表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しのアイドルが所属しているグループのメンバーが俺の家に入り浸る  作者: 揚羽常時


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/170

第156話:ヲヒメ様とルイちゃんと


「大丈夫ですか? 今オメガターカイト問題あり過ぎですよ? こうなったらもう佐倉さんも推し変しませんか?」


「大丈夫だ。思ったより追い込まれていないから」


 ウギャーと騒いでいるルイを背景に、俺はスマホでメッセを打つ。『俺、悪魔の実食ったけどとりあえず伝説の宝目指して海に出たら海賊王になっていた件』でルイと盛り上がっていたログを呼んで、何故か俺が八部会の新参男キャラが好きという設定を盛られていて。会話に矛盾が無いように慎重に会話のやり取りをしながら自分の不毛さに溜息。


「あの……ディーヴァラージャはバレンタインライブをするんですけど」


「オメガターカイトもやるらしいから」


 優先すべきがどっちかなんて、論じるまでもない。


「じゃあ十三日に会えませんか?」


「ナゼェ」


「本命チョコを渡したいです。私は佐倉さんが本命なので」


「ふぉぉぉぉぉぉぉ!!! ヲヒメちゃん激カワ~!!!」


 で、御本人の告白メッセがまさか黒岩ルイに筒抜けとは思ってもいない桃野さんの告白に、「じゃあ有難く頂戴だけな」と俺は返す。座布団を抱きしめてゴロゴロ転がっているルイは桃野さんの片想いに思うところがあるのか。ファンには見せられない顔で喜んでいる。ちなみに俺の彼女なんだが、下手したら俺より桃野さんに夢中になってないか?


「だってディーヴァラージャの桃野ヲヒメだぞ!?」


 最近知ったばっかりで俺は認知不足なんだが。


「結構勢いあるグループだよ。四人グループで。一番人気はリーダーの波佐見リオだけど、ヲヒメちゃんもぐうかわ! ていうかトレンドだよね!」


「はあ」


 生返事しか出来ないのは会話としては減点だが、他に何を言えと。


「あのヲヒメちゃんが好き好き言ってくるんですよ。そりゃ心の股間が活ホッキだぞ!」


 人は心に股間を持つ。と言えればいいのだが、そもそも恋敵とすら認識していないのか。


「ルイ」


 俺は少し不機嫌になって、ルイを睨む。


「えと……なにか?」


「ん」


 その彼女に無理やりキスして、そのまま倒れ込む。座布団をクッションに、俺はルイを押し倒した。


「ま、マアジ……?」


「俺も嫉妬くらいはする」


「ヲヒメちゃんに?」


「桃野さんに」


「いつもはボクから追っかけてるのに……」


「だから、それが無くなったら俺は不機嫌になる」


 またキス。唇を重ねて、息を交換する。


「マ……アジ……ッ」


「今だけ俺以外見るな」


「は……はぃ……」


 借りてきた猫のような態度で、だが頬を赤らめ、ルイは従順になる。


「お前は誰のモノだ?」


「マアジのモノです……」


「誰に忠誠を誓っている?」


「マアジにです……」


「お前の首輪は誰に握られるんだ?」


「マアジにだけ握られています……」


「じゃあお前は俺の所有物だろ?」


「マアジだけのメスブタです……」


「それだけ覚えていれば文句は無いぞ」


「マァ……アジィ……」


「可愛いな。ルイは」


「全部マアジのモノだからぁ……」


 そうして俺が唇を奪おうとして。


「オホン」


 第三者が気まずげに咳をする。タマモが彼シャツを着てノーブラのまま、俺とルイをジトーッと見ていた。ソレで空気が崩れる。


「いいとこだったのに……」


 実際いいところだった。場合によってはそのままワンナイトカーニバル。


「…………マアジも軽率なことしないでください」


「いや、ちょっと暴走して」


「…………あたしがお相手仕りますから」


「タマモもな」


「…………首輪付けましょうか?」


「ついでに鈴も付けてくれ」


「首に?」


「別の首にでもいいが」


 胸のところにも首はある。


「…………ちょっとそれは……覚悟が」


「そこで完全否定できないのがタマモの純情だよな」


「タマモは乳輪が綺麗だから」


「…………なんでルイが論評するんですかぁ」


「身体の相性も知りたいし」


「そっちの趣味が?」


「イユリに影響されたかなぁ?」


 アレはアレで我が道を行くというか。


「…………ソレで何がどうのでどうなったんですか?」


「ん」


 俺がスマホを見せる。桃野さんとのログ。本命チョコをどうのこうの。


「…………あぁ……それでルイが暴走を」


 言わんでもわかるらしい。さすが理解者。


「だってディーヴァラージャのヲヒメちゃんが本命チョコだぞ!?」


「…………ルイも渡しますよね?」


「そらまぁ」


 そっちの方が俺は楽しみなんだが。


「でもマアジは格好いいからいっぱいチョコ貰うんじゃあ」


「オメガターカイトと桃野さんだけだと思うぞ」


「ライブ後の義理チョコは忘れてね」


「そっちもそっちで嬉しいファン心理」


「難しいぞ」


「…………まぁそれだけ愛されているのでは」


「ルイとタマモから貰えなかったら世界を滅ぼすぞ」


「じゃあ意地でも渡さないと」


「…………ちなみにアルコール耐性ありますか?」


 無いとは言わんが、あんまり飲んだことないからなぁ。


「あー。ウイスキーボンボン?」


「…………酔っているところを隙見て」


 まぁベタではあるがラブコメ主人公から最も遠い俺に通用すると思うなよ。


「…………ルイとかむしろ暴走しそうですけど」


 基本的にヒロインって酒に弱いんだよなー。学生ラブコメ限定で。


「酒の勢いが無くてもマアジにならいいのに……」


「首輪を握っているだけで今は良しとしよう」


「ボクはマアジだけのメスブタだからね? 他の男なんてみんなキモオタだから」


 それは最初から言っている。俺とルイが初めて出会った、あのカレーの日から。


「…………マアジはもうちょっと視線がエロくてもいいんですよ?」


 南無三。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ