。私はミュカ。ミュカ=ジャンドゥフリューだ」

突然のことに驚いている最中だが、とりあえず身分が上の方のようなのでとっさに膝をつき、低く構えた。

「女王様の特使、様?先の非礼をお詫びいたします」

気にしないでくれ、とミュカが続けた。

「君なら興味を持ってくれると思ったんだ、この本」

僕のことは先生から聞いたらしい。冒険に飢えた優秀な生徒がいる、と。それを聞いて僕は、先生にちゃんと見られていたことに気づいて少し、とても嬉しかった。試験の成績が良い方ではあったけれど、たくさんの生徒の中の一人でしかないと思っていたから。

「冒険といっても、危険なことはしないけれどね。町から移動する際には護衛もつけるし、資料を探しまわるのが主な仕事さ」

先生の許可を得る前に、僕は即答していた。明日から変わる日常のことが、楽しみで仕方がなかった。

「というわけで、今夜は君の家におじゃましてもよろしいかな」

「どうぞどうぞ!」とノリで承諾したが、この時はかなり軽く考えすぎていた・・。


外はもう暗くなり、街灯が点いている。鉄道駅までの短い道のりで、ミュカが話しかけてきた。

「君があの本のことに気づくまで、実は少し観察していたんだ」

「え!ぜんぜん気づかなかった・・」いつからだろう、変なことしてないよな・・?

「君は常に気配りを欠かさない。優しい人物だということがわかったよ」

よかった変なとこはしてない!安心して僕が口を開く。

「それはよかった、気配りが趣味みたいなものです」ハハハ、と二人で笑っていると突然、ミュカが小さく制した。

ここはテレフォン・ボックスの前。空はもう暗くなって、ぼんやりとした明かりだけが頼りだ。そこに、一人の男がいた。


「よぉ、鉄道で帰りたいんだが金がなくてなぁ、助けちゃくれねぇかぁ?」

少し酔っ払っているような様子の男が話しかけてきた。

「その指輪からして、余裕がありそうだったんでつい、話しかけちまったぁ」

それなら鉄道員に・・と思ったが、ミュカが止まったままなのが気になった。いきなり大人の男に話しかけられれば、びっくりもするか。

「指輪を寄越せ!!!」

うわ!!???突然男が飛び出してきたらしい。僕もとっさにミュカに手をのばしたが、

ごん、という音がして男は地面に激突した。

???何が起こったんだ、いつの間にかもう一人の人物がその場にいた。

大きな槍を持った、少女?どこから出てきたんだ?横顔がかわいい。

あっけにとられていると少女は突然、ジャッ!と地面を滑って高速移動し、離れた場所にいたらしいもう一人の男を『のして』いた。

「ミュカ様、この者たちは親衛隊に引き渡しますが」と、少女が話しかけてきた。

おまかせするよ、それより・・とミュカが返す。それより?

「君、もう離れても私は大丈夫だよ」

ほっとしたが、へっぴり腰でミュカに半端に抱きついたまま固まっていた僕はかなり格好悪かった・・。

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