97.失敗
「他にもレア度を上げる方法を考えるなら、分量を変えてみるか、ちょっとだけ他の素材を入れてみるか、だよね。
軽くやってみようか」
分量を変えてみたら、《ゴミ》が量産されてしまった。
1/8 1/4 1/2 2倍、それぞれでやったのにことごとく失敗なのでこの説は諦めよう。
他の素材を足すのはもっと難易度が高い。
料理は、レシピの正解を知っているチート状態だったから何を入れれば良いのか完璧に分かってた。
でも、錬成はそうじゃない。
★素材だけでもとてもじゃないけど覚えられないくらいの種類があって、それら一つ一つについて分量も含めて検証するとなると心が折れそう。
実質無限にある候補を手当り次第に試すのはとても辛いから、気が向いた時にぼちぼちやろうと思う。
今までみたいな裏ワザが使えないなら、とにかく回数を重ねて沢山作るしかない。
そのためには、効率を上げるのが最優先。
刻むのと潰すのは同じ効果だったから、刻む方が早くできるから、刻む方向で。
刻んだ葉っぱ一掴みと釣り合う水の量を測って、一杯でその量になるコップを探す。
この辺りの作業はミンタカとやった時と同じだね。
ここまで手順を整えたら、あとはマシーンになるだけだ。
草を掴んで、大釜へ入れる。
水をコップ一杯入れる。
スキルぽちっと。
薬を横の箱に移す。
この工程をただひたすらに繰り返すだけ。
面白いのは、薬が釜の中に出来上がる時に、液体が出来るんじゃなくて瓶に入った状態になる所だよね。
便利でありがたいけど、一体瓶はどこから登場したんだ? って気持ちになる。
料理はお皿を別で買うのに、不思議。
神様が決めたこと、と思って気にしないようにするけど。
考えごとをしながらも手はハイペースで動かして、どんどん薬を作っていく。
草が無くなったらまた買って、それを刻んで。
一個あたり10秒くらいで作れるようになってるから、効率はかなり良いはず。
「あー、この刻む作業めんどくさーい!」
そう。
効率重視でハイペースに作業してるのは楽しいけど、下処理の刻む部分は手動だ。
なぜスキルでやってくれないのか、とも思うけど、無いものは仕方ない。やるしかない。
「誰か代わりにやってくれんかな〜」
なんて、言っても仕方ないことをブツブツ言いながら刻んでたんだけど。
「依頼に出せばやってくれるかもしれませんよ?」
「え?」
この作業を代わって貰えるかも、ってこと?