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第58話:うなぎとそば


「はぁ。美味しい……」


 なわけで、いきなり京都に連れ去られて、お土産に買って帰ったウナギとソバは好評だったらしい。ウナギは白焼き。ソバはザル。


「ていうか朝のアレは誰だにゃ?」


「姉です」


「お姉さん……ていうとにゃ……」


 俺も最近知ったんだが、あくまで戸籍上はという前提が入る。俺は覚えていないが、どうやら俺はサヨリ姉と血が繋がっていないらしい。というかそもそもサヨリ姉だってオーバリストなので、もしかしたら佐倉財閥がヘッドハントした可能性まで浮上する。


「お姉さんがいたんだ」


「中々ブラコンな姉ですが、問題を解決するには一番頼りになるので頭を下げざるを得ないというか」


「問題だぞ?」


 クネリ、とルイが首を傾げる。


「マンションの部屋を確保するのは、まぁサヨリ姉任せ。俺は不動産は詳しくないから、そっち方面は全部任せてるし。というかこのマンションがそもそも間接的に財閥のものだから、話を通すのは簡単というか」


「ボクはそんなところに住んでいたぞ……」


 気持ちはわかる。基本的に財産分与の過程でしかないから、穴場のマンションではあるのだが、駅近でセキュリティ高いのも実験的な意味合いが強い。偶然ルイがここに来なければ、そもそも今の状況は発生していない。そういう意味では因果な奴だと言えるのかもしれない。


「…………問題ってソレですか?」


「あー……」


 ソバをズビビー。


「…………虚偽が下手ですね。……マアジは」


 まぁなぁ。海千山千の交渉はサヨリ姉に任せているし、俺なんてどこにでもいる一介の男子高校生に過ぎない。


「それはない」


「…………ないですね」


「にゃいにゃ」


 ナゼェ。


「マアジが平凡だったら世の男子は皆オケラだぞ?」


「オケラ凄いじゃん。飛べるし泳げるし地面も掘れるし」


「そういう意味ではなく」


 うん。まぁ反論しながら自分でも何言ってんだっては思ったけど。


「で、問題が発生して、ボクたちに言いにくい……っていうとだぞ」


「…………杏子関連ですか?」


 全部バレた。


「杏子お姉ちゃんがどうかしたのにゃ?」


 もちろん事情を知らないサヤカにしてみればハテナも同様だ。俺としては問題にしたくないのだが、まぁルイとタマモには容認できんよなぁ。


「ちょっとイジメが発生していて……」


「杏子お姉ちゃんがイジメられているにゃーよ?」


 さいです。


「それってネットで呟いていい系にゃ?」


「炎上するから止めてくれ」


 ウチの高校が非難に晒されかねないというか、まず非難が集中するだろう。学校側のボランティアでやっているわけではないので法人としては大打撃。


「で、犯人を特定するために、ちょちょっと技術的な協力を取り付けたんだよ」


 俺が思ったよりいやらしいシステムを提示されて、ちょっと引いたが。まぁ杏子が無事でいてくれるなら背に腹は代えられないというか。


「マアジは納得したぞ」


「まぁ」


「…………本当に?」


「イエス」


 不和が無いとは言わないが、オメガターカイトのことを考えると座視も出来ない。


「これだぞ」


「…………ですね」


 ルイとタマモが嘆息。


「???」


 サヤカは何が何やら分かっていなかった。


「なわけで、ちょっと学校では色々とやることに」


「でも学校って文化祭じゃない?」


「そっちもなー」


 メイド服を着ることになっているのはなんと申すべきか。


「マアジのクラスは何をするんだぞ?」


「メイド喫茶」


「へー……………………へぇ!?」


 そりゃ驚くよな。ルイにしてみれば見逃せないだろう。


「マアジは……!?」


「メイド役」


「はわぁぁぁぁ!」


 そこでテンション上げられても。


「…………ルイ?」


「マアジのメイド服はヤバいぞ。ぶっちゃけ脳が破壊される」


「…………ふむ」


「ふむにゃ」


 で、俺のメイド姿を想像したのか。ちょっと頬を赤らめるタマモ。サヤカはあまり想像できなかったらしい。


「ちなみに校外の人間は……」


「学校側に申請して、チケットを発注して貰えば当日それを見せて入れる……だったかね?」


「挙手」


「……挙手」


「サヤポンもちょっと興味あったり」


「オーライ」


 三人分な。申請は芸名でいいのだろうか?


 黒岩ルイ。古内院タマモ。片中サヤカ。って申請すると学校側が大騒ぎしそうだが。


「杏子に言えば?」


「……」←ルイ


「…………」←タマモ


 あー。はいはい。


「そっちは文化祭やらないのか?」


「普通科はやるっぽいぞ。芸能科はスケジュール押さえられないから参加だけって感じ」


 たしかに。ネットコマーシャルにグラビアにアイドル活動。文化祭に割く余力は無いだろう。


「っていうか杏子の件は」


「そりゃ容認できるならしたいけどだぞ」


 実際複雑な心地なのだろう。謝って済む問題でもないので、色々とルイとタマモが拗らせている。


「言っとくが、次の地方ライブでクオリティ落としたら俺も怒るからな?」


「それは大丈夫だぞ。っていうか見に来る気なんだ」


「推しがいるんでな」


 誰かと言われると、まぁ色々と。あとウナギが美味い。


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