表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

120/135

第120話:事態の収束


「なるほどね」


 で、リンゴの突撃から数分後。ルイとタマモも合流して、俺は事態の全容を把握した。彼女らの話を聞くと、つまり俺が暗黒結社絶黒の影救世躯体エグゼクターであり、ルイとタマモに囁いた愛は作為的。騙されているぞ、とルイたちに説得するも笑われて、ならば自分が性的に篭絡して、彼女らに愛の偽りを教えよう、と。


影救世躯体エグゼクターの真意はすでにバラした! 神妙に諦めろ!」


「いや、ルイもタマモ愛しているんだんが」


「マアジ♡」


「…………マアジ♡」


 で、湯呑の茶を飲んでいる俺の隣にルイとタマモがすり寄ってくる。お茶は緑茶を淹れて、ちゃんと急須で淹れている。


「騙されるな! ルイ! タマモ! ソイツはガチでヤバいのだ!」


「騙されるぞ。マアジに騙されるなら、ボクは本望」


「…………死ぬまで騙されたら……それは真実ですよ?」


「マアジ。貴様……ッ!」


「いや、本当に好きなんだって」


「異能者であることを隠しておきながら! よくもぬけぬけと!」


「いや、二人とも知ってるぞ?」


「……へ?」


 というわけで、ほい。俺は人差し指からスイセンの花を出して、リンゴにプレゼントする。


「花言葉は自分で調べてくれ」


「ルイ。タマモ。分かっただろう! コイツは純正の人間じゃない!」


「うん。知ってる」


「…………ていうかお世話になっていますし」


「……お世話って?」


「眠るときにリラックス作用のある植物の香りをアロマテラピーに」


「…………調子悪いときは漢方も調合してくれますしね」


「…………」


 それでリンゴは黙りこくった。俺の植物の異能を、そう言う風に扱うのが信じられなかったのだろう。


「基本的に平和のために使ってるぞ?」


「じゃあ何で絶黒なんかに!」


「あれは……そう……おれが大事な人に裏切られた時……」


「その話長くなりそうだぞ?」


「…………マアジのアドリブってたまに芸能人より適応力高かったりしますしね」


「では絶黒の影救世躯体エグゼクターであることを認めても……ルイとタマモを愛していると?」


「まぁ」


「……ボソボソ(せめて前半は否定しない?)」


「…………ボソボソ(リンゴ、ガチで信じてますよ?)」


「……ボソボソ(面白そうだから)」


「何をボソボソ言っている貴様らぁ!」


「とにかくルイとタマモは俺の女だ」


「うぅ~」


「悔しいぞ?」


「…………そもそもリンゴって……」


「俺を推しだって言ったくせに!」


 拗ねたような涙目で、ブスッとそんな抗議。


「言ったの? マアジ?」


「…………言ったんですか?」


 いきなり怖くなったな。ルイとタマモ。まぁ確かに言ったかどうかと言われると言ったかもしれないというか。


「果たして日本語の羅列が意味を構成する要素において、その言葉が俺の意志を経て口外に具現化された文明的な意味を持つのかどうかという議論にふいへひゃぁ……」


 言い訳をしている最中に、ルイとタマモに頬をつねられた。


「からかうつもりだったんだよ! 御法度リリンに言葉を刺すとしたら、リンゴ推し宣言が最も効果的だろう!」


「つまり本心じゃないと」


「可愛くはあるが、俺の推しはルイとタマモだ」


「お姉様ぁ。拙も推してくださいデスぅ」


「お前は後三十分くらいリンゴの胸を揉んでいろ」


「はぁ。幸せデス~」


「イユリ。ネット番組じゃないんだから百合営業しなくていいって」


 困惑しているリンゴには悪いが、そいつガチだぞ。


「リンゴのおっぱいなんて揉めば揉むだけ幸せじゃないデスか。もう。こんなにたわわに実っちゃって」


「タマモの方が大きいだろ!」


「最近は結構揉んでいるので」


 理解を得られたわけじゃないが、一応認知はされている。百合アニメの視聴は俺とイユリのジャスティスなので、ついでにオメガターカイトのメンバーにも周知されていた。


「でもさぁ」


「…………でもですよ」


 なにか?


「ホントに全員と関係持っちゃったぞ」


「…………マアジはどういう星の下に生まれたので?」


 こっちが聞きてえわ。


「じゃあルイとタマモとサヤカとイユリは……」


「処女だぞ」


「…………処女です」


「拙はまぁ色んな意味で処女」


 ここまでイチャイチャしておきながら、一夜も共にしていないとかいう俺のヘタレ具合がチキンレッグでカレーが美味しいのだが。


「……お尻?」


 おい。リンゴ。お前は俺を何だと思ってんの?


「その。俺は。あんまり拡張しないというか……」


「待て待て。何の言い訳?」


「だって……どんなプレイにも応じるって言っちゃったし」


「よし、じゃあ、今夜はリンゴの癖でやろう」


「やる……のか」


「あ、処女じゃない?」


「処女に決まってるだろーが! 言わせんなコノヤロー」


「じゃあそのままの処女でいろよ」


「だからぁ……そのぅ……お尻はぁ……覚悟がぁ……」


「大丈夫だ。コマンドーを使うから」


「だからマンゴーを使ったら処女じゃなくなるだろ」


「あくまで疑似体験だ。裏オプありだが」


「疑似体験って……素股とか?」


 それもありだな。


「それもありだなって顔しないの」


「…………やっぱりマアジって上級者ですよね?」


 だから童貞なんだって。


「ち、ちなみに……」


 狼狽えるように赤面して、リンゴはルイとタマモに聞く。


「マアジのって……そんなにすごいのか?」


「他の男性と比べたことないけど、発禁動画と比べても遜色ないかな」


「…………というかそもそもマアジ以外を知りませんしね」


 ナニコレ。拷問?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ