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血と愛は同じ赤色をしている  作者: 津崎新


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あの世に行った神刀の使い手達は今、何を思っているのだろうか。


あの世に行った時に愛する者がそこにいなくて、何を思ったのだろうか。


愛する者が血の池地獄で苦しんでいると知ったら、何を思うのだろうか。


それは勘助自身も遠からずそうなる。


もう二度と伊与と会えない。


伊与のいないあの世で生きていかなければならない。血の池地獄で伊与は苦しみ続ける。


そんなの耐えられるはずがなかった。


「どうすれば、伊与達を血の池地獄から解放できるのでしょうか。教えて下さい」


勘助は額を地面に擦り付け、土下座した。


尊厳なんか糞喰らえだ。伊与のことが何よりも大切なのだから。


それは歴代の神刀の使い手もきっと同じだろう。


僧は膝をつき、勘助に手を伸ばした。


「顔を上げなされ。貴殿の誠意はもう充分伝わっていますから」


勘助は顔を上げた。顔は土で汚れきっている。


「方法は一つ。治癒者に刀に触れてもらうことです。治癒の力は契約を破棄させて、魂を成仏させることができます」


「治癒者が救う……?」


勘助は思わず呟いた。


神刀の一族では、治癒者は天敵とされている。絶対に相容れない者と。


勘助の背筋に反射のような拒絶が走り、全身を硬直させた。


「そのようなこと……有り得ない……」


治癒者が救うなどと言われても、勘助には到底受け入れられなかった。


静かな眼差しの僧が諭すように語りかける。


「貴殿の一族では、治癒者は力を使えなくしてくる敵とされていたでしょうね。でも、よく考えて下さい。力が使えなくなるとは、つまり、地獄呼びの契約を破棄できるということではないでしょうか」


一族の教えが胸の内で軋み、反転していくのを感じた。


天敵と叩き込まれたはずの存在が伊与を救う唯一の光だというのか。


伊与が笑う顔が脳裏に浮かんだ。それが僧の言葉と重なっていく。


救える。


痛んでいた胸の奥がじわりと熱くなり、勘助は思わず手を胸に当てた。


しかし、重大な問題が立ち上がる。


駒姫は一郎によって連れ去られてしまった。


使命は明確だった。


犬井家の亀山城に行き、駒姫を連れ戻す。そして、伊与や先祖達の魂を解放して貰うのだ。


それをしないことには伊与達はずっと苦しんだままなのだから。


今も血の池地獄で溺れ焼かれる伊与達の伸ばされた手を掴むべきだ。読経の声は先祖達に届かない。


だからこそ、勘助が伸ばされた手を掴むのだ。

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