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推しのアイドルが所属しているグループのメンバーが俺の家に入り浸る  作者: 揚羽常時


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第165話:オメガターカイトとチョコ


「あー、疲れた」


 ライブの最後の最後で銃撃事件が起きたが、ファンの根性はそれより根強く。例え銃撃されようとバレンタインにオメガターカイトからチョコを貰えない方が重大事件だと主張。銃撃者と、それを取り押さえた俺が警察に連れていかれ、だが後は平和にオメガターカイトのライブは終わった。後日にニュースにはなるのだが、それでもオメガターカイトの受けるべき傷は限りなく最小限であったことを銘記しておきたい。俺は銃撃者を取り押さえたことで表彰を受けることになり、そのまま予定だけ聞かされて開放。さすがに集団の中で銃を撃った銃撃者は有罪だが、それでも誰も傷付けていないし、俺の証言で天井に向けて銃を撃ったので、誰かを傷付ける意図はなかったことは証明され。銃刀法違反には該当するが、それでも情状酌量の余地はあるだろう。実刑判決でも三年以上の懲役は無いと信じたい。


「大丈夫だったか?」


 で、警察から解放されて、マネージャー名義で共有しているSNSにメッセを打つと、むしろ心配された。


「マネージャーさんは大丈夫?」


「大丈夫ですか?」


「怪我にゃいにゃ?」


「無茶しすぎです」


「心配したんですから」


「この俺を焦らせるとは」


「大丈夫だった? マネージャー」


 あっさりと心配の声が掛けられる。


「別に撃たれたわけでもないしな」


 むしろ警察に表彰されるので総合的にはプラス。そのまま生産性のないコメントを打ちながら、それとは別に杏子とのコメントにも終始する。


「とりあえず! 駅近集合ね! 本命チョコ渡すから!」


 さすがにバレンタインということもあって杏子は俺に本命チョコを渡す気らしい。受け取ってもいいのだが、なんだかなぁ。


「別に気にしなくていいのに」


「私は佐倉くんにチョコを渡したいの!」


「ホワイトデーは期待するなよ」


「童貞くれるんでしょ」


 先約があります。と言えたら話は早いんだが。


「よ」


「ん」


 で、ライブが終わって、反省会も終わって、そのまま杏子の実家に近い駅で合流すると、そのままチョコを渡された。


「最初に確認するが何も入ってないよな?」


「愛液とかは入ってないですよ」


 信じていいんだな。その言葉。


「デパ地下で買ったチョコですから何も入ってませんよ」


「じゃあ信用していいか」


 そうして受け取る。とはいえ駅である必要はないのだが。エンタメプロの経営体制も強化されたし、オメガターカイトの送迎は電車ではなくワゴン車になっている。ただそれだと俺の都合がつかないので、俺が電車を使って杏子の家の近くの駅まで。そこに待っていた杏子がチョコを渡すまでが一連の流れ。


「じゃ、あとはシクヨロ」


「家に寄っていかない?」


「キスされそうで怖い」


「嬉しいでしょ?」


「嬉しいけどさ」


 不満に思う女子が六人ほど。


「はぁ」


「何その溜息」


 いや、ホワイトデーが大変だな、と。オメガターカイト全員。ついでに桃野さんと毒島さん……ね。


「私以外から貰ってないよね」


「悲しい現実ながらな」


 もちろん貰っているとか言っても誰も得しないので、それは黙秘。


「じゃ明日からもよろしくな」


 そして俺はマンションに帰って。


「バレンタインだぞ。マアジ」


「…………ですです」


 もちろん杏子以外のオメガターカイトメンバーから歓待を受けた。


「はい。本命チョコ」


「…………本命です」


「本命だにゃ」


「本命デス」


「本命ですわ」


「本命だぞ」


「リンゴ的には俺が本命って有りなのか?」


「マアジは俺のテスタメイトだからな」


「光落ちした覚えもないが」


「絶黒から粛清は来ていないか? 俺が身を賭して守るぞ?」


 だからそれは俺の即興のアドリブで……と言っても意味は無いか。


「一応聞くが、食べられるよな?」


「陰毛とかは入ってないぞ」


「…………安全第一です」


「今夜の夢はちょっとアレだけどにゃー」


「お姉様。頂いてください」


「わたくしがプレゼント……」


「俺はいつも通りだ」


 リンゴの何時も通りは頭が悪すぎてなんだかね。


「じゃ、いただきます」


 まずはルイのチョコ。ブランド物のソレだ。さすがにこういう時に冒険はしないらしい。


「お、美味い」


「でしょ? オススメだぞ」


「これはちょっと美味いな。あとでブランド教えてくれ」


「バレンタインじゃなくても美味しいチョコだから」


「本命だよな?」


「ボクはマアジに人生を捧げているから」


「事故物件かもしれんがなぁ」


「マアジにならドメスティックバイオレンスされても受け入れるぞ」


「そこは相談所に訴えろ」


「マアジとならどこまでも堕ちていけるから」


 そんなルイに俺はキスをした。チョコ味のキス。


「マアジ♡」


「ルイ。ありがとな」


「…………むー」


 でタマモが拗ねる。


「はいはい。タマモのチョコも食べるから」


 そうして全員のチョコを食べる。桃野さんと毒島さんのチョコは昨日食っている。杏子のチョコは、まぁ最後で。


「美味いけど」


「「「「「「美味いけど?」」」」」」


「あと一ヶ月はチョコ要らんな」


 さすがに、計九人のチョコを食ったら、色々と胃腸が限界だ。


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