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血と愛は同じ赤色をしている  作者: 津崎新


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月川城の東西南北の門は全て堅く閉じられていて、何人たりとも城内への侵入を拒む。城壁には武士達が弓矢を携えている。城壁の内では女中達が薙刀を持っていた。


月川城の三方の川は穏やかだった。


朝日が犬井軍を照らした。赤で統一された具足が輝く。犬井の赤備えである。他家からは赤鬼と恐れられている。指揮するのは馬上の十兵衛である。義信は本陣で扇子を広げて座っていた。


犬井家出陣の太鼓の轟音が月川城まで響き渡る。


それを皮切りに犬井軍が雄叫びを上げて走り始めた。土煙が舞い、大地の底の底まで揺らす。


亀山軍は城壁の上で弓を引き絞り待ち構えていた。


幕で囲われた犬井軍の本陣では、義信が簡易的な椅子に座り、扇子を閉じて、祈るように地面を見詰めていた。遠くでは戦の雄叫びが聞こえるが、意に介していない。


幕を上げて、甲冑姿の武士が本陣に入ってきた。


「殿。神刀一郎が面会を申し出ております」


「来たか、通せ」


「はっ」


武士が本陣を出ると、入れ替わるように一郎が現れた。一郎は義信の前に進み出て、深々と頭を下げた。


「神刀一郎、参上致しました。この度は依頼を遂行できなくて、大変申し訳ありませんでした。何卒、挽回の機会を頂きたく存じ上げます」


一郎は土が額につくほど、頭を下げた。


義信は一郎に見向きもしなかった。


「もうよい。ここで共に十兵衛が月川城を落とす様を見ていようぞ」

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