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推しのアイドルが所属しているグループのメンバーが俺の家に入り浸る  作者: 揚羽常時


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第62話:自己同一性の危機


「えーと……」


 はいはい。


「えー。イユリンなんのことかわかんなーい! キュルルン忘れて?」


「さて。八百っちがBL同人誌を……」


「SNSには呟かないで~~~~! お願いします!」


 まぁな。揶揄っただけだ。俺も別にネットを炎上させたいわけじゃない。


「ていうか、アイドルが腐女子て」


「うー……問題なのはわかっているデスよ。それでもしょうがないじゃないですか」


「お前の魂がBLに引かれるのか?」


「さいデス。さいデス」


 こんな発売日にオニメイトに同人漁りに来ている時点で真正だ。


「お姉様だって人のこと言えないじゃないですか?」


「私は別にSNSしてないから。本に描かれた背徳の世界を全うするだけだし」


「ちなみに推しカプは?」


「トド伊豆」


「どこらへんが?」


「伊豆がトドのことをとても大切な親友だと思って接しているけど、トドの方は聞こえないところで『押し倒してぇ~!!!』って悶えているところに美学を感じる」


「わかるデスよ~。あの無自覚総受けはタチが悪いデスよね」


「私的にはトガが身を挺してチャコを助けたところにも間隙の嵐が巻き起こり」


「百合カプゥ」


「おや。百合はいけないか? 八百イユリ」


「えーと。そのー」


「はあ」


「めっちゃ大好きなんですけど」


「じゃあ語ろうぜ。推しカプは?」


「硝詩。高校生バージョン」


「わかるわー。詩が抱きしめるところとかマジ百合。とてもてぇてぇ」


「マアジお姉様は百合も嗜むんデスね」


「二次元限定でな」


「あ……」


 そこで、何故か、八百イユリは悲しい顔をした。何か遠い星を見るような目を俺に向けている。


「どうか……したか?」


「…………」


 メイド喫茶で悲しみは似合わない。その意味では八百イユリのテンションは此処に合致しない。


「お姉様は二次元限定で百合女子だったり腐女子だったりするんデスね」


「だな」


「生モノは?」


「別に否定はしないが……あー……八百イユリってもしかして……」


「ガチレズデス」


「ふーん」


 スルリと紅茶を飲む。


「あれ? 引かないんデスか?」


「俺が知っている女子の中では結構真っ当な性癖」


「お姉様の知り合いが怖いんデスけど」


 首輪付けてメス奴隷になりたいとか。


 おしっこの管理をしてくださいとか。


 俺のお尻が大好きとか。


 脱ぎたてパンツを渡そうとしてきたりとか。


 そういうやからで溢れかえっている。同性愛如き何だというのか。


「でもオメガターカイトのアイドルが……デスよ?」


「ネットに呟かなかったら問題ないんじゃねーの?」


 ちょいちょい言葉が崩れていく。


「オメガターカイトってみんな美少女で、拙の癖に刺さるんデス」


「ルイとか可愛いもんな。マジで」


「本当にもう無理。尊みが激しい。一緒にいるだけで幸せ。あのおっぱいを今すぐ揉みたい」


「それで行ったら古内院タマモとかどうなんだ?」


「あの柔らかさは神。プニョポーンって弾むGカップデスよ。お尻も大きいし。犯して想像妊娠させて、その母乳を吸いたいデス」


「片中サヤカは?」


「平らな胸に生えていない小股。もうペロペロしたい。メスガキだっていうけど絶対拙を挑発してるデスよね。わからせたいなー」


「なるほど。その性癖が故にオメガターカイトに……」


「デス。可愛い女の子とイチャコラしたくてアイドルになりましたデス」


 結構業が深いんだな。光を反射して桃色に光る黒髪の美少女は、目をハートにして花吹雪を背負っていた。


「お姉様はオメガターカイトなら誰推しなんですか?」


「ルイとタマモ」


「まぁ二強デスよね」


「っていうわけで、八尾イユリのことも応援しているから」


「そのー。拙」


 はいはい。


「男の子は男の子同士で、女の子は女の子同士で恋愛すべきだと思うの……っていうアレを振り切ってまして」


「だろうな」


「女の子は性的な目で見れますけど、男の人を見ると俺様系に迫られたらどんな声であえぐんだろうって思ってしまって」


 重症だな。


「これがダメってわかってはいるんですけど、どうしてもBLと百合でしか恋愛が認知できなくて」


「あー。大丈夫。同性愛は最近認められてきているから。パートナーシップ宣誓とかすればいいんじゃないの?」


 さっきから何言ってんだって感じの会話が続いているが、八百イユリの恋愛観が斜め四十度なのは理解した。それは生きづらいだろうな。同性愛には老後の安寧があまりない感じだし。里子って結婚してないと迎えられなかったよな。ていうか子供に母親と母親のキスを見せるとかどんなエクストリームスポーツだよって話で。


「お姉様」


「はーい?」


 俺は紅茶を飲みながら、さてどうしたものかと悩んでいた。


「拙とパートナーシップを結んでいただけませんデスか?」


 さっき会ったばっかり存在に、そんな提案をするお前が怖い。


「お姉様は超タイプデス。お姉様とニャンニャンするなら拙の性癖は満たされます。『ふふ。可愛い子ね』って言いながら拙を嬲って欲しいデス!」


「あー……オメガターカイトに頼めば?」


「営業百合程度ならいいんですけど、ガチ百合は引かれます。拙にはお姉様しかいないんデス」


「その俺の承諾は?」


「もらったお給料全ツッパでどうですか?」


 重いぞ。


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― 新着の感想 ―
 もう、全ツッパから全ブッパの方にならない様に祈るばかりです。
…このオメガなんちゃらってグループ、変態しかいないんすか?(´・ω・`)
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