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プロローグ
「ひぃぃ……化け物……」
男は腰を抜かし、歯を小刻みに震えさせて怯える。
人の形をした化け物は男へとゆっくり近づいていく。手に持つ刀は火柱を上げ、真っ黒の空に浮かんだ月を断絶させているように見えた。
仲間は皆やられてしまった。周囲で燃える遺体となってしまっている。
それらを全く気にする素振りもなく、化け物は歩みを進める。
「わかった……もう盗賊はやめる……この村からも手を引く……だから……」
男は尻餅をつきながらも右手で化け物を制した。
だが、化け物の歩みは止まらなかった。
「ちっ……愛する者を犠牲にして力を手に入れた化け物がよ……」
その言葉だけが燃える夜に残った。




