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元令嬢は無限収納の相続人を辞退したい  作者: 宇和マチカ


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15/19

着慣れない服に着られる

お読み頂き有難う御座います。

「……んがふっ……くっ……」


 ……ああ、引っ越し荷物に潰される……。

 え、何で私の家がゴミ屋敷に!? いや、ゴミまみれの古着とか要らない……!

 この柔らかい感覚は、まさか巨大ホコリの中に放り込まれ……!? いっ、いやあああ!


「……!?」


 ……此処は何処……。

 何、この落ち着いていて麗しいお部屋は……。見たことも聞いたこともない! 

 漂う空気とか温度からして、隙間風吹きすさぶ我が家では、無い……。わよね。突如こんなオシャレリフォームしてないし。

 この寝具も、サラサラでしっとりフワッフワ……。庶民には手が届かない素材だわ。何て心地良いの。滅茶苦茶いい匂いだし!


 ま、まさか……あのオンボロなチャーリー・デコイ寮の監督生特別室!? その備え付け!? え、やったあ!

 ……いや、でも普通に床は軋んでたし寝具は持ち込みだったわね。

 と言うことは……うーん、ええと。昨日は……。くっ、体がしんどい……。私のじゃない闇の魔力が纏わりついてたから……。今でも頑固な油汚れのようにベタつくこの不快な魔力……ええと……。


「シュノー子爵令嬢様」

「ひぇふぁい!?」


 ……だ、誰それ!

 お祖父様が爵位返上させられてるから、ガチの子爵令嬢になったことなんて、無いのに……!?

 このメイドさん、いえ侍女さん? ……私の普段着より、お高そうなメイド服着てるわ。エプロン白すぎる。此処の使用人、洗濯上手なんでしょうね。


「お疲れでしょう。お食事はどうなさいますか?」

「お、食事? お、おいく……」


 此処が何処か思い出せないけど、お幾らなのかしら。

 寮の食堂って……ええと。無料ではないわよね?


「お支度させて頂きますね」

「え、あの……」


 くっ、口と頭が回らない! 頭に黒いモヤがかかったみたい……。ホコリのようにフワフワと……。

 黒いモヤ……ホコリ……闇。あ、そうだ!

 昨日、非常識な叔父の非常識なキーキー妻子と対峙したんだった! 


「既製服で申し訳御座いません」

「はっ、え、いえ……」


 何時の間にか着替えさせられているわ!!

 しかも何か……滅茶苦茶いい服に! 袖にフリル付いてる! こんなの着たことなくてどうしよう! 滅茶苦茶ご飯で汚しそうな位置に、フリルが付いてる!


「お食事を」

「は、はい……」


 ……その後、古びてはいるけど綺麗に掃除された美しい大広間……? みたいな所に超大きなテーブルがガーン! と大迫力で置いてある所へ案内されたわ。

 ……え、此処食堂!? ウチの村の畑位あるお部屋……。

 外には素敵なお庭……ではなく。荒地……。


 思い出した。荒地スッカンから、王女マリーエバー様に馬車で連れ去られたんだった。

 実際私を抱えたのはフィールデン次官様だけど。


 此処、何処なの……。荒地スッカン横? いや、縦? どっちでもいいけど……混乱しすぎてるわ。

 荒地スッカンにこんな大型お城? 建ってたかしら。

 見渡す限り雑草が蔓延る土地よね。しかし、お部屋の素敵さと相反して、窓から見える荒地の景観が悪いな……。


「あ」


 ほらああ! パンのバターが付いた! やっぱり袖ちょっと汚したあああ!

 こんなお高そうなひらひらワンピースうう! 庶民作法しか出来ないし、ご飯に向かないいい!


「……うう、本当にすみません……」

「お気になさらず」


 するわよおおお! とこんな綺麗な場所で騒ぐような無作法も出来ず……。

 滅茶苦茶スルーされて、ご飯の後にお着替えすることになったわ。

 ……私服なら無視するレベルのほんのちょっとの油染みだけど、居た堪れない……。


「マリーエバー王女殿下が、お茶に招かれております」

「えっ……。おいと……伺います」


 ヤバい……。

 御暇しますって言うところだったわ。御暇したいけど、服をお借りした上汚した&ご馳走されている手前、お礼を申し上げて賠償を申し出なければ……。

 何でこんな事になったのかしら。

 そして今日の授業どうしよう。そしてまた袖が派手な服……。後、上半身滅茶苦茶強調されてるわ。肩が張っててゴツく見えるから嫌なんだけど……。いや、痩せてるとは言えないけどさあ。


 案内されたのは……中庭みたいなところだったわ。此処には高価そうな植物が咲いてるのね。

 しかも、滅茶苦茶綺麗な王子様と王女様をお待たせして……。

 貴婦人気分より、申し訳なさの方が勝って足がガクブルしてるわよ……。


「あら、飾ると見られるじゃない。あんな大きい服を着ているから痩せてるのかと思ったら。ねえ、お兄様」

「……」


 え、フィールデン次官様は何故目を逸らされたの……。

 この素敵服に負けてるのは、申し訳無いけど! 見苦しいのは承知だけど、ショック!


「助平根性で見つめられないだけよ」

「……はあ……?」


 メリハリのない田舎娘に素敵服だから、浮きすぎて目も当てられないのかしら。

 何のスケベ要素が有ったのか……見間違いよね。はっ、まさか襟首のボタン取れてたとか、見苦しく裾捲れてないわよね。

 逆セクハラする気は無かったけど!? 上半身に肉はあるけど、色気無いしな……。

特にヴィーアは美少女に変身はしませんが、服で雰囲気変わったみたいですね。

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