表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元令嬢は無限収納の相続人を辞退したい  作者: 宇和マチカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/19

こんがらがったご関係

お読み頂き有難う御座います。

連休が去ってしまい悲しいです。

「あの、キーキビー嬢? とやらとフィールデン次官様が、ご婚約を? あの、フィールデン次官様とは義理とは言え書類上? は兄妹? ですよね?」


 ええと、キーキーリ側妃が国王陛下の妻の立場なら、キーキビーとやらは国王陛下の娘? 扱いなの? やんごとないなんやかんやなミラクル? 

 でも、お父様って、叔父のことよね。私のことを姪って言ってたし。その辺の扱いはどうなのよ。


 しかし、父親(重婚)の他の奥さんが浮気(こっちも重婚)かあ。

 ……実は他人だらけな王族怖い。引っ掻き回した叔父はヤバい。


「側妃キーキーリ様は離縁され、下げ渡された叔父殿の正式な妻となっている……。だから、書類上も他人となって……しまった」

「……家系図がツル植物みたいにこんがらがってしまいますね……」

「だからその、勝手に婚約者候補に……」

「……キーキビー嬢って、お幾つで?」

「……13歳だ」


 フィールデン次官様って、20代後半に見えるわ。何と言う厄介者押し付け……。ていうかあの金切り声、13歳なの!? 色々と図々しいな! 結婚可能な年齢は16でしょ!

 しかし、椅子がギシギシ煩いわ……。あれ、フィールデン次官様の手が赤いわ。まさか椅子のササクレが刺さったのかしら。どうしよう。


「ヴィーア嬢?」

「え? あ、……こくお……フィールデン次官様のお父様は何と仰せで?」

「父は、我関せずを通されている……」


 ……や、やっぱり……。なんとなく察知してたけど冷遇ルートなんだ……。

 でもね。しょーもない男に妻と娘を奪われたのよ?

 家族にも配慮して親身になるのが……ならないんでしょうね……。


「叔父殿の妻は、もうひとりいて……」

「そうですか……」


 お妃様を寝取り、お姫様を騙したってだけで驚きは尽きたわ。最早ふたりも3人も100人も変わらないのよ。でもあの叔父、どうやって世間に隠して結婚出来たのよ……。どうでもいいけど気になるわ…。


「本当にご結婚なさるのですか」

「絶対にしたくない。子供でも人として嫌いだ」


 あ、其処は良かった。ちゃんと拒否されたの……ね?

 でも、側妃キーキーリ様と離縁されたんなら、その娘(他人の娘)は国宝なんて着れないわよね。まあ、国宝見つかってもないけど。


「だが、婚礼衣装が必要なのは事実だ……。別の妃の娘が婚礼衣装を着たいと言い出した……」

「あ、そちらは王族でいらっしゃるから本当に着る権利がお有りなんですね」

「あ、ああ……」

「お幾つで?」

「8歳……」


 最早……婚礼衣装とはおままごと道具だったの? 

 でも、ドブみたいな色に染まってるかもしれないのに……。ワガママ娘には現実を見るのも大事かしらね。


「最近の婚姻可能年齢って、引き下げられたんですか?」

「……父は、幼い末っ子に甘くて……」


 国宝を子供の玩具にするな。

 ……しかし、碌でもない理由過ぎて……。

 こんな扱いをされても、フィールデン次官様の引き受けられた理由……。

 ご家族のことでしょうね。


「私が引き受けたのは、探し出せば母と姉と甥を連れて、小さな領地で暮らすことを許されたからなんだ」

「そうですか」

「驚かないのだな……」


 誠実な方だから、悪いひとではないと今までの会話で分かったわ。お血筋は高貴でも冷遇された上、こき使われていらっしゃるのね……。それに慣れていらっしゃるのだわ。


「……本当に、申し訳ない。我が家はシュノー家が没落した際、何の手も差し出せなかったのに」

「……」

「都合のいい時だけ、事情を隠して擦り寄るだなんて本当に最低だ。

 本当に、申し訳ない……」


 銀色の髪が、隙間風にサラサラと揺れている。イケメンのつむじを眺めながら、私は苦い気持ちになったの。

 国宝を持って帰れば、ささやかに家族で暮らしているだけの領地が頂ける。

 針の筵で王都で暮らすよりも、ずっと楽になる。

 そういう夢をフィールデン次官様の前にぶら下げて、此処にやられたのね。


 手袋と袖の間から見えた手の甲が荒れてらしたのは、そういう理由だったのね。


「ヴィーア嬢、早く隣国へ逃げて欲しい」

「ですが、フィールデン次官様」

「大体、自ずから縁を切った親族の負の遺産を負えなんて、おかしな話なんだ。貴女が心丈夫な方だから丸め込めなかったものの……」


 丸め込むおつもりだったのね……。

 ……確かに隙をついて逃げる気では有ったけど。本当に、良いのかしら。

 この方を放置して……。


「キーキビーが戻る前に、早く」

「フィールデン次官様……」

「逃げた君を探している、と時間を稼ぐから」


 ……本当に、良いのかしら。

 フィールデン次官様がお帰りになったから、荷造りが捗る筈なのに……。

 ……何でこんなに気が重いの。

お互い思ったのと違ったようですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ