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第101話:いったいどこで間違えた?


「おかえりだにゃー。おにーさん」


 俺が家に帰ると、サヤカが出迎えてくれて。


「マアジお姉様。今日はスク水を……」


 イユリがスク水を差しだしてくる。もちろんネーム欄には「まあじ」と手書きがされていた。いや、俺が女子のスク水を着ると股間が残念なことになるんだが。


「えーと。マアジ?」


 で、困惑することしきりな臼石アワセがいて。


「あ、アワセお姉ちゃんだにゃ」


「アワセ。奇遇デスね」


 俺の帰宅と合わせて、お邪魔することになったアワセが困った顔をしている。一応お見合いは破談に終わったが、「私の娘は何処がいけませんでしたか!?」と唾を飛ばしながら狼狽する父親に、のらりくらりと会話をして、ついでにアワセが我が家にお邪魔したいと言ったので、お見合いとは別に関係を持つことになった。別にそれで俺がアワセに篭絡されるわけでもないのだが。とにかく俺をヤって、既成事実を作れと視線で訴える親御さんには突っ込まないとして。


「ルイとタマモだけじゃなく、サヤカとイユリも手籠めにしているんですか?」


「否定も難しいな」


「難しいというか、実際に抱かれてるしにゃー」


「お姉様。拙も可愛がって欲しいデス」


「ちなみにこれって……」


 言葉を探すようにアワセが言う。もちろんバレればオメガターカイトそのものが終わる。となれば口外されるのはうまくないと言うかカタストロフと言うか。


「出来ればこのことは内密に……」


「わたくしはマアジがわたくしの前で他の女子を抱いてくれれば他に何もいらないのですけど……」


 その寝取られ癖はどうにかならんか?


「ところで杏子たちにはどう説明しましょう?」


「説明しないでください」


「たしかに説明は難しいですわよね」


 俺がルイとタマモとサヤカとイユリと爛れた生活を送っているなんて、どう世間に公表すればいいんだ。


「マアジ♡ んぅ♡」


 そんなわけで事実隠蔽に思念を傾けている俺にルイがキスをする。ルイとタマモは俺と無条件にキスをしていい権利を持っている。


「あ、はぁぁぁ♡」


 その俺とルイのキスに、腰砕けになるアワセ。事前に、敬称をつけるのも面倒なので、「マアジ」「アワセ」と呼び捨てにすることを互いに提案していた。そのアワセは俺がルイとキスをするだけで性的に興奮するらしい。


「…………マアジ♡ ……ちゅ♡」


 さらにタマモのキス。


「あへぇぇ♡」


 さらにトロンとした発酵したような表情になるアワセ。どれだけ寝取られ属性が酷いんだ。寝取られも何も、アワセとは別に恋人同士でもないし、むしろルイとタマモとは付き合っているんだから当然の権利ではあるんだが。


「マアジ。わたくし以外を愛していますのね」


「そもそもお見合いは破談になっただろ」


「風間の家を守るためにはわたくしはマアジと結婚する必要がございます」


「そこはアイドル活動で復興してくれ」


「マアジぃ。わたくしと結婚すれば浮気し放題ですわよ?」


 お前の性癖を満たすためだけに浮気ってどういう理屈。


「とりあえず、だ」


 俺は途中で買った食材をドンとキッチンに置く。


「今日はドライカレーだ」


「わーいだぞ」


「…………わーいですね」


「にゃーい」


「万歳デス」


 そんなわけで、キッチンに立って六人分の飯を作り出す。


「マアジ。わたくしも手伝いましょうか?」


「いや、特に助力は必要としていない。テレビでも見ててくれ」


 そんなわけで、俺のオススメで「オメガターカイトの青春は愛より出でて愛より青し」を見ることになった。今回はちょっと時代遅れの人狼ゲーム。とはいえ全員が全力でやるので面白い番組にはなっている。そのテレビの中でルイもタマモもアワセもニコニコと笑って、ゲームに負けると本気で悔しがっていた。


「で、マアジって何者ですの?」


「何者を仰られても」


「わたくしを篭絡するその手際を根本的に聞いているのですわ」


「単なる一般人」


「佐倉財閥の御曹司を一般人って言っていいんだぞ?」


「ついでに腕斬られても再生するしにゃー」


 そこはまぁ色々と。


「お姉様。スク水……」


 だから着ないって。そもそも来たら大惨事だ。


「はい。ドライカレー」


 米を大量に炊いて、フライパンでカレー粉と一緒に炒める。そうして具材に火を通して出来上がり。


「「「「いただきます」」」」


「い……いただきますですわ」


 六人で食卓を囲む。ドライカレーが美味しいのどうの。そんなことを言いつつ俺にとっては安らかな時間が流れる。


「うーん。やっぱりマアジのご飯は美味しいぞ」


「…………とっても素敵です……結婚して」


「マアジおにーさんは何時でもお嫁に行けるにゃー」


「マアジお姉様がお嫁に……ッ!」


 なんか途中で性癖全開になっているが。


「四人ともここで暮らしていますの?」


「もちろん。ボクはマアジの女だからだぞ」


「…………あたしもそうですので」


「サヤポンは愛人だしにゃー」


「お姉様以外に好きな人はいませんデス」


「そ、そうなんですのね」


 それでアワセはちょっと引いていた。


「じゃあマアジ。一緒にお風呂入ろうね」


「…………あたしとも」


「風呂くらい一人で入らせてくれない?」


 俺の本音はそこだ。


「下の毛って剃った方がいいかな?」


「特にリクエストはありませんッッッ」


「…………おっぱいは大きい方がいいですよね?」


「まさにそれで」


「サヤポンおっぱいないからなぁ」


「お姉様に嬲られるために、拙のおっぱいはあるデスよ?」


「あの、皆様正気ですか?」


 何を以て正気とするのかも、俺にはよく変わらんのだが。


「一緒にお風呂だぞ」


 了解したから、これ以上は……な? ところで一緒にお風呂ってアイドル的にはどうなんだ? そしてアワセの守秘義務に関してはどういう感じになってんだ?


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