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作者: 成瀬なる

わたしは鈴木佳音。売れっ子の作家(になる予定)だ。

わたしは朝からずっとカレンダーをみてため息をついている。何回見ても、〆切の赤い文字は今日、12/31のところについている。

わたしは雑誌に定期的に小説を発表しているが、必ずしも小説家としていい、というわけではない。しかもわたしは毎回の如く〆切を過ぎてから編集部に持ち込むので、次遅れたら仕事はないからなと言われている。

それでも、わたしにまで仕事が回ってくるのは、ファンがいるからだ(と思いたい)。

わたしは今日が〆切だということで朝からいろいろなことを試してみた。逆立ちをしたり、木登りをしたり……。それでもわたしのパソコンの画面には文字一文字だってかかれていないし、ノートにも一行だって書いた形跡がない。

そんなことをぐだぐだ思い悩んでいると、電話がなった。

「はい、鈴木です」

編集部からだった。

「今回遅れたら本当に次回から仕事をあげないからな。心して書け」

それだけ言うと電話は切れた。

ツーツーというおとが耳に悲しく響く。なんとかして書き上げなくてはならない。

一応パソコンにむかってみたものの、ちっとも進まず、時間だけがただ過ぎていく。

ふと時計を見ると、時間は今日が終わるまであと数時間だった。気ばかりがあせる。時間は刻一刻と過ぎていく。

こうしていてもしょうがないと思い料理を作る。そしてわたしはふと思い立った。

今日思ったこと、考えたことを書いたらどうだろうか、と。

急いでパソコンに向かい超特急で原稿を書き編集部宛に送信する。

送信時間は11時58分。

なんとか間に合った。

12時01分に編集部から返信が来た。

>悪いがこれをうちの雑誌にのせることはできない。

がっかりした。しかし読み進めると以下のことが書いてあった。


>これを下の編集部宛に送ってみろ。話はしておいた。


わたしは言われた通りに送った。



わたしは鈴木佳音。売れっ子のエッセイスト(になる予定)だ。

〆切は1週間後。

そろそろ仕事を始めるかな。わたしはのろのろとパソコンに向かう。


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