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第103話:一夜明けて


「…………アホな夢見た」


 毎回のようにそう思う。俺はパジャマの下のアレがどうなっているかなんてわかりきっており。ついでにラベンダーの香りを収める。部屋に匂いは残るだろうが、寝室のエアコンでそれはリセット。そうして、キッチンに立つ。


「マアジ……」


 最初に起きてきたのはアワセだった。


「楽しめたか?」


「あー……夢じゃなかったんですわね」


「夢だぞ」


「じゃあなんで?」


「それはサヤカに聞いてくれ」


 俺が言ってもいいが、一番説明できるのはアイツだろう。


「マアジぃ。朝御飯……ん」


 さらに寝ぼけまなこを擦りながらルイが起きてくる。


「あと……朝御飯の前にぃ……」


「はいはい」


 軽くついばむだけのキスをする。チュッと少しだけ。


「あ……」


 それを見て、切ない表情になるアワセ。俺が別の奴とキスをする。そんなこと何かを覚えているのだろう。


「…………おはようございます」


 ついでタマモ。秋が過ぎようとする季節に、パジャマ姿でもダイナマイトボディは隠せない。ちょっとそっちに目が行く。


「…………マアジのエッチ」


「へえへえ。どうせ変態ですよ」


「タマモお姉ちゃんは爆乳だからにゃー」


「ああ、拙も揉みたいデス」


「揉んでいいぞ」


「本当デスか!?」


「搾乳しろ」


「是非とも任せるであります!」


「と言う冗談は置いといて」


「拙は結構本気だったんデスけど……」


「そんなわけで、こんな感じだ。俺の周りは」


「というか。全員でここに住んでいるんですか?」


「一応俺の一人暮らし。ルイとタマモとサヤカは隣に住んでいるがな」


「イユリは?」


「居候」


「その内引っ越そうとは思っているのデスけど」


 まぁ不動産関係はサヨリ姉に頼むとして。


「むぅ。ズルいですわ」


「マアジの家はお金持ちだからだぞ」


「ですからわたくしはマアジの正妻になって、資金源を確保しなければならないのですわ」


 多分偽悪的に言っているのだろう。本気でそう思っているのなら、むしろ言わない。


「それで皆さん処女なのにマアジにベタ惚れですのね」


「マアジのアレも立派だし。比較対象ないけど」


「…………でも大きければ良いわけでもありませんしね」


「お兄さんのアレならサイズは気にしないにゃーよ」


「拙は切り取って欲しいのデスけど」


 イユリ……恐ろしいことを言うんじゃない。


「本当にお姉様になりませんか?」


「一応これでもセクシャル的には男でな」


「お姉様に嬲られたいのデス~」


「夢の中では対応してるだろ」


 そんなわけで、今日はトーストとオムレツ、後はオニオンコンソメ。


「うーん。マアジのフワトロオムレツは絶品だぞ」


「…………嫁に欲しいですよね」


「これならパパとママも歓迎にゃー」


「拙も手伝っていいんデスよ?」


「ま、なんかお前らに手料理振る舞うのも悪くないって思えてきてな」


 実際に美味しそうに食べてもらえると、次も頑張ろうと思える。


「今日はレッスンあるよね。みんな大丈夫だぞ?」


「…………あたしはまぁ。ルイと一緒の学校ですし」


 芸能科のある高校だ。


「サヤポンも問題なし」


「以下同文デス」


「わたくしも時間設定は大丈夫ですわ」


「あとは杏子たちか。ボクがメッセ打っておくぞ」


「「「「お願いします」」」」


 さすがセンターを務めるだけあって、ルイの影響力は大したものだ。


「それで杏子ねぇ」


「杏子を知っていらっしゃる」


「同じ高校なの」


 流石にこれはアワセは知らないだろう。


「ほわー。同じ高校。なのに推しではないと仰る?」


「色々あってな」


「……」←ルイ


「…………」←タマモ


 恨んでいるわけじゃないんだが、ウランかもしれない。放射線が無くなるまであと何年……みたいな。


「で、まぁ杏子って学校でも人気で」


「もしかしてハーレムの一員?」


「いや。違う」


「そう……ですのね」


 何故そこでがっかりする?


「なのでここでのことは口外するなよ。ルイとタマモとサヤカとイユリには言っているんだが。これからはアワセも含まれる」


「杏子はあなたのことを知っていらっしゃるので?」


「同中だし」


「はー」


 後色々な。


「な、わけで顔認知されてるから、俺たちのことを報告されると色々と支障がな?」


「それって脅しに使えますか?」


「俺が刺されると思う」


 それくらいのことを杏子はしかねない。


「でも同じ中学ってことはそこそこ顔見知りだったり」


 元々推しだったしな。今は違うが。


「じゃあマアジって杏子のことどう思ってるのですの?」


「まぁそこそこ頑張ってオメガターカイトを盛り上げてくれれば」


「あっさりしていますのね」


 仕方ねーだろ。禍根が残ってもしょうがないというか。俺はそれだけのことを杏子にされた。嫌いにまではなれないが、それとこれとはちょっとだけ視点がズレている。そりゃ推しだったころはあったけども。


「ということはこれから俺はオメガターカイトのライブでは青色のサイリウムも振る必要が?」


「いえ、そこはわたくし以外の推しを応援していただけるとこっちも感じちゃうというか」


 だから業が深すぎるって。


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