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血と愛は同じ赤色をしている  作者: 津崎新


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月川城で此度の戦の葬儀が執り行われていた。勘助と正吉が仕合いをした広場には篝火を焚かれ、僧が読経を絶やさない。


篝火が音を立て弾けた。戦死者の魂がこの世を離れたがっていないのだろう。この者達は駒姫を守るために戦い、戦死した。覚悟の上で戦っていたとしても、急に死ぬことは無念である。この世に対する未練が残ることだろう。家族や友人や主君のこと、己の夢のこと、数えれば暇がない。


ゆえに僧は経を唱え、彼等を導く。


篝火の火の粉が夜を割き、宙を舞う。


勘助としても、彼等を守りきれなかった負い目を抱いていた。かといって、伊与を犠牲にした力で守るなど。篝火がその罪をも照らす。


葬儀は死者だけのものではない。生者にとっても意味がある。


死者の魂がこの世を彷徨ってしまえば、やがて怨霊になり、生者を祟るようになる。


愛した者を祟ることも、愛された者に祟られることも、地獄である。


生者もまた祈らねばならぬのだ。死者を見送り、日常に戻るために。


この城にきて、日も浅いが、それなりに縁を結んできた。勘助自身も祟られるかもしれない。だが、それでもいいかもしれない。もう道は見えないのだから。この力をどのように使用すればいいのか、もうわからない。


勘助が篝火を見ながら、そのようなことを考えていると、一人の僧が近づいてくる。顔は厳しく、眼差しは鋭かった。


「貴殿、地獄呼びの儀式をしましたね。刀から邪気が溢れていますよ。これほどの邪気は葬儀に影響する」


僧の声は低かった。


読経の声が遠くに聞こえた。


勘助は辟易とする。僧に神刀のことを言及されるのはこれが初めてではない。だが、地獄呼びと呼ばれたのは初めてだった。


「何を言っている? これは神刀といい、先祖代々受け継いできた儀式で妻と作成したものだ」


「先祖代々……!?」


僧は呻き、苦渋の表情を浮かべた。


「あの恐ろしい儀式を……何人が今も苦しんでいるか……」


僧は悲痛な面持ちで目を伏せた。


しかし、次の瞬間には勘助を見据える。その目には炎が宿っていた。


「貴殿の妻は苦しんでいる」


僧は勘助の腰の神刀に手をかざした。


「それを今から御覧に入れましょう」


僧がそう言うと、目の前が葬儀の広間から急に変わった。

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