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血と愛は同じ赤色をしている  作者: 津崎新


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18

十兵衛を討って、しばらく経ったら、犬井家の軍は全ての門から引いていった。


城内からは十兵衛を討った時以上の歓声が上がる。


勘助と正吉も城壁の上でその様子を見ていた。


「犬井軍は戦況が不利だから一旦引いて、態勢を立て直すつもりだろう。もうすぐ夜もくるしな」


正吉が冷静な目で犬井軍の退却を見ていた。勘助の方を向くと、安堵した笑みに変わった。


「犬井軍とまともにやりあっていたら、今頃は落城していただろう。勝因は犬井家に時間がないこと……そして、勘助。お前がいたことだ。本当にありがとう」


正吉は勘助に頭を下げた。


勘助は頬を掻く。


顔を上げた正吉は滔々とした様子で語り始める。


「俺が幼い頃、親父が酷い傷で戦から帰ってきたことがあったんだ。もう助からないのだと悟った俺は親父にすがって泣いたよ。でも、俺とそう年端も変わらない姫様が治癒の力で治して、親父は一命を取り留めたんだ。それから、俺は姫様に忠誠を誓っている。お前もすぐそうなれとは言わないさ。だけど、姫様の近くにいれば、そう思う日が必ずくる。姫様はそれだけのお方だ」


勘助は正吉の言葉に対する返事を持ち合わせていなかった。


戦況が落ち着き、夜になるということで、勘助は元の持ち場である駒姫の護衛に戻ることになった。


そこでは、駒姫や弥太郎達に歓声を持って迎えられた。その後、しばらく騒いでいたが、緊張の糸が切れたのだろう。疲れた様子で眠ってしまった。


城内は嫌に静まり返っていた。犬井家の猛攻を耐えきった安堵ゆえだろう。だが、このような時こそ何かが起きる。勘助の警戒は片時も緩まなかった。


皆が寝静まっている部屋の隅で勘助は神刀を持ち、胡座をかいていた。疲労もあるため、全く眠らないわけにもいかず、浅い眠りを断続的に繰り返していた。そのような折、勘助の背筋に悪寒が走った。


何故こんなところにいる。


それなのに城内が静かなのは何故だ。


襖の向こうに人影が写った。人影は襖を音も立てずに開けた。


「ここにいたか、勘助」


一郎がそこにいて、いつもの調子で話しかけてきた。それなのに着物は血塗れだった。

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