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推しのアイドルが所属しているグループのメンバーが俺の家に入り浸る  作者: 揚羽常時


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第149話:デートをしようと思います


「デートをしようと思います」


「だぞ」


「…………ですか」


 ルイとタマモはキョトンで。もうちょっとこう……リアクションがあっても。


「一応俺ってルイとタマモと付き合ってるじゃん?」


「愛してるぞ」


「…………愛してございます」


「でも昨今杏子以外のオメガターカイトのメンバーがマンションに移住してきて、二人のアドバンテージが薄れているように感じるのだ」


「だからデート?」


「…………嬉しいですけど……マアジは大変じゃあ」


「大丈夫だ。ルイとタマモのモチベーション維持もマネージャーの仕事。ついでにそれで二人とデートできれば、俺的には超お得」


「じゃあしよっか。デート」


「…………どこ行きます?」


「俺的にはスカイツリーを提案する」


「あー、そういえば東京民なのに行ったことなかったぞ」


「…………あたしもです」


 盲点だよな。


「なわけで、明日はスカイツリーに行きます。ついでに近くに気になるラーメン屋が」


「ラーメンかぁ」


「ダメか?」


「いや、女の子とのデートでラーメン屋を提案するマアジだから好き」


「…………」


「そこで何故両手を真横に広げるんだぞ?」


 言わぬまま、俺はルイを抱きしめた。横に広げた腕でルイを抱きしめて、ギュッと抱擁する。で、その首元に頬を擦りつける。


「な、ななな、何を……?」


「ルイ大好きぃ」


「ぼ、ボクも好きだけど。今日のマアジは素直だね?」


「ガチ惚れ。ガチ恋勢。ルイが幸せになれるなら相手は俺じゃなくていい」


「ボクはダメだぞ」


 その俺を抱きしめて、ギュッとおっぱいを胸板に押し付けてくる。その心地がいい柔らかさに俺の方も驚く。


「マアジ以外にボクは幸せに出来ないんだから」


「もし俺がDV常習犯の事故物件になったらどうする?」


「それはそれで嬉しいかも」


「タマモも似たようなこと言ってたな」


「…………むー」


 で、抱きしめ合っている俺とルイが気に食わないのか。タマモがふくれっ面になっていた。


「じゃあ明日。駅前集合で」


 もちろん俺は女装して合流。デート当日。俺はとある学園モノラブコメの学生服を着ていた。ちょっと派手目で勘違い系コスプレイヤーがコンセプト。


「あれー? 君可愛いじゃん。ちょっとお兄さんとお茶しない?」


「デート相手を待ってるんで」


「君みたいな可愛い子待たせる男に将来性無いって。俺とお茶する。ハイ決定」


「ちょっとー。誰の将来性が無いって?」


「…………不穏です」


 それで女装した俺と合流したのは私服バリキメの原宿とか歩いてそうなルイとタマモだった。あとで聞いたがスタイリストさんに助言をもらったらしい。サングラスを胸元に賭けているあたり本気度を感じる。


「黒岩ルイと古内院タマモ!?」


 当然ナンパのお兄さんは二人のことを知っていた。


「そういうわけでお兄さん♪ これから俺はコイツ等とデートなんで」


 俺を女装と見抜けない様じゃ、まだまだだね。そうして女子三人というか、そのていで俺たちはデートを楽しんだ。最初に行ったのはスカイツリー。昇るのに金は取られたが予算の範囲内。高い場所から見る光景は絶景も絶景で。万金に値する。そうして強化ガラスの床で跳ねるように遊んで。富士山は生憎と見えなかったが、それはまた来ればいいだけだ。


「あれ黒岩ルイと古内院タマモじゃね?」


「マジか?」


「百合デート?」


「オメガターカイトって仲いいんだよな」


 俺は換算されず。ルイとタマモが一緒にお出かけみたいな察知のされ方をされた。


「写真いいですか?」


「こっちにも一枚」


「お願いします! 記念に!」


 なわけで少しだけ写真を撮られて。あくまでネットにアップしないことを前提に。


「はぁ。この豚骨よ」


 なわけでスカイツリーを楽しんだ後、少し遅れて昼飯。ピックアップしたラーメン屋だ。


「美味しいけど。糖質がなぁ」


「豚骨スープってビールの四倍プリン体があるそうですよ」


 そもそもビール飲めねえだろうが。


 ズルズルと麺をすすって、それから店を出る。そのまま帰ってもよかったが、ちょっと聞きたいことがあって、俺は公園に寄っていた。日は傾いて夕方。結構遊んで、そのまま帰るというのも惜しい気もする時間。


「楽しかったか?」


「スカイツリーも初めてだったし」


「…………マアジは可愛いし」


 だからちょっと聞いてみる。


「俺に不満ってあるか?」


 正直聞くのが怖いが、聞かないのはもっと怖い。


「あるぞ」


「…………ありますね」


 そっかー。やっぱりあるのか。


「た、例えば?」


「ボクとタマモ以外のメンバーにも優しいところ」


「…………あたしを孕ませてくれないところですかね」


「ぐ。それは。その。しょうがないじゃん」


「わかってはいるんだけどね」


「…………恋する女の子はわがままになるんです」


「マアジが欲しい。独占したい。人目にも触れさせたくない」


「…………あたしだけを見て。……それ以外は目をつぶっていて。……あたしの声だけを聴いて。……そんな感じ」


「つまり独占欲?」


「もちろん。マアジをボクたちだけで独占したい、正直学校にすら行かせたくない」


 そ、そこまで?


「それが叶わないから、ボクたちは夢の中でマアジとまぐわっているんだぞ」


「…………女の子にだって性欲はあるんですからね?」


 ちょっと。それは。ねえ?


「じゃあ此処でキスしよっか」


「…………できますか? ……マアジ」


 誰もいない公園。そこで俺は二人にキスをする。樹木が生えて、人が少ないこの公園で、誰とも知らぬ空間で。少しだけ情熱的に俺はキスをした。そのキスで火がついたのか。もっと。もっと。と求めてくるルイとタマモ。そのキスの深さと熱さに俺の側でも冷却装置が働かず。最終的にスキャンダルになりかねないディープなキスをしてしまった。


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