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第九話 欠落した記憶

 今日はシズクと二人でデートに出かけた。

仙巌園せんがんえんという名所だ。観光スポットとしても有名だから、

春休みシーズンに訪れた日本人観光客で場は賑わいをみせている。


「リョウ。ここのお餅って持ち帰りも出来るよね?

クイナの分も5本くらい買っておきたくて」

「出来るよ。賞味期限は当日までだけどね」


「分かった。じゃあ今買ってくるから少し待っててね」

「了解」


 最近、シズクが俺の事をリョウ君じゃなくてリョウと呼ぶようになった。


「リョウ。楽しみだね! 再来週の新入生歓迎合宿」


 それに例の合宿も残り僅かとなった。

今から楽しみで仕方が無いものの、大袈裟に振る舞うとキモがられるから

少し自制しなくては....。


「でも、怖いよね..。最近、桜島の噴火警戒レベルが上がったってニュース..」

「ん? あぁそんなんあったっけ..。でも心配には及ばないだろ」


「..。どうして、そう言い切れるの?」

「いや..。別に断定しているわけじゃ無いんだけど」


 そうは言ったものの、シズクの顔は暗いままで、

彼女は何か紙のようなものは何かないかと俺に尋ねてきた。


 胸ポケットに入っている高級シャーペンとメモ帳を取り出し渡すと、

シズクは適当に開いたページに何やら年表? のようなものを書き出し始めた。


「ほら見て! 右は過去に鹿児島で未曾有の大災害を引き起こした、

桜島の大正大噴火に至るまでに起きた出来事。そして左は数年前から今に至るまでに

起きた出来事をまとめたものなんだけど、共通点があまりに多すぎるのよ..」


「俺はシズクが西暦と月日まで全部覚えてる方が怖いんだけど..」


 なんて彼女の記憶力に敬意を表しつつ、確かに両者の共通点は多かった。


 例えばこの、半年前に起きた喜界島の地震だったり、

つい先月発生した霧島山の噴火ーーそして現在

桜島の噴火警戒レベルが引き上げられた事も重なり、

シズクは少なからず危機感を抱いているようだった。


「鹿児島県って、アフリカ大地溝帯ほど規模は大きくないけれど、

それでも、今なお噴火を続ける活火山を有している点では変わり無いじゃん..。

だから私が言いたいのはね、新入生歓迎合宿..。一緒に欠席するのもありかなって..」


「なんで?」


 シズクの話には過去の例を元にした明確な根拠があるものの、

残念ながらこちらは未来からやって来た故、事実、そんなものが起こり得ない

事などとうに知っていたーー


「だって。俺は未来から来たんだから」

「あっはっは! リョウも冗談言うようになったんだねぇ..」


 まぁ、信じてくれるわけないよな..。


「じゃあさ、仮にリョウが未来から来たとしよう!

私との合宿はどんな感じだった?」

「えっとそれは..」


「........」


 あれ..。思い出せない..。


ぐっすり寝て、音楽聴いたら大分メンタルが回復しました!

この作品も起承転結でいうとこの転に差し掛かってきたので、

勢いを崩さずに最終話まで駆け抜けていきたいですね。


※同日投稿ではありますが、第八話と九話冒頭は先日書いたものです。



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