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血と愛は同じ赤色をしている  作者: 津崎新


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勘助と正吉は隠れ里に到着した。


いつもより空気が重いような気がする。勘助はもうここには二度と帰ることはないと思っていた。


「森の中を彷徨った時は本当にこんなところにあるのかよと思ったけど、本当にあったな」


「当たり前だ。簡単に見つけられない場所に作っているから隠れ里だ」


「それじゃあ、姫様を探そうか」


二人は隠れ里へと入っていく。


勘助はまず一郎の家へと向かうことにした。駒姫を監禁しているなら、そこの可能性が一番高い。


勘助はこれから駒姫に全ての神刀の魂を解放して貰うつもりである。もちろん、一郎の神刀も含めてだ。伊与や先祖達を地獄の苦しみから救うために。


木々が風でざわめき、里全体を包み込む。


それはつまり一族の歴史に終止符を打つということである。


一族の歴史を重んじる一郎は許容しないだろう。一郎との戦いは、もう避けられない。


ちょうど目の前に懐かしい気配が見える。


隣を歩く正吉の顔も引き締まった。


「勘助、お前の顔をまた見るとは思わなかった。ここに何の用だ」


「姫様を迎えにきた」


「……駒姫はあの家の中にいる」


一郎は親指で一郎の家を指した。


「姫様! 今、助けますぞ!」


正吉は一目散に家へと走り去った。


「随分、素直に教えてくれるんだな」


「隠し立てする意味もないからな。犬井家との依頼は何とかなった。心を入れ換えるのなら、神刀の一族に戻ってきてもいいぞ。まあ、ここまで駒姫を助けにくる時点で、もはやお前は亀山家の一員だと思うがな」


「……亀山家にそこまでの義理はない。俺が考えているのは神刀の一族のことだ」


一郎は眉をひそめる。


「どういうことだ?」


「神刀になった人々が地獄に落ちて苦しむ代わりに炎を操ることができる。それが儀式の正体だ。俺は伊与を愛しているし、神刀の人々を尊敬している。その人達を苦しめて手に入れた力で何かを成すということが有り得なくてな」


勘助は腰の神刀の鞘を撫でた。


「俺が望むのは伊与や神刀の人々の幸福だ。だから、姫様に治癒の力で全員解放して貰う」


「わかっているのか? それは神刀を否定するということだ。何百年も紡いできた一族の歴史が全て無に帰り、これから紡ぐはずだった神刀の歴史もなくなる。俺達も文字通り、心血を注いできた。それらが無駄になるということだ」


勘助の脳裏に伊与の笑顔が浮かんだ。それを歪ませることは有り得ない。


「愛する者を苦しめることで手に入れる力はいらない。今も貴方の妻も苦しんでいる」


一郎の眥が微かに動いた。


「……それが神刀の一族だ」

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