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第65話:夢の中へ


「で、引っ越しは終わったか?」


 時間は夕餉。俺は全員分の食事を作りながら、タマモとサヤカに問う。十三階の空き部屋を二人のルームシェアの移住場所としたのは既に知っての通り。サヨリ姉に頼んで部屋を用意してもらった。で、俺とルイは普通にマンションに住んでいるが、そこにタマモとサヤカも住むことになる。


「何ソレズルいデス」


 もちろん一人ハブられて納得しない八百イユリの気持ちも分からんじゃないが。


「部屋の用意そのものは出来るんだが」


 果たしてルイやタマモがそれを許すのか。


「マアジがモテるのはわかるけどぉ」


「…………推しの事情には寛容が難しいです」


 そもそも俺はモテているのか。


「で、今日はカレーだ」


「カレー」


「今カレー」


「元カレー」


 いやぁ。俺は本当にどういう立ち位置なんだろうな。そもそも付き合っているのかという前提から思案せざるを得ない。


「いただきまーす」


 はいどうぞ。


「もぐもぐ。美味しい」


 それは全員が感じている感想だった。


「ちなみにマアジはこの中だと誰が好き?」


「ルイとタマモ」


 そこはブレることなく俺の中にある。こればっかりは妥協の余地なく俺にとっては明確だ。ただ、だからといってサヤカや八百イユリを袖に出来ない俺にも問題はあるのだが。


「マアジ♡」


「…………マアジ♡」


 そこでトロンと目を蕩けさせられると俺としても何と申したものか。


「それで夜の事情にゃんだけど……」


 そこでサヤカがクツセツについて言う。


「おにーさんはルイお姉ちゃんとタマモお姉ちゃんの処女を奪う気はにゃいんだよね?」


「まぁ、流石にな」


「でもモーホーでもないと」


「普通に女子が好きだぞ」


「じゃあつまり、処女さえ奪わなければ、そういうことをしてもいいと」


 それで別の箇所を使えばいいとか言われると上級者すぎるんだが。


「ああ、じゃにゃくて」


「カレーうまー」


 色々と話題が、切羽詰まっているのは認める。


「夢のにゃかにゃらいいんじゃにゃい?」


「夢って」


 つまり俺に疑似体験をしろと。そしてその能力をサヤカは持っている。オーバリスト。触れた人間にエッチな夢を見せる能力。サキュバスと呼ばれているのは妥当だろう。サヤカにはその能力がある。


「…………」


 俺はと言えば思案していた。


「やるのはいいんだが……それって俺が果てたら現実の俺のパジャマの下が大参事じゃないか?」


 あれをどうしろと。おねしょと同じくらい厄介だ。


「むむ。そこは考えていにゃかったにゃ」


「そこはアレデスよ。幸せ家族計画を先に装着して」


 なるほど、と言えればいいのだが。此処で話が進むと、俺的に逃げ場が無くなる。


「マアジのアレに先に蒸着させておいて、夢の中でニャンニャンするんだぞ?」


「…………それなら果てても問題ありませんね」


 えーと。もうやる方で話が進んでいらっしゃるので?


「あきらめるにゃ。実際問題お預けだって限界にゃーよ。それはおにーさんが一番よくわかってるにゃ」


 釣っておきながらエサ与えてねーなとは思っていたが。


「だから後はするだけだぞ」


「…………楽しみ」


 たしかに夢の中でなら……問題はない……のか?


「なわけで、幸せ家族計画を買ってくるぞ」


「俺が?」


「アイドルが一番買っちゃいけない奴だから」


 たしかに。炎上というかバレたら非難轟々だろう。


「わーったよ。後日買ってきます」


「今すぐでもいいんだぞ」


「ちょっと俺に覚悟をくれ」


 ルイを抱く。タマモも抱く。両方やらなくちゃいけないってのがマアジの辛いところだな。覚悟はいいか。俺は出来て……いないと思う。


「そういう意味ではサヤカの能力って都合いいぞ」


「竿姉妹には義理と人情が大事だにゃ」


 俺はカレーをもぐもぐ。


 このままではルイもタマモも破綻する。であれば何かしらの対処は必要になる。その意味で夢の中でやるっていうのは理に適っていると俺も思う。ただ一回やり出すと、雪崩式に都合が悪くなりそうで、俺はそれが怖い。


「あと食事中に性的な話は避けてくれ」


「ごめんなさいだぞ」


「…………失礼」


「にゃさい」


「デスね」


 で、カレーを食べながら、テレビをつける。


「私が君のアイドルになる♪ だから君こそ私を愛して♪」


 あっさりとオメガターカイトのライブ動画が映った。ルイもタマモもサヤカもイユリも、画面の中で汗を迸らせて精一杯歌っている。画面の向こうではキラキラしているアイドルのオメガターカイトが……。


「マアジ」


「…………マアジ」


「おにーさん」


「マアジお姉様」


 何故か今この場では、なんというか。俗物で。


「はー。結局やらざるをえんのか」


 食事が終わって、それから全員が風呂に入る。俺はと言えば毎度のように皿洗い。


「ふわー。ルイとタマモの彼シャツ……。おっぱいも大きいし。尊いぃぃぃ」


 で、一人明後日の方向に感激しているイユリ。メンバーに対してはガチ恋勢で、故にオメガターカイトに加入したという剛の者。


 その拝むようなイユリの気持ちは分からないじゃない。俺のシャツを着ているルイとタマモは俺にとってもかなり特攻攻撃だ。突き上げるようパイオツの大きさははっきり言って目に毒。言ってしまえばイユリもかなり大きいのだが。タマモの肉付きが異常なのは知っているが、イユリの胸もルイと同程度にはある。つまりDカップ? 色々とバインボインでおっぱいがいっぱいなのは俺にとってどういう意味があるのか。


「マアジお姉様は毎日これを拝んでいるのデスか……」


「そこで嫉妬より先に憧憬が来る辺りがイユリも中々だよね」


「はー。神。ホントてぇてぇデス」


 気持ちはわからんじゃないが。


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― 新着の感想 ―
 なに、蒸着だと!  マアジのオティヌティヌは宇宙刑事。  人数分の回数こなせるなら……防水シーツか「お・む・つ・❤」この性癖の娘は、果たして出て来るのだろうか。
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