足の長い戦闘機
機種は題名で分かりそうな気がします
その日、快晴のルール地方に久しぶりの空襲警報が響き渡っていた。
開戦後数回有ったが、損害の割に戦果が少ないらしく中止になっていた空襲。
護衛に守られたハリファックスの編隊だ。
その爆撃隊は、護衛戦闘機に守られ爆撃を終えて帰って行く。
ルール地方では、いくつかの工場設備に深刻なダメージが有った。
ドイツ空軍では、何枚か撮れたガンカメラの写真を見ても機種が分からなかった。空冷低翼単葉。割と大柄であった。運動性が良く速度は若干遅いものの、20ミリ級機関砲を主翼に積んでおり、要注意とされた。
「輸出するので、あちらの要求に従って改造するように」
「は?輸出ですか。コイツをですか」
「そうだ。外交上の配慮からだ。よろしく頼む。仕様書はこれだ」
「はぁ、ほんとにやるのですね」
「必要な物資は用意する。期日は来年春までだ」
「正式な発注と言うことですね」
「そうだ。名誉だろう。本場への輸出だ」
「速度が、えーと320マイルしか出ません」
「320マイルか。えーと・・・」
「280ノットです」
「10ノット落ちるか」
「要求書の範囲には収まっています」
「じゃあ、それで出そう。防弾は陸軍の協力で出来たから良かった」
「噂だと、海軍はコイツの陸軍は防弾技術協力の謝礼でDBの替わりにロールスロイスを安価で買えるらしいです」
「なんだそれ」
「ほら、ドイツと仲悪くなったじゃないですか。ライセンス権を取り消されたらしいです」
「それでか。よく知ってるな」
「川崎に同級生がいるんですよ」
「そう言えば、向こうの点火プラグとプラグコードは物が良いな。エンジンオイルや通信機も」
「まるっきり違いますね」
「速度の低下がこれですんだのも、点火プラグとプラグコードとエンジンオイルの影響だろう」
「エンジンベンチだとそんなに向上していないんですが、飛行中の実馬力はかなり向上していますね」
「国産も頑張って貰わねばな」
「はい」
A6M3b
全長 9,05m
全幅 12,0m
全高 3,49m
全備重量 2850kg
発動機
栄12型 離昇出力 970馬力
最高速度 320マイル/h(515km/h)
上昇力 6000メートルまで7分30秒
実用上昇限度 9800メートル
航続距離 巡航1000km+全速30分(正規)
巡航2000km+全速30分(増槽あり)
武装 機首 ブローニングAN/M2 2丁 ベルト給弾350発
主翼 イスパノMKⅡ 20ミリ機関砲 2丁 ベルト給弾120発
ダイムラーベンツとのライセンス権がライセンサーの都合で解除出来たのかは分かりません。
ここでは解除出来たことにしてあります。
AN/M2はブローニングM1919の航空機搭載型。7.7ミリ弾です。
12.7ミリとの区別は、頭にCal.50が付くかどうか。