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Virtual Re:Link 〜レバニラ炒めを添えて〜  作者: 獬豸
第一章:デビューと葛藤のレバニラ
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第五話:レバニラの誘惑

 Vtuberとしての活動を始めてから、もうすぐ一年が経とうとしている。


「お疲れ様です!」


 事務所の扉を開けると、先に来ていた同僚の澪が振り向いた。


「橘ちゃん、お疲れ! 今日は何の打ち合わせ?」


「新しい企画の話があるって言われて……澪は?」


「私も! もしかして、コラボ案件かな?」


 二人で並んでソファに腰を下ろし、雑談をしながらマネージャーを待った。澪とはデビュー時期が近いこともあり、何かと一緒に行動することが多い。最初はお互いに気を遣っていたが、今ではすっかり気楽に話せる間柄になった。


「そういえば、昨日の配信観たよ。料理企画、めっちゃ面白かった!」


「え、ほんと?」


「うん、でもさ……橘ちゃん、料理の腕は壊滅的だね(笑)」


「うっ……否定できない……」


 昨夜の配信で、私はチャーハンを作る予定だった。が、結果は焦がした卵と硬い米の混ざった代物。リスナーには大ウケだったものの、恥ずかしさでいっぱいだった。


「でもさ、次はちゃんとした料理、作りたくない?」


「そりゃあ、できるなら……」


「じゃあさ、私が教えてあげるよ! せっかくだし、一緒にレバニラ炒め作ろうよ!」


「……なんでレバニラ炒め?」


「美味しいし、栄養満点だし! それに、ちょっとしたネタになるじゃん?」


 澪のノリの良さにはいつも振り回されてしまう。とはいえ、ここで断るのもつまらない。


「……わかった。じゃあ、よろしくね?」


「任せて!」


 こうして、私たちのレバニラ炒めプロジェクトが始まった。


---------------------


 翌日、澪と一緒にスーパーに行き、材料を買い揃えた。


「レバーは新鮮なのを選ばないとね!」


「う、うん……レバーって、なんか生々しくてちょっと苦手かも……」


「大丈夫大丈夫! ちゃんと下処理すれば臭みもなくなるから!」


 澪は手慣れた様子でレバーを選び、ニラやもやしもカゴに入れていく。こういうとき、彼女のしっかりしたところが頼もしく感じる。


 事務所のキッチンに戻り、いよいよ調理開始。


「まずはレバーを牛乳に漬けるよ!」


「牛乳?」


「そう、臭みを取るため! あと、ニラはザク切りにしておく!」


 澪が手際よく進めていくのを見ながら、私は言われた通りに包丁を動かした。


「橘ちゃん、意外とちゃんとできてるじゃん!」


「そ、そうかな……?」


「うん! じゃあ、いよいよ炒めるよ!」


 フライパンに油を熱し、レバーを投入すると、ジュワッと音を立てて香ばしい香りが広がる。続けてニラともやしを加え、特製のタレを絡めると——


「できた!」


「おおっ、すごい、それっぽい!」


「じゃあ、試食タイム! いただきまーす!」


 箸で一口食べてみると、レバーの濃厚な旨味とニラの香りが口いっぱいに広がった。


「……美味しい!」


「でしょ!? これで橘ちゃんもレバニラマスターの仲間入り!」


 そうして、私たちのレバニラ炒め配信が決まった。


 配信当日。


「みんなー! 今日は橘ちゃんと一緒にレバニラ炒め作りまーす!」


 澪の元気な声が響き、チャット欄も盛り上がる。


「レバニラ!? なんで?ww」「橘ちゃん、料理大丈夫?(フラグ)」「百合レバニラ、尊い……」


 こうして、私と澪のVtuberとしての新たな挑戦が始まった——。

カクヨムで先行投稿しております。

よろしければ読んでいただき、評価していただけるとありがたいです。

https://kakuyomu.jp/works/16818622171293154777

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