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血と愛は同じ赤色をしている  作者: 津崎新


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犬井家の軍勢が月川城に向かっていることを勘助は知った。


城内は日増しに籠城準備で慌ただしくなっていく。籠城で飢え死にしないための兵糧が家臣達によって倉庫へと運び込まれている。軍議も盛んに開かれている。


任務は想定通りに全く進んでいない。勘助は一郎への定期報告の文も送らなくなった。こんなことは初めてだった。


勘助は任務を遂行する論理が見えなくなっていた。


駒姫を拐うために神刀の力を使っていいのだろうか。この力は悪を滅ぼし、弱者を救うために先祖代々今までずっと行使されてきた。


だが、このまま依頼を遂行しなければ、先人達が積み上げた神刀の名誉に泥を塗る。


駒姫は治癒の力で人々を救っている。城下町での治療に同行した時の人々の感謝の声は今でも耳に焼き付いている。


そのような人物を拐うために力を行使していいのだろうか。


先祖に顔向けできなくなるのではないだろうか。


子孫に誇れなくなるのではないだろうか。


少なくとも、駒姫がいなくなったら、死を受け入れるしかなくなる人が大勢いる。城下町で聞いた声は途絶えてしまう。それだけは、疑いようもなかった。


このようなことをするために伊与は神刀になったのだろうか。


伊与はそんな勘助を見て何を思うのだろうか。

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