表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/170

第86話:そして世界は巡りくる


「ふむ」


 入院から一か月後。俺は左手を握って開いて、感覚を確かめる。丸っと再生した左腕は今のところ支障はない。看護師の皆さんも「コイツは一体何なんだ」と化け物でも見るような目を向けてくる。そりゃ肩から切り落とされた腕が生えてくれば、医学的には意味不明だろうが。


「じゃあ。お世話になりました」


 お医者様は佐倉財閥と懇意にしているお人なので、こっちの事情も組んでくれる。俺の腕が再生したことは流石に説明を要したが。腕が生えてもすぐ退院ではなかったが、経過観察をして、大丈夫だろうということで俺は入院一ヶ月で退院する。


 病院は今年で既に二度お世話になっている。あんまり行きたくはないのだが、それもこれもオメガターカイトが悪い。いや、悪くはないのだが。電車に乗って、我が家まで帰る。駅近のマンションなので、スイスイ進む。


「ただいまー」


 で、我が家の玄関を開けると、


「「「「お帰りなさいませ。ご主人様」」」」


 メイド服を着た四人のアイドルが俺を迎えてくれた。ただしミニスカで胸元が露出ギリギリで、とてもエッチなジョーク衣装。


「もう無理しちゃダメだぞ。ご主人様」


「…………えと。……胸揉みますか?」


「サヤポンはおにーさんに全てを捧げるにゃ。エッチな命令いっぱい聞くにゃーよ」


「マアジお姉様。拙の忠誠を捧げるデス」


 その四人のエロメイドは、首に首輪をつけて、そのリードを俺に捧げていた。握れ、ということらしい。俺はルイの首輪のリードを握って、グイッと自分の方へと引っ張る。


「あん♡」


 そうして引っ張られたルイが俺に傾いて。その唇を俺は奪った。


「ん……」


 唇を重ねて、そうしてキスを味わう。


「マアジ……マアジ……」


 その俺のキスに目をトロンとさせるルイ。


「…………ルイばっかりズルいです」


「おにーさん。皆平等に」


「拙は最後でもいいデスよ? ちゃんと愛してくださるなら」


「じゃあイユリはサヤカとキスしろ」


「マジデスか!」


 そのイユリはと言えば、サヤカの唇を標的にして、爛々と目を輝かせている。


「ちょ。ま。イユリお姉ちゃん? 目が怖いんにゃけど……」


「よいではないかよいではないか」


 やはり女子とキスするのはイユリにとって興奮するらしい。


「で、こっちも」


 俺はタマモのリードを握って、こっちに引っ張る。


「…………あ」


 贅沢にもルイを抱きかかえたまま、タマモも腕の中に入れる。


「好きだ。大好きだ。ルイとタマモが大好きだ」


「マアジ……♡」


「…………マアジ♡」


 だから、ルイとタマモにも好きでいて欲しい……と考えるのは傲慢だと知っていて。


「傲慢だぞ」


「……傲慢ですね」


 だよなぁ。


「でもそれくらいがマアジらしいかも」


「…………仮にマアジがあたしたちを好きでなくても、あたしたちは無条件にマアジが好きですよ」


 だから軽やかなキスをされた。チュッとルイから。タマモから。


「…………でも腕を落とすのはやめてください。……アレは流石に肝が冷えます」


「といっても聞かないんだぞ?」


「オメガターカイトが危ない目に合わない限り、俺は俺を保証する」


「つまりボクたちに危険が差し迫ったら」


「普通に助ける。佐倉財閥の全てを使って」


「それでサヤカを?」


 で、俺とルイとタマモはチラリとサヤカを見やる。


「ちょちょちょ! イユリお姉ちゃん目が怖い!」


「キスしますデスよ! サヤカちゃん!」


「落ち着け」


 で、俺は今度はイユリのリードを引っ張った。


「ぐぇ」


「お前、女子なら誰でもいいの?」


「可愛い女の子限定! でもオメガターカイトは全員合格デス!」


 まぁ実際に可愛いしな。


「あとマアジお姉様は例外」


 ありがとうございます。で、危機から逃れたサヤカが俺を見る。


「おにーさん……」


「言ったろ。腕くらい生えてくるって」


 その切り取られたはずの左腕……左手で、俺はサヤカの頭をなでる。その俺に感極まってサヤカは抱きしめてくる。


「大好きぃ……おにーさんカッコよすぎるよぅ……」


 わはははは。


「じゃあ今夜もやろうね」


「えー。病院では散々やっただろ」


 おかげで次の朝のナースさんの目が生温かった。


「いくらでもしていいんだよ? 目指すは想像妊娠かな?」


 夢の中でやって、現実で想像妊娠か。嫌なことを言うな。そしてその仮定が現実と地続きというのがさらに怖い。


「マアジ」


「…………マアジ」


 その俺を抱きすくめるルイとタマモ。DカップとGカップが、俺の腕に押し付けられる。あばばばば。童貞にはキツイ仕様。


「マアジのアレ。気持ちよかったぞ」


 感度数百倍だから誰でもそうだと思うんだが。


「…………好きな人に抱かれるって……こんなにも幸せなことなんですね」


 それは俺も思う。ルイとタマモを直接的に感じて、それが幸せだと言い切れる。まぁ夢の中なので正確には直接的ではないのだが。


「あのね。サヤポンのお父さんとお母さんもおにーさんなら嫁に出せるって言ってくれてる」


 まさかの家族公認。


「マアジ~」


「…………マアジ」


 だからそれは俺のせいか? ジョークみたいなエロメイドの格好をして嫉妬されても、こっちの現実感は追いつかないのだが。特にタマモなんておっぱいが服から零れ落ちそうだ。このまま揉んでしまいたいが、生憎と俺の理性はそれを上まって余りある。


「南無八幡大菩薩」


というわけで第二部終了です!

ここまで読んでくださってありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 マ”、これでお休み?  第三部、オメガターカイト全員が揃うのを待っております。  そして、いつかは現世(うつしよ)できちんと抱いて抱かれてと出来ますように。矢っ張り幸せになってくれるのが良いです。
第三部お待ちしております
次のヒロインは誰だろう? ところで、オメガターカイトって何人グループだっけ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ