第八十四章+八十五章 Kikuya Ichiya+ Kikuya's Women Dislike
おにぎりくんとトマトちゃんは、ベストカップル。
〜第八十四章 一夜菊夜〜
「…なんだよ、男のくせに女のフリしやがって」
俺は学校の廊下を一人歩いていた。
カレンはいつもいつも俺の邪魔をしてくる。本当に面倒臭い男だ。
…カレンが男だと俺が知ったのは小6の時だった…
「菊夜くん」
「…何?」
俺はあの日、廊下で一人の…女子(?)に呼び止められた。それはいつものことで、俺はその後の展開が何であるか知っていた。だからその時はいつも通り、
「そういうのウゼーから。分かんない?」
と、冷たい言葉を返した。
高身長、魔法も勉強も成績優秀、運動神経良し、イケメン。こんな完璧な男を世の中の女どもが放っておく分けが無い。俺は小学校にいた間も、毎日の様に女に告白されていた。だが俺は誰一人として良い返事を返した事は無い。
ーまず、女は苦手なんだよ…
俺の家族は水の国の大きな戦力の一つである、忍びだった。昔から数々の戦いに繰り出されていた強者の『一夜』一族は、その数をどんどんと減らしていった。一夜一族は、今では俺と俺のおふくろ、姉貴が三人、遠い親戚が数人…と、衰退の一途を辿っている。
オヤジは少し前、俺がまだ生まれる前に起こった風と水の争いで戦死してしまった。だから俺はオヤジの顔を見たことがない。だがオヤジの活躍もあってか、今では風と水は同盟国となった。
ーまぁ、俺にとってはそんな事どうでもいい。おふくろにとっては重要な事だったかもしれないが。
おふくろは俺が小学校に上がると同時に、風の国のゴリラ野郎と結婚した。そのため、俺たち一家の性は『林』に変わり、家族は風の国に引っ越した。そこでだ。カレンと出会ったのは。
「ごめんね。」
ー!?俺は、他の女たちとは違う、奇妙な反応を示したそいつに驚きが隠せなかった。泣いて先公に泣きつくはずのそいつは、ただ、そこに立っていた。
「…お前…」
「ああ、自己紹介がまだだったね。四年生からこの学校に転入してきた、なぎ…あ、いや、カレン・ペドルだよ。」
「…ペドル……俺は…林菊夜だ。」
「うん。知ってるよ。菊夜くん。一夜一族の。」
ー?!こいつっ…
「ボクはね、元々水の国の出身だったんだ。渚家っていう。」
ー?!渚っ?!水の国の渚一族といえば、忍びでも、剣士でもないのに素手で敵を薙ぎ払う、水の国最強一族じゃないかっ!?
「でも、ボクの母さんが落ちこぼれでさ。追い出されちゃったんだ。」
「…何が言いたいんだ?」
「とにかく、友達になろうよって。それじゃあ。話せて良かったよ。」
ー…何なんだ?あの女…(?)
それが、俺たちの出会いだった。
〜第八十五章 菊夜の女嫌い〜
「ええっ?!渚一族の女の子に会った?!」
「えっ?!なにそれ、めっちゃ気になるんですけど!!」
「詳しく聞かせろよぉ。菊ちゃぁん〜」
俺が食卓で姉貴たちにカレン・ペドルの話をすると、思っていた通り、姉たちは話に食いついて来た。
「…五月蝿えな。少し黙ってろよ。」
俺がそう言って姉貴達を睨むと、姉貴たちは、
「ええ〜?反抗期ですかぁ?菊ちゃん?」
「あんなに小さくて可愛かった菊ちゃんがねぇ。」
「嫌だわ。時の流れは早いわねぇ。」
と、どこかのババァの様に騒ぎ出した。
「嘘つくんじゃねぇよ!一回でも俺がお前らに甘えたことあったかよ?!」
俺は叫ぶと、テーブルを叩いた。
「あーあ〜。菊ちゃん癇癪持ちなんだから。」
そう言って17、一番上の姉の夜香が立ち上がる。
「も〜そんなんだから、お姉ちゃん達心配なんだよ〜」
16、次女の泉夜もそう言って立ち上がる。
「そうそう。いい加減面倒見させないでよね。」
15、夜雨も立ち上がって…
「おっ、おいっ離せっ!!」
俺の体も持ち上がった。姉貴たちが俺の体を持ち上げたのだ。そのまま俺の体はされるがままで俺の部屋まで連れて行かれた。
「離せっ…」
俺は抵抗しようとするが、12の俺にはただでさえ年上の上高身長で体格が良い姉貴達には歯が立たない。
ーこれだから女は嫌いなんだ…
そう、俺の女嫌いはこの面倒臭い姉貴達の影響なのだ。
「やっぱり女とは関わるべきじゃないな…」
姉達に持ち上げられながら俺はそう言って、ため息を漏らしたのだった。
前書きは山田後輩アロマ再びです。やったね!
菊夜の女嫌いはここから来たのですよこい




