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Virtual Re:Link 〜レバニラ炒めを添えて〜  作者: 獬豸
第三章:レバニラでつながる世界
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第58話:レバニラよ、永遠に

 配信から数日後、事務所から一本の連絡が届いた。


「レバニラ姉妹卒業記念のイベント、開催したいって話が来てる」


 マネージャーの言葉に、私は思わずスマホを強く握りしめた。


 卒業。


 その響きに、胸の奥がキュッと締めつけられる。


「……澪ちゃんは、どう言ってるんですか?」


「前向きに検討してるよ。『やるなら派手に』って、彼女らしいな」


 電話を切ったあと、私はすぐに澪へメッセージを送った。


《イベント、受けてみようか。最後に、二人でちゃんとやろう》


 数分後、画面に短い返信が表示された。


《うん。やろう。ちゃんと、お別れしよう》


 お別れ。

 でも、その言葉の裏に「終わりじゃない何か」があるような気がして、少しだけ安心した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 イベント当日。

 配信スタジオの楽屋で、私は鏡の前に立っていた。レバニラ姉妹の衣装——あの頃と同じパステルカラーの双子コーデ。


 そこへ澪がやってきた。


「似合ってるじゃん。あの頃より大人っぽくなったかも」


「……澪こそ、前よりずっとキラキラしてる」


「そりゃ、ね。ソロでやってると、自然と背伸びしなきゃいけなくなるから」


 澪の笑顔には、少しだけ影があった。でも、私のほうも同じだったと思う。


 私たちはお互いに、今日を迎えるために、がむしゃらに走ってきた。


 配信が始まる。


「みんなー! こんばちは! レバニラ姉妹、最後の……大騒ぎだよっ!」


 視聴者数は瞬く間に十万を超え、チャット欄はレバニラスタンプで埋め尽くされた。


 企画は盛りだくさん。クイズ、歌枠、思い出トーク、そして——料理。


「ラストレシピ、いきますか!」


 私たちは一緒に包丁を握り、炒める。


 レバーとニラ、それから二人で開発した特製ソース。

 ファンから募ったアイディアを取り入れて、新しいレバニラ炒めが完成した。


「名前は……『レバニラRe:Link』でどう?」


「いいね、それ!」


 試食タイム。

 一口食べた澪が、目を潤ませて言った。


「……おいしい。泣きそう」


「泣いてるよ、もう」


 私も、気づいたら目元が熱くなっていた。


 配信の最後、澪がマイクを持って言った。


「今日で、レバニラ姉妹は一区切りです。でも、またいつか、ふたりでレバニラを炒める日が来るかもしれません。そのときは、またみなさんも一緒に食べてください」


 私は続けた。


「私たちは変わっていくけど、このレバニラの味だけは、きっと永遠です」


 画面の向こうから、大きな拍手とスタンプが降り注いだ。


 最後の「おつレバニラ〜!」の挨拶が、涙で滲んでいた。

カクヨムで投稿しております。

よろしければ読んでいただき、評価していただけるとありがたいです。

https://kakuyomu.jp/works/16818622171293154777

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