第三話:レバニラの絆
コラボ配信が終わり、私と澪は事務所の控室に戻ってきた。
「橘ちゃん、めっちゃよかったよ!」
「そ、そうかな……?」
「うん! コメント欄もすごく盛り上がってたし、楽しかった!」
澪の明るい笑顔に、私は少しだけ安心した。
そのとき、彼女がコンビニ袋から何かを取り出した。
「じゃーん! レバニラ弁当!」
「えっ、また?」
「うん! さっきの配信で話してたら食べたくなっちゃって!」
結局、私もつられてレバニラ弁当を食べることに。
「これで明日からも頑張れるね!」
レバニラを頬張りながら、澪は笑う。
こうして、私と澪の距離は少しずつ縮まっていった——。
次の日、私は澪と一緒に事務所で打ち合わせをしていた。運営から新しい企画案が提示され、私たちは真剣に話し合っていた。
「今度の企画、二人でリアル料理配信って書いてあるんだけど……」
「えっ!? まさか、またレバニラ炒め?」
「そう! せっかくだし、リアルで作ってみない?」
澪はやる気満々だが、私は内心ドキドキだった。なぜなら——料理が苦手なのだ。
「ちょ、ちょっと待って、私、料理は得意じゃないし……」
「大丈夫! 私がフォローするから! それに、レバニラ炒めって意外と簡単だよ?」
彼女の説得に押される形で、私は料理配信をやることになってしまった。
数日後。
料理配信の日がやってきた。
「みんなー! 今日はリアルレバニラ炒め作りに挑戦するよ!」
澪がカメラに向かって元気よく挨拶する。私は緊張しつつも、エプロンをつけて準備を整えた。
「さて、まずは材料紹介!」
澪が手際よくレバーやニラ、もやし、調味料を紹介していく。その横で私は必死にメモを取っていた。
「橘ちゃん、なんか学生みたいだね(笑)」
「だって、料理自信ないもん……」
「よし、じゃあ一緒に作ってみよう!」
配信を見ていたリスナーたちは、「がんばれ!」「料理初心者あるあるw」「レバニラの女たちw」と盛り上がっていた。
そして、いざ調理開始。
「まずはレバーの下処理から! 牛乳につけて臭みを取るよ!」
「う、うん……」
恐る恐るレバーを扱う私。その様子を見て澪はくすくす笑う。
「なんか、橘ちゃんがんばってるの見ると応援したくなるな~」
「な、何それ……」
そんなやり取りをしながら、なんとかレバニラ炒めが完成。
「いただきまーす!」
おそるおそる口に運ぶと——
「……おいしい!」
「やったー! 橘ちゃん、料理マスターへの第一歩だね!」
この配信をきっかけに、私と澪のコラボはますます人気になり、視聴者から「レバニラ姉妹」と呼ばれるようになった。
こうして、レバニラ炒めは私たちの絆の象徴となっていく——。
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