第九十章+第九十一章 Complicated Matters+Once Upon A Time
いやぁ、複雑です。
〜第九十章 複雑な事情〜
「アハハっ。そうだよ。騙された?どう?ボク、きれいでしょ。」
カレンはそう言うとニヤリと笑った。
「…クソっ。確かに、騙されたよ。でもよく考えたらお前、体格良すぎるよな。よく見たら足にも筋肉めっちゃ…」
「ちょっと失礼だよ。他人の体をジロジロ見るなんて。」
カレンはそう言って眉をひそめる。
「わ、悪い…」
俺は身の危険を感じ、すぐに謝った。
「…でも、なんで他の奴らに自分が男だって言わないんだ?」
俺はふと不思議に思い聞いた。なぜ俺に自分が男だと隠しておく必要があったのだろうか?それに、カレンが男だとわかればクラスの奴らもカレンを輪の中に入れるだろう。いや、むしろクラスの中心にもなるかもしれない。
「…うーん。それは家庭の事情?みたいな?まぁキミの知りたい事とはなんの関係も無いよ。とにかく、ボクはキミの話を母さんや、渚のジジイ達、父さんの家系の人から聞いたんだ。」
「渚一族は分かるけど、父さんの家系?お前の父さんと母さんは離縁させられたんだろ?また復縁したのか?」
「そんなわけないじゃない。クソオヤジの顔なんか二度と見たくないよ。親子って言うのも恥ずかしいくらい。今のボクの父さんはボクの昔の親友のおじさんなんだ。」
「じゃあ、その親友とお前は親戚同士になったってことかよ?」
「まぁそうなるけど、ボクたちは生まれる前から親戚だったからね。」
「はぁ?お前。何が言いたいんだよ?」
「仕方ないなぁ。じゃあちょっと、昔話するね。」
そう言って、カレンは話し始めた…
〜第九十一章 水と風始まりの物語〜
むかーしむかしのお話。
水の国と風の国は、元々は一つの王国で、和の国、と呼ばれていました。和の国は一人の年老いた王に治められ、国民たちは豊かな生活を送っていました。そしてその王には、二人の王子がいました。
二人は同じ日に生まれ、二人ともとても優秀でした。
兄の方は、長い銀の髪と青い目を持つ、とても美しく賢い青年でした。
彼は名を水流といい、沢山の知識があり、武術に優れていました。
弟の朱鷺は、焦げ茶色の短髪に三日月の様に黄色く鋭い瞳を持った青年でした。彼にはとてつもない剣術の才能があり、何者も恐れない勇気の持ち主でした。
この兄弟の共通点は、優秀なところ、そして笑う時に見せる鋭い八重歯でした。しかし、和の国の王は重い病にかかり、遺言も残せぬまま天に昇ってしまいました。
兄弟は国を治めるのはどっちだと悩んだ結果、国を二つに分割する事にしました。水流は水源の豊かな土地を水の国と名付け、国の王となりました。朱鷺は森林が多く草木が多大な土地を風の国と名付け、治めました。やがて二人は亡くなり、二人の息子が国を譲り受けました。
二人は従兄弟同士でとても仲が良く、妹同士を相手の妻として送りました。やがて二人も死ぬと、また二人の子供が後を継ぎました。
しかし、祖父や父達とは違い、この二人はとても険悪でした。
二人は国境に大きな壁を作り、国を渡ろうとする者を捉えて牢に入れました。
ある時、水の国に住んでいた兄弟が、風の国へ続く橋を渡ろうとしました。妹の方は捕まりましたが、兄の方は風の国へ渡ってしまいました。
そして、国を渡った男は信じられない事に、風の国の王の妹と恋に落ちてしまいました。それに怒った水の国の王は、自分の母親を殺して見せしめにし、風の国の者を全滅せよと命令を下しました。
水の国の第三勢力、渚一族、一夜一族、泉一族は戦いの前線に立って戦った。
兄が風の国に渡った妹は、処刑されることとなりましたが、国の有力者だった渚一族がそれを助け、当主の息子と結婚しました。
三勢力は段々と数を減らしていきましたが、その力は衰えることを知りませんでした。渚は独自の武術を使い、一夜は素早さと毒を武器にし、泉は一族秘伝の魔術を使ってそれぞれのやり方で戦いました。
一方風の国も、水の国の猛攻にただやられているわけではなく、王族が自ら前線に出て戦い、水の国の兵を確実に減らしていきました。
長年続いた両国の争いは、水の国の王が味方に暗殺され、風の国の王が戦いで一夜の者がうった毒矢に射られ死んだことで集結した。渚と風の王族は親戚だった事もあり、二人が死んだことでその仲を取り戻した。王族は王の妹を頭領とし、盤風と名乗って風の巨大な勢力となりました、とさ。
複雑ですねぇ。あ、因みに、複雑は英語で、コンプレックスです。最初知った時は、えなんで?!って思いましたけど、コンプリケイテッドっていう単語を考えてみたら、あぁ…まぁ…うん…みたいな。ははは。
竹鬼とカレンの血縁関係については、何回か作中で触れましたが、次話でちょっとまとめます。ちょっと。




