第56話:家に帰れば二分でナオン
「ただいま」
「お帰りー」
「……お帰りなさい」
「お帰りにゃん」
まぁ今日も今日とてルイ、タマモ、サヤカが一堂に会していた。俺としても何と言うべきか悩んでいるというのが正直なところ。信じられるか? トップアイドルオメガターカイトのメンバーが三人も並んでいるんだぜ?
「もういっそ隣の部屋に移住しないか? お前たち」
「…………たしかにもう最近は家に帰っていません」
ルイは隣なのでいいとして。いやまったく良くはないんだが、あえていい事にして。タマモとサヤカは帰る場所がある。だから毎日こっちにいるわけにもいかない。じゃあこのマンションに住めば……という話になるのだが。なんかこのマンションがハーレムになりそうで怖い感覚はある。とはいえだ。まさか他のオメガターカイトのメンバーと一緒することもないだろうし。
「じゃあ、このマンションに住むってことで。手配はこっちでやっておく」
「いやいやいや。おにーさん。家賃幾らだと」
「そっちも何とかする。タマモとサヤカはルームシェアでいいだろ? 一部屋宛がうから、そこに引っ越してこい」
「にゃー。ルイお姉ちゃん。マアジおにーさんが何言ってるかわかる?」
「もち」
「変だと思わにゃい?」
「ああ、言ってなかったけど、マアジは財閥の子息だぞ」
「にゃ?」
チ。チ。チ。ポーン。
「財閥の子息!?」
唖然とする片中サヤカには悪いが、金回り云々で言えば、俺は結構アドバンテージを持つ。
「もしかして優良物件にゃ?」
「否定はしないが。こんな小さい人間を婿に貰ってどうする?」
「…………ボソボソ(たまーにサヤポンもマアジがわからにゃくにゃるんだけど。ルイお姉ちゃん。マアジってガチで言ってる?)」
「…………ボソボソ(ガチガチのガチ。ぶっちゃけマアジの自己肯定感ってバグってるのよね)」
「あー。わかるにゃー」
「…………ボソボソ(…………もうちょっと周囲に愛されていることを自覚してほしいですよね)」
「まったくまったく」
「まったくだにゃー」
何をボソボソと喋っている?
「家賃払えにゃいにゃーよ」
「ああ、払わんでいい。譲ってもらうから」
「にゃー?」
「ていうわけで引っ越しの準備だけ粛々と開始してくれ。俺はその間に新しい部屋を用意する」
「とは申してもにゃー」
唖然とするサヤカ。
「…………本当にマアジと同棲」
ルンと気分を高揚させるタマモ。そのGカップの胸がタユンと揺れた。本当に犯罪的に揺れるパイオツだこと。
「…………揉んでいいですよ?」
「いや。やってしまったら最後まで行く」
「…………行って構いませんのに」
「マアジ。ボクも構うぞ」
「じゃあ二十歳になったらもう一度言ってくれ。それでお前らの気が変わらなかったら勘案してやる」
「はー。オメガターカイトのメンバーを侍らせている王様だにゃー。マアジは」
ほぼ全部偶然なんだが。
「で、何をどうしろと?」
「エッチをしてください」
「出来るならとっくにやってんだよなー」
「じゃあ下着姿になって……」
「飯作りに集中したいからそういうことはやめてくれ」
「ちなみに今日のご飯は?」
「そうめんと唐揚げ」
サラリとそうめんをお湯につけて湯がく。それをキンキンに冷やして、テーブルに持っていき、ついでに唐揚げをスチームクッカーで温める。
「じゃ、飯にするか」
俺もテーブルに座して、いただきます。
「ふわお。美味しいにゃ」
「マアジの料理はとても乙女心を刺激するのです」
そんな刺激物を入れているつもりもないわけだが。
「唐揚げもカリカリ」
「太っちゃう~」
まぁ太られると困るわけだが。けれども肉は定期的に食べたい。
「じゃあこの後運動だな」
「マアジもやるぞ?」
「付き合うのはいいぞ」
ズビビー。御馳走様でした。そうして皿洗いを終えて。風呂場の掃除も終える。場所を隣の部屋に移すと、トレーニングルームへと案内された。同じマンションなので当たり前だが形式上俺と一緒の部屋。微妙に散らかっている。同人誌とか置かれていて腐海に沈んでるが、俺は腐にも興味があるので引いたりはしない。むしろどういう同人誌を読んでいるのか気になるくらい。
「で、こちらがハイテクエアロバイク! 仮免ライダーでございます」
リビングに並んでいる二台のエアロバイク。体脂肪率を調整するために置かれているトレーニング用のソレ。
「じゃあボクとタマモが最初に乗るぞ。テレビを見ながらバイクを漕ぎ漕ぎ。今日はアニメでも見ましょうね」
サブスク契約はされているらしい。で、今までもそうしてきていたのだろう。テレビをリモコンで操作しつつエアロバイクを漕いでいく。既に手慣れているというか、漕ぐ速度が速い。おそらく足は鍛えられていて、ペダルをこぐ筋力が付いているのだろう。
「ていうか……おお」
そのエアロバイクを漕いでいるルイとタマモのパイオツの揺れがハンパない。ペダルを漕ぐたびに揺れが胸元へと収束していき、プニョンプニョンと揺れまくる。二人ともおっぱいが大きいので揺らしがいがあるというか。いい感じに弾けている。
「ツンツン」
その内揺れの激しいタマモの胸をエアロバイク中で反撃できないだろうと判断したのか。サヤカが胸をつついていた。
「…………ちょ……サヤカ」
「ほら見てマアジおにーさんを。タマモお姉ちゃんの揺れる胸見て活ホッキよ?」
「…………本当……ですか? マアジ」
「まぁ確かにジーパンの下はちょっとアレなんだが」
まぁでも俺のニブチンはクツセツをする時にちょっと問題が。
「不能じゃないんですよね?」
ゴーゴーと音を立てて消費カロリーを示すエアロバイク。それを全開で漕いでバルンバルンとおっぱいを揺らすルイとタマモ。
「なんなら妊娠してみるか?」
「是非ともに」
そういやそういう奴だった。




