表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

義勇軍なのか

 外国人の軍隊がやって来た。1個連隊規模だ。義勇軍だと言うが、装備は最新だし冬期装備も整っている。

 1個連隊規模の義勇軍は、大隊規模の飛行隊や中隊規模の戦車部隊も持っていた。その部隊も入れて1個連隊。さらに工兵や補給、通信に医療部隊もいる。だから実際に戦闘に入るの1個大隊と少し。

 ずいぶん贅沢な部隊だと思った。






「囚人番号****、****だな」

「そうだ」

「出ろ」

「なんだ。銃殺刑か」

「違う。刑期を短くしてやろうというのだ」

「何をやらせるんだ」

「もう命令は出ている。拒否は出来ない。拒否したら刑期を延ばす」

「やるよ。やればいいんだろうが」


 こう言う遣り取りが軍刑務所で結構な数行われた。


「刑期を短くしてやろうというのだから、独断専行はしないように」

「戦場の機微で動いてはいけないのですか」

「貴公は、それで全体を乱す。ダメだ。ここに入っているのも、それが理由だというのに」

「しかし、戦争には機があります。機を逃せば勝てるものも勝てません」

「それで国が傾いてもか」

「勝てば良いのです。そうすれば国が傾くなどと言うことはあり得ません」

「傾くのだよ。戦国時代では無いのだ。失う兵隊も大切だが、失う信用と失う金の事も考えろ」

「金も兵隊も後からなんとかなります。信用は勝てば良いのです。勝てば官軍です」

「馬鹿者!! もう良い。君、コイツを監獄に戻せ。辻。刑期は短くなることは無い。反省しろ」

「反省しております」

「反省してこれか。話にならんな」


 そう言って、大佐は去って行った。



 義勇軍は日本陸軍()の人員だった。装備は寄付されたという。誰が信じるというのか。建前は大事だ。

 義勇軍の内、軍刑務所にいた受刑者は200名近くいる。比較的模範囚と、面接で刑期の短縮と引き換えに保釈しても良いと思われた将兵だ。ノモンハン事件に関係して軍律違反でぶち込まれた人間や、支那戦線での軍律違反でぶち込まれた人間もいる。


 通常部隊に比べて贅沢な装備の数々は、実戦テストも兼ねている。持ち込まれた機材は、日本でも正規配備となっていない物もや配備され始めで数の少ない物も多い。

 キ44と新砲塔チハが目立つが、九九式小銃など他にもいくつか有った。



 キ44はフィンランド整備士によってオーバーホールされている。

 調子が悪そうじゃないか。ヘッヘッヘ。俺らが見てやろう。

 エンジンは、ここか。ここをいじるとええんか。バリバリバリ。ゴー。

 彼らは、いろいろな機材をいじるのに馴れていた。

 イギリス製やドイツ製の点火プラグやプラグコード。同じくガソリンやエンジンオイルも使い、オリジナルを超える性能を引き出した。


 後に、この機体をリクエストされた日本陸軍は驚きと共に慌てた。空戦(巴戦)自慢のベテランには嫌われていた機体だ。巴戦なら無敵とも言えるキ43を主力戦闘機の座に置こうとしていたのである。


 第2次冬戦争で、キ44はフィンランド空軍によって運用され、幾人ものエースを生み出していく。





 同志書記長が血迷って言った言葉足らずの命令で日本から引き揚げさせたロシア人。日本国内では混乱している。

 攻めてくるのではないか。残っているのは外交官と一部研究者くらいだ。

 ソ満国境と樺太国境と北千島に厳重警戒命令が出る。

 満州国軍とソビエト極東軍管区司令部との話し合いはもたれたが、極東軍管区は何も聞いていいないの一点張りだ。事実聞いていないのだが。

 満州国軍と関東軍はこれを信用していない。お互いに信用などしていなかった。

 ただ、あまりにも状況がおかしく、厳重警戒よりも一段下げた。

 しかし、これで極東も警戒しなければいけなくなったソ連軍は、ヨーロッパ方面に全力を向けることが出来なくなった。




日本陸軍航空ガソリンのオクタン価は、供給に不安の有る地域での使用を考えられていたため、低く抑えられていた。と覚えています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ