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元令嬢は無限収納の相続人を辞退したい  作者: 宇和マチカ


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18/19

離れていた家族は幸せに集う

お読み頂き有難う御座います。

ラストです。


 私、荒地スッカン……いえ、スカーレット・カンナ城に住むことになって……。

 馬車で学校に送られるという、本でしか見たこと無い貴族学生みたいなことになったの。

 寮生活何処行ったのよ。そりゃ監督生業務は、やりたくなかったけど!


 それで。

 フィールデン次官様は基本此処だけど、王都と荒地を行き来されることもあって、私は学校でしょ。

 後、ちょいちょいゴミ焼きしてるわ。


 婚約者と共同作業がゴミ焼きってのも……まあ、うん……。いずれしないといけないものね……。物凄く不本意だけど、まあ……仕方ないわよね。

 お父さんに領地も頂いてるし、色々と呑み込まねばならんのよ。


 でゴミ焼きだけど……。今のところ、異臭が出そうなものはフィールデン次官様に、入口付近で焼いて貰ってるわ。3割ってところね。

 それにしても、燃えないものがトコトン出てこないわ……。原型のない元ナマモノばっかり。マジで何入れてんのよ。


「アルファルだ、ヴィーア」

「はいアルファル様、喜んでお呼びします」

「アルバイト先の上司のように呼ばないでくれ……。もっと初対面の時のように気さくに話してくれ」

「はあ……」


 フィールデンじか……アルファル様ってバイトしたこと有るのかしら。

 因みに宰相様の補佐のお立場は退官された後、引き継ぎに王都に通われているのよ。

 結構遠いから心配よね。


「ヴィーアちゃん、アルファルー。おやつよー」


 ニコニコしながら手ずから籠を持っていらしたのは、美しき側妃であったお義母様のナタリエッタ様であらせられるわ。

 お菓子作りが滅茶苦茶お上手でビビったわよ。


「わあ有難う御座います、ナタリエッタ様」

「今日はチーズケーキよー」


 こんな大きいお子さんがおられるとは思えない可愛らしさ……。

 国王陛下って、面食いだったのね。キーキー側妃の選ばれた理由は地位かしら。そうだろうな。

 一口サイズに切られて紙に包まれたチーズケーキは絶品だったわ。


「今日もとてつもなく美味しいですっ!」

「やったあ、ありがとうー」

「エルシア様とエルネス君はお庭のお世話を?」

「ええ、お水をあげてるわー」


 元側妃様であらせられるフィールデン次官様のお母様(離縁されたそうよ。よっぽど国王陛下が嫌いだったのね)とお姉様のエルシア様と甥御様のエルネス様もお出でになって。


 ……そういや、畏れ多いけどエルネス様は私の従弟なのね。叔父の差分が畏れ多くないけど、エルシア様の御子様ってだけで畏れ多いわ。

 黒髪黒目だけど、顔がいい感じにエルシア様の美形で中和されて普通寄りジト目で良かった……。

 何にせよ賑やかになったわよね。


「そう言えばね」


 ナタリエッタ様はゴミ焼きを見物なさるのがお好きらしいわ。焚き火が癒されるんですって。

 燃やした灰はその辺に撒いてたら雑草増えるから、お城の中庭に撒いてるのよ。灰が多くなってきたから、そろそろ穴掘らないといけないかしら……。


「誰か訪ねてきたみたいなの。ヴィーアちゃんにそっくりな殿方」

「……父ですね」


 ……間違いなくお父さんよね。私に兄弟は居ないし。お父さんの生きてる兄弟は叔母さん2人だけだし。お父さんの従兄は1人居たかな。領地に来たのかしら。


 そして火の始末してからお城に帰ると、困った顔のお父さんが滅茶苦茶居心地悪そうに門の前に座ってたわ……。

 今日は門番さん居ないのよね。良かったわ、オッサンに座られてるとか不審だし。

 中に入っときなさいよ。居心地悪いの分かるけど。


「まあ、並ぶとそっくり!」

「……な、ナタリエッタ妃……お目にかかれてこ、光栄です」

「えっ、お知り合いでしたか。ナタリエッタ様」

「嫌だわー、もう側妃辞めたの」

「重ね重ね申し訳有りませんっ!」


 ナタリエッタ様に平伏さんばかりに謝るお父さんが実に情けないんだけど、分かる……。

 慣れたけど、偶にああなりそうなのを耐えてるのよ。ナタリエッタ様やエルシア様が美しすぎて挙動不審になるの。

 血だなぁ……。


「義父上、お久しぶりです」

「うわあっ、あっ、ええと……アルファル様お久しぶりです」


 顔を覆って挙動不審になるの分かるわ。一緒に暮らしてるけど、美形親子に囲まれると偶に動悸息切れするもの。あ、エルシア様にも動悸息切れするわ。

 エルネス様とはちょっと気楽に喋れるのって、顔の美しさ圧が少ないからかしら。くっ、顔面偏差値の高低差……!


「どうなされたのですか、義父上。

 婿ですので、もっと気さくに雑にお願いします」

「未だ結婚してないでしょうが、アルファル様」

「雑!? 何てことをしてるんだ、失礼だろヴィーア! 

 今直ぐ平伏して謝りなさい!」

「まあ楽しい方ね、シュノー子爵」

「いえ、ヴィーアはコレでいいのです。義父上」

「えええ……。娘が失礼ばかりしてませんように……」

「何しに来たの、お父さん」


 私に失礼が過ぎるでしょうよ……。

 まあ、言いたくなるのも分かるけど。このノリが相手のご希望なんだから仕方ないでしょうよ。


「……ゴミ焼きに来たんだよ。領地だと木が多くて埋め戻しが大変なんだ」

「ではお手伝いしましょう」


 ……何でこんな荒地くんだりまで来たの。

 まあ、灰とはいえ不法投棄は良くないわよね。古代闇魔術に詰めてきたのかしら。お父さんの容量は大人の背丈くらいの箪笥くらいだっけ。

 結構な量よね。


「ヴィーアちゃん」

「はい、ナタリエッタ様」

「アルファルを、私達を救ってくれて、本当に有難う」


 なんて勿体ないお言葉。微笑まれると本当にお美しいわね……。涙が滲みそう。

 お母さんに縁が薄かったけど、こんなに温かいのね。


「ヴィーア、母と微笑みあうより私とイチャつきましょう」

「ヒエッ……。何故ウチの娘がこんな僥倖に……」

「あんなに嫉妬心を顕にするなんて、今まで無かったのよ!」


 まだまだ慣れないけど、アルファル様との生活はとても満ち足りている。

 ドキドキしたり、ハラハラしたり、戸惑ったり。


 お父さんと前よりよく会えることも。ナタリエッタ様とエルシア様とエルネス様と暮らせることも。

 貴族になったからといって、華やかな場で暮らしたい訳でもない。

 ……私もこんな風になるとは、思ってませんでしたとも。これから色々有るだろうけど。


 今なら素直に思える。

 アルファル様。もう私達、寂しくなくて幸せね。



数々の素敵な作品の中から、当作品を読んでくださった貴方に心からのお礼を申し上げます。

素敵な週末をお過ごしくださいませ。

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