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Virtual Re:Link 〜レバニラ炒めを添えて〜  作者: 獬豸
第三章:レバニラでつながる世界
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第56話:新プロジェクト始動!でも…

「えっ……新ユニット?」


 打ち合わせ室に響いた私の声は、自分でも驚くほど裏返っていた。


 事務所のマネージャーが、ゆっくりとうなずく。


「うん。『レバニラ姉妹』はこの1年で十分に成果を上げてくれた。でも、次はそれぞれがソロでもう一段階ステップアップする時期だと考えてる」


 そう言われても、すぐには飲み込めなかった。澪と私、二人で積み重ねてきた時間、コラボ、レバニラ、ファンの声。それが、突然終わりを告げるなんて。


 あの日のことを思い出す。

 初めて一緒にやったコラボ配信。「レバニラ炒めを語る」という無茶なテーマに、最初は戸惑ったけど、澪の隣で笑いながら話すうちに自然と楽しくなっていった。


 あれから何度も配信を重ね、料理配信、イベント、リアル店舗とのコラボ……すべてがかけがえのない時間だった。


「……解散ってことですか?」


 隣に座っていた澪が、ぽつりと聞いた。


「解散というより、活動休止だね。別に絶対やめるわけじゃない。でも、それぞれに新しい挑戦をしてほしいんだ」


 マネージャーはあくまで前向きな提案だという態度だった。けれど、私の心はざわついていた。


 澪が私を見る。いつもと変わらぬ、でもどこか探るような目。


「……どうする、橘ちゃん?」


 私は答えられなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その夜。


 レバニラ弁当を片手に、控室でぼーっとしていた。


 結局、今日もレバニラ。もう何十回目かわからないけど、口に入れた瞬間、なぜか涙が出そうになる。


 レバニラの味って、こんなにしょっぱかったっけ。


 そこへ澪がやってきた。


「まだ食べてたの? 本当にレバニラ好きだよね」


 からかうような口調。でも、その声もどこか寂しそうだった。


「……ねえ、私たち、本当に離れるのかな」


「そうみたいだね。事務所の方針だし」


 言いながら、澪もレバニラをつまむ。二人で並んでレバニラを食べるのが、もう当たり前になっていた。


「本当に、離れて活動していけると思う?」


「……やってみないと、わからないよ」


 少し間を置いて、私は続けた。


「でも……正直、自信ないよ。私、ひとりで何かできるのかなって」


「私も、そんなに強くないよ。橘ちゃんがいたから、ここまでこれたんだし」


 澪は笑ってみせたけど、その目は真剣だった。


「……また一緒にやれる日、来るかな」


「来るよ。だって、レバニラは裏切らない」


 私たちはしばらく黙って、冷めたレバニラを食べ続けた。


 味は、いつもと同じだったけれど――なぜか、とても遠くに感じた。


 そしてその夜、私は初めて「澪がいない未来」を考えながら、眠れない夜を過ごした。

カクヨムで投稿しております。

よろしければ読んでいただき、評価していただけるとありがたいです。

https://kakuyomu.jp/works/16818622171293154777

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