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元気いっぱいに逝ってみよう♪(誤字に非ず)

数時間前の私、そこに正座。

だいたい、後方支援タイプな神官である私が戦闘出来るわけないって、良く考えなくてもわかるでしょうに。

比較的キレイめなワンピースと、手元が寂しいからそこらへんで拾ったなんかの木の棒を持っただけの私なんて防御力どころか戦闘力も皆無である。

そんなカモがねぎを背負ったような、非力で可憐な私が一人ほっつき歩いてたらどうなるか。

答え→わかり易いヒゲ面悪人たちに簀巻きにされて荷馬車で運ばれます。


「もがーもがー!!ぷはぁ!!はぁはぁ…これで私を逃げす気になった!?」


「猿轡噛まされてたくせに、なんでまだそんな強気な態度なんだよこのガキ」


荷馬車が止まって荷台に乗り込んで来た悪人面のおっさんが、私の猿轡を取って残念な人を見る顔付きになった。

どうしてだかさっぱりわからない。


「収穫がないからって、こんなの捕まえて来てもなぁ」

「いや、見た目はいいだろ。見た目は」

「ああ、見た目だけはいいよな、黙ってたら」

「そうだな、黙ってたらな」

「見た目だけなら、残念な中身がわからないから売れるだろう」


「ひいぃぃぃぃっ」


口々にひどいことをいってるヒゲ面悪人たちの言葉に私は恐れ慄く。

う、売られちゃうの、私!?


「へへへっ、泣きそうな面して。コワいのか?」

「見た目だけなら小ギレイなガキだからな。連れ歩くにしても、性奴隷にしてもいいだろうよ」

「…仕事、覚えられるんか、こいつ」


「「「………………」」」


一人のセリフに、みんながしょっぱい顔になって私を見下ろして来る。

失礼だな!!


「ま、まあ、大丈夫じゃ?」

「そうだ!オレたちが今からちょうきょ…じゃなくて、仕事を覚えされてやればいいんじゃねーか!」

「おっ、頭良い!!」

「最近、御無沙汰だからなー」


あれ…?悪人面たちの目がギラギラし出したよ?

それを見た瞬間、私の腕にゾワッと鳥肌が立った。


「や、やだ…」


おっさんたちの妙な熱がこもった眼差しがコワくて、ミノムシ状態で後退る。

荷台はキレイじゃなくてワンピースは汚れるし、ところどころささくれがあるからずりずりおしりを擦るたびにチクっとした痛みが走る。

ぜ、絶体絶命だよ、私のキレイめなワンピースが!!

おしりに感じた大きな木の割れ目と、ビリッという不吉な音に慄く私はこちらに延ばされる複数の手を見ながら絶叫する。


「だ、だれかたすけてぇぇぇぇぇぇっ!!」


「「「ユリ!!」」」


「…はい?」


思わず呼ばれて返事をする。

そして返事をした瞬間、吹っ飛ばされる悪人面のおっさんたち。


「あああああありえないー!?」


目を疑う私と、良い感じで吹っ飛ばされて荷台の幌を破ったり壁の一部を破壊して一緒に外へ飛んでいくおっさんたちを尻目に、その三人は慌てた様子で走り寄って来た。


「大丈夫か!」

「ケガはないー?」

「どうした、しゃべれないのか!?」


お、おうふ。

視界いっぱいに各種のイケメンのイケ顔が迫って来て、私の意識は一瞬だけ遠のいた。


「おい、大丈夫か!?」

「どう見ても大丈夫じゃないよ?見てわからないの、先輩」

「コワかったよな。こんな奴らにひどい目に遭わされて」

「「なんでこっちも見る」」


あわわっ、獣人さんの元より鋭い目が更に鋭くなって、おっさんたちだけじゃなくて青髪くんと後輩まで睨み付けてる。

二人は二人で獣人さんに対しても臨戦態勢で、剣呑な空気が壁と幌が破壊されて開放的になった荷台を重くしていた。

その非常事態に、意識をこちらに戻した私は慌てて三人の注意を引こうと口を開いた。


「だだだだだ、だいじょうぶ!汚されただけだから!!」


ワンピースを。

その一言を付け加えようとした私だったけど、突然ヒーローのように現れた三人は最後まで聞いてはくれなかった。

ミノムシな私に合わせて屈んでくれていた三人は無言でゆらぁって立ち上がって、それぞれ自分の得物(獣人さんは拳だ)を構えておっさんたちを見下ろした。

三人とも背が高いから、迫力が違うね!


「「「死ね」」」


冷ややかなそのセリフと共に、一方的な蹂躙が開始されました。

ミノムシのまま震えていた私がいえることはただ一つ。

ヒゲ面悪人なおっさんたちは、一人残らず元気いっぱいに叫んでいたってことだけだ(合掌)。


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