表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

猫様の為の交通機関

猫の為の交通機関が出来たらしい。


ニュースを見た時は唖然とした。


「は? 猫が乗るの? 電車とかバスに? 猫専用?」


私は、どうしても信じられなくて、その交通会社に電話した。


「あの、本当に猫だけの為の交通機関なんですか?」

「ええ。そうです。猫しか乗れません」

「はい? いや、猫が乗りたいって言うんですか?」

「さぁ。どうでしょう。私は犬派なのでわかりません」


(犬派なのかよ!)


思わず声に出して言い返すところだった。


「で、お金はどうやって? 採算は合うんですか?」

「まあ、猫の為に時間もお金も惜しまない方々が沢山いらっしゃいまして。まったくの黒字です」

(え? 儲かってるの?)


採算がとれているということに驚きを隠せない。


「でも、猫はどうやって、それを利用しに?」


「まあ、てくてくと。そして、ドアの前で鎮座して見上げてくるので、それが合図になっております」

「人が監視して、呼んでくるんですか?」

「その姿を見ると、どうしても乗せてあげたくなるらしくて。会社が何も指示しなくてやってくれています。時間外でも電車やバスを出します」


「降りたい駅とかバス停とか、どうやってわかるんですか?」

「ドアをカリカリとやるらしくて、それが合図だと言うことです」

「言うことですって、あなた知らないんですか?」


「ええ、ですから私、犬派なので」


半分切れ気味に回答された。

この犬派の駅員は、よほどストレスが溜まっているらしい。


(そう言えば、どこかの映画会社が猫の世界征服の映画をだしてたな? あれ、まじだったんか?)


猫は均等に座るらしいから猫の会議のあるラッシュ時はどうしているんだろう?


窓の外に目をやると、猫達が『駅方面』に向かってとぼとぼと歩いていくのが見えた。


猫の事に詳しくない私でも知っている。


あの猫達は、かなりの割合で駅にたどり着くことはないだろう。


現に今だって、近所のお子さんが「あ、猫さんだー」って歩み寄っていくと、黙って寝っ転がって、モフモフされてしまっているんだから。



いったい、何のために『猫の為の交通機関』を作ったんだろう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ