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行く先失った想い

作者: あくあ
掲載日:2007/02/20

私は煉瓦の花壇に腰掛けていた。

さわやかなそよ風が私を包み、何枚かの木の葉が横を舞う。

後ろから近づく足音。


「さくら…」


振り返ると、愛しい人が微笑みながらこっちを見ている…


「純。」


触れたくて急ぎ足で近づいた。



「さくら…さくら!」

目を開くと、さっきまで見ていた顔と同じ…でも、ちょっと違う。

「翔…?」

彼は私の前の席に座って話しかけてきた。

「お前いつまで寝てんだ?とっくに放課後なってんぞ?」

ふと時計を見ると、6時になる少し前だった。

「…ほんとだ…全然気付かなかった。」

彼はさみしそうな顔をしたあと、そっと呟いた。


「純……か…」


2人しかいない教室。その声はハッキリと私に聞こえた。

窓の外を見ると綺麗な緑の木々達が、夕日色にほんのり染まっていて、

心が締め付けられるような…そんな淡い色を出していた。

私はあの日から毎日のように同じ夢を見ている。

純は私に微笑みかけて、いつまでも思い出を引っ張り出す。


ねぇ……どうしたらいいか…何をしたらいいか…

どうやって生きたらいいか…何にも…何にもわからない。


「ごめん。翔…」


帰り道、突然口を開いた私に翔は驚いたと思う。

それから私は何も言わず俯いていた。


「なんでお前が謝るんだよ…」

胸が苦しくなった。

純がいなくなってから、翔は私にものすごく気を使ってくれた。

自分も辛いはずなのに……

「ごめん…」

純を忘れるなんて絶対ありえないし、前を向いて生きてだっていけない。

「消えたい…消えてなくなりたいょ…」

「…ふざけんな!!!」

私の言葉に、翔は声を荒げて怒鳴った。

「なんでそう馬鹿なこと考えるんだよ…お前…

 お前までいなくなったら…俺、どうなるんだよ…」

翔の初めて見る弱く泣きそうな目に、私は後悔した。


「………翔。」


「…何?」


翔が涙をぬぐったように見えた。

「私、純が大好きなの…」

「……うん。」

「いなくなっても、大切なの…」

「……うん。」

「想いは、ずっと純の方に向き続けてる…」

目の前が見えなくなっていた。

「………。」

翔は私を抱きしめた。

翔の体が小刻みに動いていて、私も涙が溢れてきた。


大好き…大好き…純…どこにいるの?

帰ってきて…さみしいよ、切ないよ…

「俺がいるから……あいつと同じ顔なんてお前は心底嫌かもしれない…

 でも、俺がお前を一生まもってやるから!!」

「ぅぅっ…」


あぁ…翔がいてくれて良かった。

ありがとう…

今は、まだそれしか考えられないけど…

あなたがいなくても、生きていく方法を探すよ。純…

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