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血と愛は同じ赤色をしている  作者: 津崎新


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乗馬した十兵衛は東門から軍勢を雪崩れ込ませる機会を今か今かと待っていた。東門を突破してしまえば、犬井の赤備えはすぐに月川城を落とすだろう。


だが、もうすぐ東門を突破できるとの報告を受けてから、随分経つはずなのに音沙汰がない。


「何故、東門を突破できないんだ。確認させろ」


この策は時間との勝負である。東門以外の門にも攻め込んだが、相手方の虚をついただけだ。東門以外は突破できずに守備態勢を立て直されるだろう。それまでに東門を突破しなければならない。このままでは、他の門に突っ込んだ武士達の勇猛が無駄となってしまう。


伝令が十兵衛の前に跪いた。


「報告します! 突破間近の東門に炎を操る者が現れ、我等の軍を押し返しています!」


十兵衛は苦虫を噛み潰したような顔をした。


「……神刀が裏切ったか。本陣に行き、このことを殿に伝えろ!」


「はっ、承知しました!」


伝令は本陣の方へと走り去った。


十兵衛は馬から飛び降りると、側近に向かって叫んだ。


「具足を外す! 手伝え!」


側に控えていた武士が十兵衛の具足を外し始めた。


その光景を目の当たりにした武士が息を呑んだ。


「十兵衛様! いかがなされた!?」


声には怒りの色が見てとれた。


まさか戦を放棄しようとしているのではないだろうか。この策を考えたのは貴方で、この戦場の指揮は貴方だ。それなのに、その責任を放棄しようとしているのか。


そのような責めの色が含まれているのが見てとれる声だった。


「落ち着け。わしが戦を放棄するはずないだろう。神刀と戦うには具足を身に纏っていたら、駄目なのだ」


それを十兵衛は落ち着いた声で制した。


「まさか、神刀と戦うつもりでしょうか?」


「犬井の赤備えでさえ、神刀には敵わないよ。心配するな、わしは先代の神刀と戦って引き分けている。あの時の雪辱を今、果たしてやろう」

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